陽菜子’s Diary 3月10日(土)
<陽菜子’s Diary>
3月10日(土)
初めて2人でお出かけした。初デート・・・だよね? 学校の行き帰りに一緒なのを別にしたらってことだけど。
海が見たくて行ったら、とにかく風が強くて寒かった! お天気は悪くなくて、電車に乗っている間はよかったんだけどね。
早々に引き揚げて、うちに来てもらった。
藤野くんは、最初、ものすごく緊張してた。お母さんにあいさつするときとか、本当におかしかった。
将太と真悟がどんな態度をとるか、少し心配していたんだけど、将太は藤野くんが野球部だとわかったとたんにニコニコ顔になった。すぐに、キャッチボールしたいとか言っちゃって。藤野くんには悪いかなと思ったけど、逆にほっとしたみたいだった。
あとで迎えに行ったら、将太は藤野くんのことを「藤野くん」って呼んで、すっかりなついてた。長い付き合いの響希よりも、藤野くんの方がいいなんて言って。広場からの帰りも、夕飯のときも、藤野くんと野球の話をずっとしてて、今日、一番楽しんだのは将太だったんじゃないかな? 響希も直くんも、どちらかっていうと真悟の方と仲がよかったから。だけど、直くんの名前をいきなり出されたのにはあせったよ・・・。
真悟はおとなしくしてた。それほど失礼な態度もとらなかったし。
ときどき藤野くんのことをじっと見てることはあったけど。
お母さんとお祖母ちゃんは、藤野くんが帰ってから、藤野くんのことをかっこいいって、そればっかり。私が気が付かなかったのは変だって責める。
かっこいいっていうのは直くんみたいな人のことでしょって言ったら、直くんは特別の中の特別だって言われた。響希や真悟だって、世間ではかっこいいって言うんだって。「あんたは美形に囲まれて育ったから、世の中の基準がわかってない。」って。
なんか、そんなことでお説教されるなんて、変な感じ。
でも、私は藤野くんがどんな外見でも、やっぱり好きだと思う。・・・まあ、今のままの藤野くんの笑った顔も好きだけど。うーん、真面目な顔をしてるところも、かな。・・・やっぱり、何をやってるときでも好きだな。
今、その話をよく考えてみると、お母さんたちの言う通りかもしれないと思う。だから、あんなに人気があったんだね。私が知ってるだけで4人 ― 里緒は、途中で変わっちゃったけど ― もいるし、バレンタインのチョコは、私たち以外に7個くらいあったみたいだから。
なんだか不安になってくる。私みたいに普通の彼女でいいんだろうか・・・? 普通っていう以上に、“地味” だよね。
あー! なんか、中学のときのことを思い出しちゃった!
でも。
藤野くんがかっこよくても普通でも、藤野くんは私のことを好きで、私も藤野くんのことが好きなんだから。それで全部解決じゃない? ・・・って、自信を持てればいいんだけど、難しいな。
夕飯のあと、駅まで送っていくときに、藤野くんが「一人で悩んだり、我慢したりしないで、何でも相談してほしい」って言ってくれた。
何でもって言われても、さすがに生理痛とかは一人で我慢するしかないよ! って、心の中でツッコミを入れて笑ってしまったら、真剣な顔で怒られた。そういえば、去年の合宿のとき、きもだめしをやりに部屋から出ていたのを心配してくれて、怒られちゃったんだよね。藤野くんはあのころからずっと、私を守ろうとしてくれている。私は藤野くんのその気持ちを信じて行こうと思う。
そういえば、藤野くんって、意外にヤキモチ妬きだな。直くんのことが気になるのに、「別に。」とか言っちゃって。
おもしろいから、わざと意味ありげに話してあげたら拗ねてしまった。それとも、そういうふりをしてただけかな?
甘えん坊なところがあるのは気付いていたけど。そんなことを知ってるのは、たぶん私だけだね。
いつまでも、一緒にいられるといいな。
5年後とか、10年後とか、何年後でも、このノートがずっと宝物になっていたらいいと思う。
で、宝物になる予定だから、記念になることを書いておかなくちゃね。
きょうね、
キ・ス・し・ちゃ・っ・た!