神の楽園 ~6~
◆
ゴォン!!
ゴングが鳴り、再び試合が始まる。
「エ、エナ先輩っ!」
エナが先手を打つ前に、対戦相手である中等部の3年生、カルマ・ワンクロニクルが上ずった声をあげた。
「・・・・・・何かしら?」
冷淡な声でエナは答える。
「お、オレずっとエナ先輩に憧れていました!成績優秀スポーツ万能才色兼備!まさに理想の先輩だって思って、憧れて、勝手に目標にしてました!」
カルマは一呼吸おいて言葉を綴る。
「・・・・・・でも憧れて目標にしてるだけダメなんです。オレ・・・・・・もう我慢できないんです」
カルマはさらに綴る。
「なのでエナ先輩!も、もしこの試合で俺が勝ったら・・・・・・」
カルマは意を決したかのように口を開いた。
「俺と・・・・・・付き合ってください!」
シーン・・・・・・
しばしの沈黙がアリーナを包み込む。
そしてその静寂は・・・・・・
「「「「「え・・・・・・えぇぇぇええええええ!!?」」」」」
アリーナにいる生徒の悲鳴や怒号に変わった。
「おい中等部生っざっけんじゃねぇぞオイゴルァァァァ!!」「エナお姉さまに手出ししてただで済むと思ってんのぉぉぉぉ!?」「今こそエナ様親衛隊の活躍の時!あの青二才を縊り殺せ!嬲り殺せ!呪い殺せぇぇぇぇ!!」「テメェ結構いい顔してんじゃねぇか!掘るぞオイ!」
会場は罵詈雑言の雨あられ。もうこの会場を収めることができるのは・・・・・・
「お静まりください!」
――エナ・コロッセオただひとりであった。