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二閃! 掛け合い



遅くなってすいませんm(_ _)m


待っている方が居るかは分かりませんが第二話目になります


読んでいただければ幸いです





「じゃあ御剣はそうだなー 鍛冶峰の隣に座ってもらうか」


転校の挨拶もすませ担任教師は鞘香に着席するように促した。


「はい」


鞘香は担任の指さした席へと向かっていく。


最後尾の窓際から二つ目の席が鞘香の席である。


「御剣鞘香です よろしく」


「あ、うん よろしく御剣さん」


鞘香は目的の席に着くとゆっくりと座り隣にいる刀弥に微笑みかけて挨拶をした。


その鞘香の笑顔に刀弥は一瞬みとれてしまい返事が遅れてしまった。


「よーし席に座ったかー んじゃま出席とるぞー 藍上あいうえ~」


担任は鞘香が着席したのを確認すると出席を取り始めるのだった。



◇ ◇ ◇



僕の心臓は今かなりの早さで脈打っている。


その原因は僕の右隣にいる彼女の存在だった。


御剣鞘香


綺麗で艶のある黒い髪に透き通るように白い肌。


「(うわっ良い匂い‥)」


そして彼女から発せられる鼻孔を擽る甘い匂い。


まるで物語の中から抜け出してきたお姫様みたいだと思った。


初め教室に入ってきた彼女を見たときからどうも様子がおかしい。


彼女の顔がまともに見れないでいる。


「(あーもう!! 何だってんだよこの感じは 顔があちー!)」


そして彼女が僕の隣の席に座って挨拶をしてくれたときに、僕に向かって微笑んだ顔を見てからよいよ僕の心臓は未だかつて無いほの働きをしている。


花菊かきく~」


チラリと気付かれないように横目で彼女を見てみる。


彼女は背筋をピンと伸ばし、真っ直ぐ前を向いておりその顔には先ほどと同じ様に笑顔が咲いている。


「(‥可愛いな)」


素直に彼女に見ほれてしまう。


鶴田かくた~」


「(まさかコレが俗に言う一目惚れってやつなのか?)」


そう思うと不思議と納得がいく様な気がする。


「鍛冶峰~」


そっと彼女から視線を外す。


「(まぁでも所詮は高嶺の花って事なんだろうけどね)」


僕はそう心の中で思い自嘲した。


僕みたいな平凡が服を着て歩いている様な奴が、彼女のことをいくら想おうとそれは所詮叶わぬ夢なのだろう。


「鍛冶峰~」


「(まぁこんな平凡な僕も人とは違う特技を持ってはいるけどさぁ ¨アレ¨は人に自慢したりするようなものじゃないし 第一あんなモノ知られたら絶対引かれちゃうよ)」


「鍛冶峰~」


「(あーあ 何で僕はこんな平凡な容姿で生まれてきちゃったんだろ イケメン程じゃなくてももう少し平均点より上な容姿で生まれたかったよ‥ これで鋼平とかだったらモテるんだろーなー)」


