カクタシアの調査
「おいおいおい!?貴重なサンプルだったのに!なんて事してくれるんだ!!」
「何よ!?鋼神様が助けてくださったのに!!何て言い草なのよ!!」
「オレ様、このサボテン女、気に食わないぞ!!」
「オイ・イツマデ・ケンカシテル??モウソロソロ・ヤケルゾ」
俺たちは領主カクタシアをサボテーピオンの襲撃から救助したのだが、どうやら研究の為にサボテーピオンを損傷の少ない状態で倒したかったらしい。
サボテーピオンの肉はサボテンジャーではスパイスを使っておかずとして食べられている。
食べると眼が良くなると信じてられていて、PCMSのチャンバー内で解析したところ、ビタミン類が豊富である事が分かった。
健康には良さそうだ。
「むむ!!このゴーレム!なんと料理上手なんだ!?この旨味!まるで何時間も煮込んだかの様だ!」
「鋼神様が作ってるんだから、人間如きの料理に負けるはずがないじゃない!」
「オレ、生まれてこの方料理なんてした事が無い。爺達が作ったし、爺達も大概料理が下手くそでいつも丸焦げか生焼けだったぞ。」
「君は一体何処の蛮族出身なのかね?」
「偉そーに。アンタも料理出来ないんじゃない。」
「そう言われればそうか!未加熱のサボテンで腹を壊した回数はもう数え切れない!」
「・・・・・」
セイバーハンズ教会の炊き出しの時に分かった事だが、ミリアとアレッタの料理センスの無さは絶望的だった。
この領主カクタシアも料理が出来ない。
オレのチャンバー内で赤外線気密調理した肉はトロトロのホロホロになっていて、サボテン料理と良く合う。
「ねぇ、なんで帽子がサボテンなワケ?」
「ん?この質問は余所者から良くされるが、サボテンジャーの領主はこれを被る。初代領主で曾祖父さんのドゥカジが決めたんだ。実際は曾祖母さんが作ったルールらしい。」
「サボテン愛に溢れてるんだな!」
「父さんは凄い嫌がってたけど、私は気に入ってるがね!流石にこれは作り物のサボテンだよ。本物を被ると蜂だの蝿だのが湧いて酷い目に遭うぞ?」
ご先祖のドゥカジは顔がパンパンになるくらい蜂に刺されたという。
可笑しな一族だ。
「その魔法士、バカなの?」
「おい、曾祖父さんを悪く言うな。」
「後先考えないのだ。」
カクタシアの調査していたサソリモドキのサボテンはサボテーピオンの尻尾によって受粉し、勢力を広げているようだ。
カクタシアが採取した毒針と花粉、そして新種のサボテン胚をピンセットでフィルター付きのフラスコに入れて蓋をした。
「そして、サボテーピオンは小移動をしつつ、そのサボテンの群生地で息を潜めて獲物を仕留めたり、強敵をやり過ごしたりするワケだ。まさか、サソリがサボテンを『栽培』するとはなぁ!!」
「サボテーピオンは日陰で休めるし、お礼にサボテンの受粉を手伝ってくれる。中々考えるわね。」
「ズル賢いのだ。でもそれが砂漠で全力で生きることなのだ。」
サボテン談義も良いが本来の話題に移るとしよう。
「鋼鉄教団?あぁ、パペットグラスで流行ってる、小さなオモチャを作ってるところか!あれはなかなか良い造りをしているな!私も鋼神ゴーレムシリーズ、持ってるぞ!」
ミリアは心外そうだ。
「鋼鉄教団は別にオモチャを作る組織なんかじゃないわよ!でもあのゴーレムの素晴らしさを理解出来ているのは誉めてあげるわ!」
「おお!カクタシアも鋼神様の素晴らしさを広める、れっきとした信者なのだ!」
いや、ある意味オモチャ造りが主軸かも。
ロボット軍団作る為の免罪符みたいなもんだし。
「うむ!良いぞ!セイバーハンズ教会の隣に建てると良い。君達の教義はシンプルで軋轢も少なそうだ。あと、例のゴミを集めるゴーレムがあると、皆喜ぶな。」
あっさりと建立許可を得たが、カクタシアはここを離れられないので、正式な認可を街で処理出来ない。
「えー?もう調査は終わったんじゃないの?」
「さっさと帰るのだ。」
「いや、帰らん。」
カクタシアは真剣な表情で言った。
「『サボテン魔王』らしき痕跡を見つけたんだ。この足跡を見ろ!」
確かに足跡はあるが、小動物が歩いた様にしか見えない。
「キツネか何かの足跡に見えなくもないわね?」
「オレ様は、イヌだと思うのだ!」
(スキャン中,,,,,データを検索,,,,二足歩行の形跡,,,,,,該当する生命体無し,,,残存する粒子はブルー・デザート固有のサボテン,,,,,,,)
「ドウヤラ・ホントウニ・アルク・サボテンノ・ヨウダナ」
「何か分かるのかね!?」
「アルク・サボテン・ト・ダケ」
俺たちは伝説の存在に導かれつつあった。




