子供にかえる時
沈みゆく夏の夕陽に向かって凪いだ水面に光の道が続く
どこへ向かうのか
夕暮れの空に絵のように浮かぶ飛行機
優しい波に打ち寄せられたとりどりの形の貝殻
どこから流れ着いたのか四角い小さな空色のタイル
それらが手の中の宝物になる
雨上りの日本海に雲間から天使の梯子
照らされた海面は灰色の景色の中で神々しく煌めく
晩秋の冷たい風が柱状節理の谷間に打ち寄せる白い波濤を
恐る恐る覗き見る
そんな怖い物見たさが顔を出す
北の山々からの水滴を集め真っ直ぐに流れる川のせせらぎは
春の光を跳ね返し
そのきらめきの中に誘うかのように並ぶ両岸をつなぐ飛び石
上手く飛び移れるだろうかという躊躇いを打ち負かす誘惑に
石の隙間の流れに捕まることなく
川遊びの浦島太郎になる
けれど
窓辺で 岩場の後ろで 橋の上で
なかばあきれながら見守っていた人は
もういない