表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

変なやつまとめ

12 - 悪食ん

作者: 櫻井ゼノン
掲載日:2026/04/20

「サボテンさん、サボテンさん。どうしてあなたはそんなトゲトゲしているの?」


「それはね……お前を食うためだああああああ!!」


サボテンの棘って歯だったんだ。襲い掛かってきたサボテンを返り討ちにすると、

私はそのままステーキにして食べた。酸味があったけどこれはこれでイケた。

後で調べたら棘は葉だったらしい。そういうことじゃないんだけど。


「カニさん、カニさん。どうしてあなたはそんなに鋭いハサミをもっているの?」


「それはね……お前を食うためだああああああ!!」


そうこなくっちゃ! 私は襲い掛かってきたカニを返り討ちにすると、

塩ゆでにして、熱いうちに食べた。甘みがあって、プリプリとして美味しかった。

ハサミ部分にもしっかり身が詰まっているんだな。カニミソは後に取っておこう。


「オオカミさん、オオカミさん。どうしてあなたはそんなにお口が大きいの?」


「それは…そういう種族だから仕方ないっていうか…キミ、あまり他人の外見をとやかく言ってはいけないよ」


「ああ、ごめんなさい」


「いや、いいんだ。強いて言うなら、しっかり獲物を捕らえて、肉を噛みちぎるためかな。そういう進化をしてきたからさ」


「やっぱり肉を食べたいとは思っているの?」


「まぁ、肉食だからね。キミたち人間だって肉は食べるだろう? でも、だからといってキミを食べようとは思わないよ」


ちぇっ。狼肉ってどんな味か知りたかったのに。襲い掛かってきてよ。

手足とか筋肉質で硬そうだけど、赤身多めでサッパリしておいしそうだなぁ。

今からでも食べちゃおうかな。ダメかな。なんでか妙に賢いやつみたいだ。残念。


「キミはこれからどこに行くんだい?」


賢い狼がそう言った。


「おばあさんの家だよ。お使いを頼まれていたの」


「へぇ、偉いんだね。何を持って行ってあげるんだい?」


『食べ物』


私がそう言うと、狼がスッと真顔になった。どこかおびえているように見える。

私、何かおかしなこと言ったかな。


「そ、そうか。気を付けて行きなさい。ここらには人も襲うクマが出るって話だから」


「分かった。ありがとうオオカミさん」


私は急に弱々しくなった狼と別れて、森の中をしばらく歩いていると、

途中で突然大きな銃声が聞こえた。

その方へ向かってみると、猟師さんがクマから逃げていた。


「クソッ、まさか二頭いるとは」


私は猟師さんを襲っていたクマを返り討ちにすると、

その一頭を譲ってもらうことにした。

もう一頭を確認しに行くと、既に仕留められていた。


「い、いやぁ、助かったよ。嬢ちゃん…強いんだな」


「あなたこそ、素晴らしい腕前じゃないですか」


お互い固く握手を交わした後、私は猟師さんに手を振って別れ、

クマを背負っておばあさんの家へ向かった。

背中がだいぶケモノ臭いけど仕方がない。うーん、おばあさん喜んでくれるかな。


私がクマを引きずりながらおばあさんの家に着くと、

おばあさんは家を食べていた。


「遅かったじゃないか。待ちくたびれたよ」


「ごめんごめん、ちょっと色々あってさ」


おばあさんは私が背負っていたクマを見ると、

目をギラつかせ、じゅるりと舌なめずりをした。


「良い物捕まえたね。今夜はごちそうになりそうだ」


「ふふーん。でしょ? 結構頑張ったんだから」


私は先に、大きなクーラーボックスからサボテンとカニを取り出して、

サッと調理をすると、前菜としておばあさんに振る舞った。

おばあさんはそれをぺろりと平らげていた。


「クマは調理に時間かかっちゃうけど、大丈夫?」


「あぁいいよ。その間何か食べてゆっくり待ってるからね」


おばあさんはそう言って、余っていた椅子を食べ始めた。


私はクマに血抜きなどの処理をしっかりとした後で、

巨大な鍋で、臭みを消しながらじっくりと長い時間をかけて煮込み、

出来上がった物を、おばあさんと向かい合って一緒に食べさせてもらった。


「はー、お腹いっぱい。お肉ほろほろで美味しかったぁ」


「良い物をありがとうね。うまかったよ」


「良かった。また取ってくるね」


お腹がいっぱいになって満足したところで、

私は以前から気になっていたことを、おばあさんに尋ねてみた。


「おばあさん、おばあさん。どうしておばあさんは色んな物を食べているの?」


「おや、今更そんなことを聞くのかい? 人は何したって食わなきゃ生きていけないんだ。それを楽しまないでどうするんだい」


「それもそうだね」


私が納得して頷いていると、おばあさんはお皿をバリバリと食べ始めた。

これでもちょっと物足りなかったのかもしれない。


おばあさんには敵わないな。私もなんでも食べられるようにならなきゃ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