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好きだった人が突然勇者になっちゃって、私の命を狙ってきます  作者: うさたろう
第一章、先輩と異世界に来たけど拉致られました
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○先輩と異世界に来たけど拉致られました:4

 一瞬にして辺り一面全てが、色を失くしたように真っ白になる。

 全員が目元を腕や手で覆って光をやり過ごし、その強烈な白が薄らいでくると、数メートルほど先のなにも無い空間に大きな丸い円が現れた。

 直径三メートルほどもあろうかというそれは、地面より少し浮いた状態で金色に明滅しながら円陣をゆっくりと回している。古代文字らしきものが緻密に施された様は芸術作品のようにも見えた。

 あれって……もしかして、魔法陣っていうヤツじゃ……?

 そしてその魔法陣だと思われる円の中から、ゆらりと黒い人影が三つ現れた。

「魔族だっ! 気を付けろ!」

 一気に緊迫した空気に包まれ、ニコラスさんを含む騎士達が全員揃ってジャキンと帯剣を抜いて構える。

 え、魔族!? 早くもそんな大物敵キャラが! しかも、三人も!?

 輝く魔法陣の光を背負った三つの影は徐々にその姿を鮮明にする。

 三人ともが二十代前後だろうか。

 真ん中にはふんわりと柔らかそうな赤茶色の髪をした男がいて、騎士達と似た制服のような衣装を身に纏っている。

 上着は青ベースで被せの前合わせに金刺繍の縁取り。折り返しの縦襟から白い開襟シャツが覗いており、上着と同じ青ネクタイの結び目が見える。

 三人の中では一番背が高く、優しそうな面持ちには微笑みすら湛えている。

 その右隣には黒髪の男。燃える炎のような赤い瞳を持っている。

 いかにも魔族っぽいワイルド系といった感じで、目つきが鋭く憮然とした表情だ。

 漆黒のスリムタイプで前衛的なカジュアルさのある衣装は袖なしで、黒のアームカバーを着けている。トラウザーズもブーツも黒。

 身長は赤茶髪の男の次に高い。

 赤茶髪の男を挟んだ反対側にはサラサラ銀髪の男。

 こちらもやや前衛仕様のグレーベースに白と青の差し色が入ったスリムでシンプルな衣装。

 彼の青緑色の瞳が水晶のように綺麗で印象的だ。しかし、こちらを冷たい視線ではすかいに見ている。

 その三人ともが、腰に剣を携えていた。『戦闘しに来ましたよ』とでも主張するように。

 ――と、おもむろに黒髪の男が右掌をこちらへ向けて翳した。

 途端に赤い魔法陣が彼の掌の前にふわんと手品のように浮き上がり、いきなりゴォオオオオオと轟音を立てて熱風と共に真っ赤な炎を吐き出した。

 炎は水平に竜巻状の火柱となりグルグルと回りながら、もの凄い勢いでこちらへと迫ってくる。

 ギャ――――――! 死ぬ――――――っ!

 近くにいたニコラスさんが私を庇って前へ立ちはだかり、剣をヴン! とひと振るいする。

 するとその剣からゴォウウと『鎌の刃型』をした鋭利な風が生まれて飛んで行き、火柱を真正面から切り裂き蹴散らしていく。

 ぎゃ、な、なに!? あの剣、ちょっと普通の剣じゃないよ!

 相手は魔族だから魔法を使ってるとして、じゃあ、あの騎士の剣はなに!?

 こっちは人間チームじゃないんですか~~~~~?

 予想外の事態に内心で取り乱していると、後ろからグイと腕を引かれて後方へ引っ張られる。

 ポスンと背中が温かいものに包まれて反射的に見上げると、旭先輩が背後から私の顔を覗き込だ。

「せ、せんぱい……」

「大丈夫?」

 息が掛かるほどの距離で見る先輩の瞳は綺麗な青色をしていて、ときめきと驚きにドッキンと心臓が鳴る。

 以前から先輩の茶色の瞳は光の加減で青みがかって見えていたけど、こんなにも真っ青だったろうか?

 これも異世界補正というヤツなのかもしれない。

 なんたって先輩は、勇者様の生まれ変わりらしいし。

 旭先輩の瞳に魅入られたように視線を外せずそのまま見上げていると、彼の胸に包まれている私の背中に先輩の体温が伝わって来た。

 とくんとくん、と脈打つ先輩の鼓動まで背中に感じて、私の心臓の方はどきどきどきどきっと忙しく早鐘を打ち出した。

 み、密着してる……すごく。こんなに密着したことないよ――っ!

「俺がついてるから」

 私を安心させようとする旭先輩の柔らかい微笑みには、いまや勇者然とした瞳がキラリと光る。

 ああ、セリフまでかっこいい……。

 しかしそこで不意に、今度は豪風が吹き荒れた。


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