神の楽園 ~8~
「いきます!」
カルマは走りながら右手を構えた。
「氷雨!!」
カルマが異能の名前を唱えた瞬間、大中小の氷の塊が、カルマの付近に出現した。
カルマの才能系異能力、『氷雨』。
氷雨は空気中の水蒸気を瞬間的に凍らせて、それを操る異能力である。凍ったものならなんでも動かすことができるという、レベルの高い異能力である。
「氷砲!!」
その氷の塊は一直線にエナに向かって発射される。
しかし氷は、エナが最も得意とする相手だった。
「甘いですわ!」
エナはそう言うと右手を掲げる。
「灰燼!!灼熱火炎!!」
ゴゥゥ!!
そんな音を立ててエナの右手から、烈火のごとく紅い炎が燃え上がる。
炎は氷を跡形もなく消し去った。
「あなたの氷は私には通用しませんわよ?どうしますの?」
エナは少しばかり意地の悪い笑みを浮かべ、カルマを見つめる。
「そんなのは分かっています・・・・・・っよ!」
そう言いながらカルマは、氷の弾丸をエナに向かって投げつけた。
「何度やっても同じですわ!また私の灼熱火炎で・・・・・・!?」
エナは驚愕した。
氷を燃やしたというのに・・・・・・弾丸は進行速度を落とさずに、まっすぐこちらに向かってくるのだ。
そしてエナは気がついた。
「石を凍らせたんですのね!?」
「正解ですっ!」
石は速度を緩めない。一方通行でエナに向かう。
だがエナは・・・・・・笑顔のままだった。
「左手、使いますわよ?」
そう言った直後、掲げられたエナの左手から・・・・・・
――黒い炎が燃え上がった。