神の楽園 ~3~
◆
ゴォン!!
ゴングが成り、戦闘が始まる。
「・・・・・・っふん!」
先手を切ったのはエルギン。彼の巨体が光り輝く。
「武骨!!」
エルギンの体の節々がボコッと膨れ上がる。まるで溢れんばかりのエネルギーが体中を駆け巡っているように。
――武骨とは、身体強化の才能系異能力である。体中を流れる血潮を制御することによって、自身の筋力・防御力を強くする異能力である。弱点と言える弱点は・・・・・・
「いぃ~くぅ~ぞぉ~!」
動きが致命的に遅くなることである。
「そんな速さジャ絶対に捕まんないネ☆」
対する梁・陳真は余裕綽々だ。ランキング上位相手にもかかわらず余裕の笑みを浮かべる。
「必中!!」
必中も武骨と同じく、才能系異能力である。必中の能力は・・・・・・
「相手を一撃で仕留めるコト!これなら防御も関係ないネ!」
「なぁ~らぁ~ばぁ~」
のらりくらりとした動きでエルギンは右腕を振りかぶる。
「こぉ~れぇ~でぇ~どぉ~だぁ~!」
ビュゴォォウ!!
そんな音を立ててエルギンの右腕から豪風が発生する。
間違いない。これも異能力だ。
異能力『突風』。
これは風を起こして攻撃するオーソドックスな、修練系異能力である。
ただし、エルギンは違う。
エルギンは自身の筋力を強化したうえで異能力を使ったのだ。エルギンの腕から放たれる強烈な風。そして突風の発動。
竜巻級の風が梁に襲いかかる。
「おォウ!?」
さすがに威力が強かったのか、梁も姿勢を崩す。
「流石『竜巻のエルギン』ダネ・・・・・・ちょっと舐めてタヨ☆」
梁が賞賛の言葉を述べてもエルギンの攻撃は止むことはない。
「でも・・・・・・負けないヨ?」
梁はそう言うと、風の流れる通りに走り始めた。