実は鋼平は何気にモテる。


男女分け隔てなく付き合い、クラスのムードメーカーの様な存在で、実際友達も多い。


それでいて一見おちゃらけている様に見えるが芯はしっかりしている。


それにあの容姿だ。


ヘタな男性アイドルなんかよりよっぽど整った容姿をしている。


下級生やはたまた上級生何かからもモテるようだ。


「(僕なんかよりも鋼平と御剣さんの方がお似合いだよなぁ  はぁ自分で言ってて落ち込んできた)」


僕がそんな思考に陥っていると突如大声が聞こえてきて自己嫌悪の渦から引き上げられたら。


「かじみね!!」


「は、はい!!」


僕はガタンと椅子を鳴らしながら急いで立ち上がった。


どうやら出席で名前を呼ばれて事に気が付かなかったようだ。


見るとクラスのみんなが僕の方を見ている。


「しっかりしろよー 隣に美人が居るからって気ぃ抜いてるんじゃないぞー」


クラスメートの一人が野次を飛ばしてきた。


『アハハハハハ!!』


その言葉にクラス全体が笑いに包まれ、僕は自分の顔が真っ赤になるのを感じた。


「す、すいません‥///」


「あー騒ぐな騒ぐな 鍛冶峰もちゃんと聞いとけよ じゃぁ出席続けるぞー」


担任はそのまま場を鎮めると再び出席に戻っていった。



◇ ◇ ◇



出席確認が終わりHRが終わると一限目の準備のため教師は教室を後にした。


「鍛冶峰~ さっき何考えてたんだよ~」


刀弥の前に座っている鋼平が顔をニヤニヤさせながら体を後ろに向けてきた。


「べ、別にあんたの事なんて考えてないんだからね!!」


「あ!俺、槌谷鋼平 よろしくね」


刀弥のボケを華麗にスルーして、鋼平は刀弥の隣にいる鞘香に自己紹介をした。


「改めて、御剣鞘香よ よろしくね」


口元を少し上げて、綺麗に微笑んで挨拶を返す鞘香。


「鞘香ちゃんか あっ名前で呼んでも平気? 俺、名字で呼ぶのとかって苦手なんだよね なんか堅苦しく感じでさ あっ俺のことは鋼平で良いからね」


「ええ 私もその方が気楽でいいわ よろしくね鋼平くん」


「ってちょっと待てぇ!! 何僕のギャグを華麗にスルーしてくれてんだ!寂しいだろ!! それに、名字が堅苦しいって僕のこと思いっきり名字で呼んでるじゃないか!!」


二人で勝手に話を進めている鞘香と鋼平に刀弥からのツッコミが入った。


余程ほっとかれたのが寂しかったのか刀弥は若干涙目になっていた。


「何泣いてんだよキモイなぁ」


「キモイって言うな! 普通に傷つくだろ!」


「だってさっきキモイ事言ってたじゃん」


「あんなのちょっとお茶目なボケだろ! て言うか名字が堅苦しいってなんだよ! 僕ずっと名字で呼ばれてるんですけど!?」


「そりゃそうだよ 鞘香ちゃんは友達だから名前で呼んだのさ」


「あれ? それって僕が友達じゃないから名字で呼んでるって聞こえるんですけど」


「よく分かったじゃねーか その通りだよ」


「友達じゃなかったら何だって言うんだよ!」


「んー よく話す同級生?」


「ひ、酷い‥ 結構長いつきあいだったのにそんな風に思われていたなんて」


グモーンと言う効果音が似合いそうな程落ち込んだ刀弥。


肩を落としてうなだれている。


「まぁ落ち込むなよ 半分は冗談だから」


「尚質悪いわ!!」


鋼平の言葉にツッコミを返す刀弥。


そんな光景をクラスの生徒は誰一人口を挟まない。


もはやこのやり取り(まんざい)はこのクラスでもお馴染みの光景となっているのだ。


「クス」


「へ?」


「おっ♪」


そんな中に小さな笑い声が聞こえてきた。


「ウフフ」


声の主はこのやり取りを間近で見ていた鞘香であった。


「面白いわ 二人は仲が良いのね」


「まぁ中学からの腐れ縁なんだよな」


鞘香の言葉に鋼平は呆れたような表情を浮かべて言った。


「そう 改めて御剣鞘香よ お隣同士仲良くしましょう」


「え、あ‥うん 鍛冶峰刀弥です よろしく」


鞘香の浮かべる怪しげな笑顔を見て、ドキンと心臓が跳ねるのを感じたがどうにか自己紹介を返した。


「鞘香ちゃんはどうしてこの町に?」


「ええ‥ ある人を探しに‥」


鋼平の問いに言い辛そうに答える鞘香。


「親の仕事との関係?」


「いいえ 私、親いないから‥」


「鋼平!」


「あっ悪い 変なこと聞いちまった」


刀弥の言葉に鋼平もハッとして頭を下げて謝った。


「気にしないで 両親が死んだのは私が幼い頃の事だし、もう慣れちゃったから」


そう言って寂しげに小さく微笑む鞘香。


その顔は本当に無理をしていない笑顔に見えた。


「親戚とかは居ないの?」


刀弥も鞘香に話しかけた。


「いないわ 両親共に天涯孤独だったらしいから」


「じゃあ今は一人暮らしなんだね」


「そうよ アパートに住んでるの これでも料理は自炊して、一人で作ってるのよ」


少し自慢気に言う鞘香。


「じゃあさ 引っ越してきたばかりじゃまだお店の場所とか分からないんじゃない?」


「そうね‥ まだこの辺りの地理には慣れていないかしら 早めに把握しておきたいのだけれど‥」


「じゃぁさ 俺達が案内しようか?」


「良いの? そんな事頼んで」


「あぁ 俺もコイツも放課後は空いてるし ここいらの地理なら俺とかコイツの方が詳しいよ 一人暮らしなら早めに覚えた方が良いと思うし」


「‥」


「僕達のことなら気にしないで良いよ 本当に放課後は暇だし もし御剣さんが良ければだけど」


刀弥はそう鞘香に言うと本人の返答を待った。



「それじゃあ、お願いして良いかしら?」


「オッケー♪任せといてよ な?鍛冶峰」


「うん‥ 御剣さんの行きたいところに案内するよ」


「ありがとう二人共 それと、私のことは鞘香で良いわ 私も刀弥くんて呼ばせて貰うわね」


鞘香の微笑みを見て刀弥は赤くなりながらこたえた。


「あ、うん‥/// さ、鞘香ちゃん」


「ふふふ よろしくね」


刀弥はまともに鞘香の顔が見れず俯いてしまった。


そんな刀弥を鋼平はニヤニヤしながら眺めている。


その時丁度一限目の教師が教室のドアを開けて入ってきた。


生徒達は会話を中断し授業の気持ちに切り換えていく。


「起立! 礼!」


日直が号令をし皆挨拶をする。


「着席!」


皆席に座り教科書を開きながら教師の第一声に耳を傾ける。


こうして今日もまたいつもと変わらぬ日常が始まったのだった。



「クヒヒヒ‥ ハァハァ たまらないなぁ ■■さん‥ 綺麗だよ 最高だぁ~」


写真を眺める一人の男。


写真の中には一人の少女が写っている。


「あぁ■■さん 君は何て可愛いんだ 好きだよ■■さん‥」


男はニタリと醜悪な笑みを浮かべた。


写真の中の少女の顔が恐怖で歪んだように見えた。



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