神の楽園 ~7~
覇気を含む声で一喝したエナには、王族の雰囲気が漂っていた。
「ランキング139位、カルマ・ワンクロニクル。あなたの気持ちは確かに受け取りました」
落ち着いてエナはそう言った。
「!・・・・・・じゃ、じゃあオレが勝ったら付き合ってくれるんですか・・・・・・?」
おずおずとカルマは口を開く。
「この痴れ者め!!」
エナはそう言った。確かに今、痴れ者と言った。
「・・・・・・え?」
予想していた答えが帰ってこなかったカルマはただ呆然としていた。
これは、カルマに限ったことではない。
先程までの嵐のようなうるささはどこえやら、アリーナにいる生徒はみんな口を開いて呆然としていた。
「好きな人がいるのはいいことです。恋愛は学生の特権、思う存分に恋をして、人を愛しなさい。しかし、こんな形で誠意など見せられたくありません!勝ったら付き合う?それは本当に恋愛なのですか?それは互いに恋をして、互いを愛し合う関係なのですか?ぶつかるならば、正々堂々と武力に頼らず口で言いなさい!あまつさえ、神聖な決闘場で言うなどとは・・・・・・恥を知りなさい!どうしても付き合いたいならば、私に勝つのではなく、私を惚れさせてみなさい!!」
場は再び静寂に包まれる。
ぱち・・・・・・ぱち・・・・・・
ある生徒のまばらな拍手がアリーナに響き渡る。
ぱちぱち・・・・・・ぱちぱち・・・・・・
拍手は次第に大きくなる。
パチパチパチ・・・パチパチパチパチパチパチパチパチ!!
拍手は最高潮に達した。アリーナの生徒全員がエナに向けて感動の拍手を送る。
「ありがとうございます!ありがとうございます!」「お姉さまぁぁぁぁ!!素敵ですぅぅぅぅ!!」「はいっ!はいっ!はいっ!L・O・V・E・エ・ナ・さ・まぁぁぁぁ!!」「おいガキ!!男って選択肢もあるんだぜ!!」
生徒たちはそれぞれ自分勝手のことを言いながら口々にエナを賞賛する。
――そして元凶、カルマはというと・・・・・・
「・・・・・・あ、ありがとうございます!オレ、目が覚めました!」
泣きながら感動していた。
「そうですか。それはよかったですわ」
笑顔で対応するエナ。
「オレ!エナ先輩に惚れてもらうために戦います!」
「きなさい!私が稽古をつけてあげましょう!」
お互いの戦う意思を確認し、二人は動き始めた。