陽菜子’s Diary 2月29日(水)
<陽菜子’s Diary>
2月29日(水)
なんだか・・・なんていうか、楽しい。
自分でも、よくわからない。ただ、ふわふわするっていうか、ドキドキするっていうか、とにかく楽しい気分!
藤野くんに、「好き」って言われた。
藤野くんが好きなのは、私だった。・・・ただ、それだけ!
それだけなんだけど、いろんなことが、今までとは同じじゃない。
藤野くんに言われてみて、“そうか!” って思った。私も藤野くんのことを好きだった。いつからだったのか、よくわからないけど。
自分の気持ちがわかったら、悩んだり、困ったりしていたことが、一気に解決した。
あんなに悩んでたのは、たぶん、自分でも気付かないうちに、藤野くんを好きになっちゃいけないって思っていたからだと思う。
藤野くんには好きな人がいるし、藤野くんのことを好きな人もたくさんいるから。最初から何も期待してなかったから、がっかりもしなかったんじゃないかな。
でも、好きになってもいいってわかったら、今まで止めていた気持ちが自由になったみたいで、今はただ、藤野くんのことが好き!
直くんのことで迷っていたのは、直くんはいい人だけど、藤野くんじゃないからだ。藤野くんに言われたら、全然迷わなかった。
岡田くんと藤野くんは、2人とも大切なお友達だけど、本当はちょっと違ってた。だから、藤野くんと里緒のうわさのときだけうろたえてしまった。
それに、藤野くんに頼まれると断れなかったことも、気を付けていても近付き過ぎてしまうことも。
自分でびっくりしたのは、これからは、藤野くんと2人でいるところを見られても平気って思ったこと。だって、理由があるもんね。私がそばにいてもいいんだもん!
藤野くんにタオルをあげたときも、みんなの前で使われたらちょっと困るかもって思ったけど、今は、使ってくれたら嬉しい。・・・やっぱり、ちょっと恥ずかしいけど。
コートが似てるって言われてもいい。藤野くんが呼びたければ、みんなの前で「ぴいちゃん」って呼んでくれてもいい。ずっと前にもらったストラップも使おう。
藤野くんのたったひとことで、こんなに違ってくるなんて、なんだかおかしくて笑っちゃう!
あんなにいろいろ困っていたのに。ただ、藤野くんの “彼女” になればよかっただけなんて! こんなに単純なことだった・・・けど、私にとっては簡単じゃなかった。
“運命の女性” の話を聞いたとき、藤野くんに「いつから?」って訊いたら、たしか、会ったときにはわからなかったって言ってた。じゃあ、いつなんだろう?
訊いてみたいけど、知らない方がいいかな。
この日記帳 ― 大学ノート2冊分ある ― を遡って読みながら、藤野くんはこのときどう思ってたんだろう、とか、自分は? とか、考えてみるのは楽しい。それに、幸せな気分になる。
それにしたって、この日記には、藤野くんのことがずうっと、たくさん書いてある。これだけ書いていながら、自分が藤野くんのことが好きだってわからなかったなんて・・・。藤野くんが、「こういう話をするのは早い」って思ったのも仕方がないかもね。でも、私はいつから・・・?
残念ながら、お誕生日には会えないけど、次の土曜日に出かけることにした。来週からは部活が休みになるから、またしばらくは朝も帰りも一緒。
そうだ。
直くんにお断りしないと。
申し訳ないけど・・・まあ、直くんはあんなにかっこいいし、これからは大学生なんだから、きっと素敵な彼女がすぐにできるよね。
そうは言っても、何て言えばいいのかな・・・。
「好きな人がいる。」?
なんかそれだと、なんでこの前言わないんだって言われそう。
「好きな人がいるってわかった。」?
なんだか間抜けな感じ。正直なところなんだけど。
「直くんには、もっとお似合いの人がいるはず。」?
これじゃ、私は直くんが好きだけど身を引きます、みたいだよね。
「よく考えたけど、直くんとはお付き合いできません。」?
そのとおりなんだけど・・・理由を訊かれたら、結局、何か言わなくちゃいけないな。
単刀直入に、「彼氏ができた。」っていうのは?
なんだか、直くんと二股かけてたみたい。そういうわけじゃなかったんだけど・・・。
難しい~!!
こんなことなら、その場でお断りしてくればよかった!!
見ていたカレンダーがうるう年のものでした。
どうしようかと思いましたが、このまま行きます。