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好きだった人が突然勇者になっちゃって、私の命を狙ってきます  作者: うさたろう
第七章、いちごみるくと終わりのない宿敵
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○いちごみるくと終わりのない宿敵:2

 ひえー! マジですか!? 先輩と一緒にランチなんてっ!

 内心では歓喜と驚きの声を上げながら、口からは声も出ずにこくこくと頷く。

 先輩はまた朗らかな笑顔を見せて袋からパンを取り出し始めたので、私も机の上の書類をまとめて端へ寄せ、カバンから赤いチェック柄のお弁当袋を出す。

 メロンパンにコロッケパン、それからハムチーズサンドを順番に机へ並べた先輩は、最後にパックのレモンティといちごみるくを置き、私の方へとその二つを滑らせて来た。

 机の境界線付近にパックジュースが二つ並ぶ。

「どっちがいい?」

「……え?」

「俺が急にスカウトしちゃったのに、いつも一生懸命生徒会の仕事を頑張ってくれてるお礼。好きな方あげる」

「いえ、そんな。私は自分の担当のお仕事をしてるだけなので……」

「俺がお礼したいの。弓月さんお弁当だから、いちごみるくじゃない方がいいかな?」

 そんなことよりも、旭先輩がいちごみるくを飲むんだなと、その事実の方が可愛くて気になる。

「先輩……甘いの好きなんですか?」

「え、ああ。いちごみるく?」

「はい。それ、かなり甘いから……」

 すると先輩は恥ずかしそうに笑って頭を軽く掻く。

 その仕草が、かわいすぎる~~~~~。

「これはさ、あの……弓月さんが良く飲んでるのを見掛けてたから……。おいしそうだなと思って、マネして飲んでみたら、ちょっとハマっちゃったというか……」

 え! 見られてた!? それで先輩が私のマネでいちごみるく!?

 私のマネで、いちごみるくだよ―――――っ!

 えええ……なんか、それって……凄く嬉しいかも……。

「あ、お茶持って来てるんだ?」

 膝に抱えていたカバンの隙間からペットボトルのお茶の頭が出ているのに気づいたらしい。

「じゃあ、いちごみるくあげるね。デザート代わりにどうぞ」

 いちごみるくのパックをトンと私の前に置いて、先輩は自分のレモンティのパックにストローを刺した。

「あ、ありがとうございますっ!」

 私がガバリと頭を下げてお礼を述べると、先輩はストローを口にくわえながら照れたような顔で小首を傾げた。

 なぜにそんな、ちょっと可愛い仕草をするの、先輩!

 私の萌えツボを突きまくりなんですよー!

 いやいや、ここで萌え萌えしている場合ではないと気持ちを落ち着け、私もお弁当の蓋を開けた。

「弓月さんは、『お母さんがお弁当を作ってくれる』って言ってたっけ」

 サンドイッチの袋を開けながら、先輩がそう確認して来る。

 以前生徒会の人達と一緒に帰った時に先輩とそんな話をしていたのだけれど、今日のはたまたま違った。

「いつもはそうなんですけど、昨日からお母さんは友達と旅行中なので、今日は珍しく自分で作ったんです」

「へー、そうなんだぁ!」

 思いがけず先輩がテンションを上げて応じた。

 やった、ツイてる! 私も少しは料理出来るぞ、とごく自然にアピール出来たよ!

「見てもいい?」

「は、はい……でも、あの、簡単なものばかりです……」

 ……いや、しまったかも。

 あまりに簡単なものばかりで逆効果か、これ……。

 先輩はサンドイッチをひと口かじってから、背もたれに寄り掛かって遠慮がちに私のお弁当箱の中身を眺める。


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