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日本脱出  作者: さくらもち


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7/11

ソウルの朝

バスが止まったとき、窓の外はまだ少し暗かった。


でも街はもう動いている。


大きな道路を車が途切れず流れている。

信号の光。

ハングルの看板。


見慣れない文字が、街中に溢れていた。


サラが言う。


「ソウル」


ミナが目をこする。


「もう?」


バスのドアが開く。


外に出た瞬間、空気が違った。


朝の匂い。


コーヒーの香り。


屋台から出る甘いパンの匂い。


人の話し声。


全部が日本と少し違う。


「여기요!」


誰かが叫ぶ。


韓国語。


早口で飛び交う言葉。


私は思う。


本当に外国だ。


バスターミナルは広かった。


天井の高い建物。


巨大な電光掲示板。


全部ハングル。


英語は小さく下に書いてあるだけ。


ミナが言う。


「文字、全然読めない」


サラが笑う。


「それが海外」


外に出ると、街はもう完全に朝だった。


スーツ姿の人が急いで歩いている。


学生がコンビニで飲み物を買っている。


地下鉄の入口から人が次々出てくる。


車のクラクション。


コーヒーショップの音楽。


遠くのビルのガラスが朝日に光っている。


ミナが立ち止まる。


「でかい」


私は同意する。


釜山も大きかったけど、


ソウルはもっと大きい。


まるで別の国の東京みたいだ。


私たちはコンビニの前のテーブルに座った。


紙コップのコーヒー。


甘すぎるパン。


それが朝ごはん。


サラがスマホを出す。


「次」


ユイが地図を広げる。


赤い線。


韓国。


その先。


中国。


サラが調べる。


しばらくして、眉をひそめた。


「問題」


ミナが笑う。


「また?」


サラはスマホを見せる。


英語のページ。


私は単語を追う。


China。


Entry。


Visa。


ミナが聞く。


「ビザって何?」


サラがコーヒーを一口飲む。


「中国入る許可」


「持ってる?」


「ない」


沈黙。


朝の街の音だけが聞こえる。


車。


人。


韓国語。


ミナが言う。


「作ればいいじゃん」


サラが画面をスクロールする。


それから言った。


「発行まで」


少し間。


「一週間」


ミナが固まる。


「……一週間?」


私は思う。


それは長すぎる。


私たちの旅は


そんなに余裕がない。


夏休み。


帰国。


卒業。


時間は限られている。


ユイは地図を見ていた。


ずっと。


そして指を動かす。


韓国。


その上。


海。


その向こう。


ロシア。


ミナが言う。


「え?」


ユイは静かに言う。


「船」


サラがすぐ調べる。


指がスマホの画面を動く。


しばらくして言った。


「ある」


「ほんと?」


「週二回」


私は街を見る。


ソウル。


巨大な外国の都市。


知らない言葉。


知らない人。


その中で、


私たちは次の国を決めようとしている。


ミナが笑う。


「待って」


「なに?」


「ロシアってさ」


少し間。


「めっちゃ外国じゃない?」


サラが肩をすくめる。


「今も外国」


私はコーヒーを飲む。


甘い。


でも少し苦い。


ユイが言う。


「行く?」


誰もすぐ答えない。


遠くで地下鉄が走る音がする。


外国の朝。


外国の街。


外国の空気。


ミナが立ち上がる。


「行こう」


サラも立つ。


「ロシアか」


私はバックパックを背負う。


ユイは地図をしまう。


そして私たちは、


ソウルの雑踏の中を歩き出した。


次の目的地は


ロシア。


気づいたときには、


私たちはもう


日本から


かなり遠い場所に来ていた。

次回予告


ここは地球と似ているけど、地球ではない別の世界。別にvisaなんかなくても国に入れちゃいます(実際にやったら犯罪だからだめだよ)



18時、お楽しみに

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