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○三王子ととびきり派手な宴:6

「そして、真ん中におられるのが、ディオン王子。彼もライアン様と同じでお歳は二十歳になられます」

 目を上げると黒髪王子とバチリと視線が重なり、向こうがふっと目を逸らした。

 無愛想にも見える表情だけれど、少し頬が赤くなっているようにも見える。

 強気な見た目と違って、照れ屋さんなのかな。

「俺にも、『様』はいらない」

 もう一度私へと視線を戻したディオンが、やや上目使いで言う。

 漆黒の髪は私と良く似ているけれど、髪質は男性っぽくしっかりしていて毛先がツンツンと跳ねている。

 赤い瞳は印象強く、私にとっていかにもな魔族に見えてしまうのは偏見かもしれないが、彼にはいい意味でもとても似合っていると思う。

 晩餐会用の衣装も黒地で縁に銀刺繍が入っているものだ。

 ディオンは確か昼にも黒のフィット感のある衣装でアームカバーまで黒で統一していた。黒色が似合うし、本人も好きなのだろう。

「ディオン様の母君は人間でしたが、彼がまだ幼い頃にお亡くなりました」

「…………え」

 思い掛けない話に驚きの声を漏らしてしまう。

 つまり、ディオンは魔族と人間のハーフだ。

 魔族と人間が敵対しているらしいこの世界で、そんなこともあるのだと思わずディオンを見ると、ディオンは素知らぬ顔でシャンパングラスを煽っていた。

 ルディは話が聞こえていないかのようにまだオーフェスと遊んでいるし、ライアンはサラダを淡々と食べている。

「ディオン様は私と同じく、ずっとリンデグレン城にお住まいです」

 ジェイクはそう締め括ったけれど、私は言葉を発せずに、ただこくんと頷いた。

 何かを口にするにはデリケート過ぎる気がしたからだ。

 他の王子達に比べて、ディオンはかなり複雑な生い立ちのようだ。

 とはいえ、私は断然ディオンに対して親近感が沸いた。

 仮に私の魂に『魔王の魂の欠片』があろうとも、私自身は人間のつもりだし、気持ち的にも旭先輩を含む人間チーム寄りだし。

 黙り込んだ横向き加減のディオンの顔を見ると、少し伏せた瞼の縁に綺麗に生え揃った黒く長い睫毛が薄い影を目元に落として、彼の精悍な顔立ちをより一層際立たせている。その後についと開いた瞳の燃えるような赤に、ドキリとさせられる。

 うーん、この世界はなぜに皆、そうなのか。

 いざ、こうして三人の王子を並べて見てみれば、三人とも結構なイケメンだ。勿論、隣にいるジェイクもだし。

 あの野原で会った人間の騎士の人達も、爽やか宅配便系のイケメンだった。

 あー、この世界って、イケメンばっかりだよー。

 良く考えてみれば、旭先輩も人間界ではぐんを抜いたイケメンだった。

 ああ、でも。ということは、もしかして、この世界ではイケメンなのが普通なのかな?

 人間界でも南国のどっかの島の人達が、日本人好みのイケメンばっかりだっていう話を聞いた。嘘か本当は定かではないんだけれども。

 とはいえ、ここで私の会った人は皆イケメンだったのは事実なわけで――

 えー、なんだ、このイケメン天国は!

 いや、ちょっと嬉しいんだけども……。

 

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