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とても暖かくて心地良い。
どれくらい寝てたんだろう?今日の予定は何だったかな?
上体を起こし、大きく伸びをして息を吐いた。そして、目を開く。
そこは地平線まで広がる草原のど真ん中だった。
・・・何があったんだっけ?あれ?
頭の中の歪んでいる記憶が徐々に鮮明になり、あの嫌な光景を思い出していく。
そうだ。私は未来に飛ばされて・・・。
あれからどうなったんだろう?ここは未来なのかな?少なくとも世界が砕けたりはしていないみたいだけど・・・。
「おはよう」
声が聞こえた。女の子の声。
振り向くと、一人の少女がいた。
「おはようございます」
輝くような金髪で顔も整っている。まるでお姫様のような人だった。
大きなパラソルの影でビーチチェアに寝転びながら読書をしていたようだ。
ここはもしかしたら天国なのか?こんな草原にワンピースを着た女の子がいるのはおかしい。
「やっと起きたわね」
彼女は立ち上がると、杖を一振り。パラソルとビーチチェアは消えてしまう。
ま、魔法・・なのかな?
よっぽど変な顔をしていたのか、「何よ?」と少女は顔をしかめている。
「いえ・・・今のは・・・ま、魔法ですか?」
「そうよ。・・・あなた、大丈夫?寝ぼけてるの?それとも、記憶喪失?」
あわてて否定する。
彼女は息を吐いて「まぁ、いいわ」と、言ってから手を差し出す。
「私はメアリー・クレマチス。よろしくね」
「あの、シェリー・ミッチェルといいます」
その手を握る。
「そう。シェリーね。あなたはどうしてここで寝ていたの?」
・・・正直に言って信じてもらえるかな?突拍子もないことを言ってるように聞こえそう。でも、言うしかないよなぁ。
「私、過去から来たんです」
「過去?」
「そうです。それで気付いたらここで寝ていて・・・」
それを聞いてメアリーさんはほくそ笑んだように見えた。
「あの・・・」
「あなた、面白いわね。・・・ねぇ、シェリー。行く場所とかあるかしら?」
「ありませんけど・・・」
「なら、私の家に来ない?ゆっくりお話しましょう」
いきなりだな。・・・でも、この状況でこれ以上のありがたい話はない。
このままではきっと広大な草原で野垂れ死ぬ可能性だってあるし・・・。
「はい。よろしくお願いします」
「うん。私に任せなさい」
メアリーさんはほうきを手元に出す。何もない所からいきなり現れた。これもきっと魔法なんだろう。
「じゃあ、早速行きましょう」
メアリーさんはそれにまたがるように乗った。
「乗り方は分かる?」
「いいえ、初めてです」
「そう。教えるから後ろに乗って」
言われた通り、ほうきに乗って腰に手を回す。
初めての飛行だ。緊張する。
「飛ぶわよ」
「は、はい」
フワリと浮かんで進み出す。
自転車より早くて少し怖い。
「気分悪くない?」
「はい。大丈夫です」
「よかった。この草原は広いから飛ばすわね」
スピードが上がる。
怖いけど、風を切る感じが気持ちいい。・・・これが魔法なんだ。
未来はどんな所なんだろう?これから私に何が待ち受けているんだろう?
ワクワクと不安が入り混じる。
私は生きていく。
お母様とお父様が繋いでくれた命。それをまた次に繋げる為に・・・。
このお話はメアリーとシェリー編のお話があって、さらに過去のお話だったのです。滅茶苦茶です。過去編なので何をしてどうなるかまではフワッと決まっています。フワッと。でも、お話のストックないですし・・・どうしましょうか。紗倉見のお話を中心に進めていくので更新はさらに遅いかもしれません。