陽菜子’s Diary 5月10日(火)
<陽菜子’s Diary>
5月10日(火)
今日は3時間目にお腹が空いて派手な音で鳴ってしまって、ものすごく恥ずかしかった!
なかなか止まらないし、いったいどの辺まで聞こえちゃったんだろうと思う。
おならと間違えられるのがいやで、後ろの藤野くんに言い訳したのも何だか変な気がする。
明日からはおやつを持って行こうかな。
川辺くんにノートを見せてほしいと言われて貸してあげた。すごく切羽詰まってるようだったから。
でも、中学のときのことを思い出してしまって、よかったのかどうか心配になる。
中学のとき。
解らないところを教えてほしいと、ときどき言ってきたA君。
私は特に何も考えないで、いつも説明してあげていたけど、A君の彼女は気分を害していた。放課後、教室で仲のいい子たちと話しているところを聞いてしまった。
「ちょっと勉強ができるからって。」
「可愛いわけでもないのに。」
私のことを言ってるって、すぐにわかった。それまでも彼女たちには、いやみを言われたりしていたから。
A君と私は、別に特別な関係ではなかったんだけど。
でも、彼女がいるA君が教えてほしいって言ってきたときに断らなくちゃいけなかったのに、それができなかった自分が悪かった。
そのすぐあと、靴が隠されることが2回続いた。
絶対じゃないけど、たぶん彼女たちだと思っている。困っていた私を見ながら話していた雰囲気からすると。それとも、ほかにも私のこと嫌ってる人がいたのかな?
最初のときに見つけてくれたのがA君だったので、また困ってしまったっけ。げた箱の裏にあったというから、きっと探してくれたんだと思う。
2回目のあと、先生には言わないで、げた箱の場所を空いているところに移してからは、やられなくなってほっとした。
学校にはルールがある。
特に女子に・・・かもしれないけど。
彼氏じゃない男の子と仲良くなっちゃいけない。
彼女がいる男の子と1対1で話しちゃいけない。
どこにも書いてないけど、絶対にあると思う。
それとも、かわいければ許されるのかな?
あのあと、男子と話すのは必要最低限にしている。
彼女がいるとかいないとか考えるのは面倒だし、彼女がいなくても、その人のことを好きな人がいるかもしれないから。
あれから2年くらい?今では、私と必要以上に話す男子はいない。
こうなってみると今度は、ちょっと話しただけで、私がその人を好きだと誤解されるんじゃないかと思ってしまう。
部活みたいに同じ目的で集まってるところでは問題ないんだけど、教室や廊下で雑談するのは無理。女子の目が気になってしまう。そもそも何を話したらいいかよくわからないし。
最近は女子相手でも、気後れしちゃうことも多くて困る。でも、今のクラスも少しずつ馴染んできた。
でも!とにかく目立たないことが一番。
まあ、今日のことは大丈夫だな。
加奈ちゃんは小学校からの友達だし、私にヤキモチを妬くことはないと思う。
それに、今日はノートを貸しただけで、私がついて勉強を教えたのとは違う。
よく考えたら、高校は同じくらいのレベルの人が集まってるんだから、勉強ができるかどうかで妬まれることはないんだよね。
よかった。