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ミリアも冒険者!

あたしは鋼神様に奉ずる鋼鉄教団の聖女ミリア。


ついこの間まで集落にいるただの無力な娘だった。


ある夜ゴブリン達に集落を襲われて、お父さんとお母さんは逃げ切れたけど、あたしはなす術もなく攫われ、暗い洞窟の中で辱めを受けた。


あたしは集落でも変わり者って言われてて、あんまり皆と仲良くなれなくて、何人かは結婚したり集落から出て行ったりしたけど、あたしだけ集落でそのままおばあちゃんになっていくのかなぁなんて思ったりしてた。


いつかおとぎ話の勇者様が来てあたしをこの小さな集落から連れ出してくれるんじゃないかと夢想することもあったけど、そんなものはなかったわ。


両親がサラサラして綺麗だ、って自慢してくれたあたしの髪をゴブリンが乱暴に鷲掴みにしながら、醜い顔を快感で恍惚とさせて跨って腰を振っている最中も、うっすらそんな事を思ってた。


けれどもう純潔も最悪な形で失って集落の仲の良かったおばさんやおじさんが目の前で殺されたり、食べられたりしている光景を見て、絶望してしまった。


死に方だけなら選べると思って、お父さんとお母さんに詫びながら近くにあった短剣を喉に向けた。



その時に神様が現れたの。


全てを薙ぎ倒す、怒れる鋼鉄の神が。


「鋼神様・・・・」


鋼神様は不思議な筒から光を弾けさせて魔物の身体に沢山の穴を空けて、血を流させたわ。


そして反りを持ったとても大きな剣をひと振りすると魔物の身体は一瞬で千切れ飛んでしまったの。


洞窟が完全に静かになるまで、1匹たりとも逃さなかった。


そこから集落に戻って、この奇跡を伝えて、死者を弔い、あたしは洞窟で鋼神様にこのいと小さき命を救ってくださった感謝を捧げる日々が始まった。


時々、魔物の呻き声がしたけど、もう怖くなかった。


実際、鋼神様は魔物を全て平らげたし、あたしの側に常に居てくれた。



「やっぱりうちの集落と違って大きな街よね。ほんと色々売ってて困らないわ。」


あたしはパペットグラスの雑貨屋で手芸小物を買おうとしていた。


編み物は苦手だけど、頑張ってあたしだけのオリジナル鋼神ぬいぐるみを作りたい!


「むむむ!集落でもらったお小遣いがカラになってしまうわ!何か金策を考えないと!あ!そうだ!」


冒険者ギルドがあるじゃん!


良く聖職者や魔法士もたまに修行の一環で冒険者になるとかならないとかお父さんが言ってた気がする。


だけどあたしはこの前、昂って冒険者ギルドを襲撃してしまったことをすっかり忘れてしまっていたの。




「へぇー?鋼鉄教団の『聖女様』ともあらせられるのに、当ギルドに何の御用でしょうか??」


冷たい視線の受付嬢のお姉さんから、あたしは目を逸らしながら話をするしかなかった。


「え、えっとね?あたし、クロガネから来たんだけど、お父さんとお母さんから一応お小遣い貰ってたの。それで、鋼神様の素晴らしさを伝えてきなさいって言われたんだけど、ちょっとお小遣い足りなくなっちゃったの!」


周りの冒険者は額に手を当てて可哀想なものを見る目になっているが、受付嬢から助けてはくれない。


「で?」

「はい?」


受付嬢はこめかみをピクピクさせながらあたしに冷ややかに言ってきた。


「甘ちゃんの田舎娘が!ここはアンタみたいな世間知らずがくるところじゃないよ!!!」


急にヤンキー姉御口調になった受付嬢にあたしは怯んで涙目になってしまったけど、負けない!


「あ、甘ちゃんなんかじゃないもん!!!た、確かに知らないことは多いけど!迷宮で魔物に乱暴されてたあたしを助けてくれた鋼神様への信仰は本物よ!そのためなら火の中水の中!死ぬのだって怖くない!みんなを助けるためにあたしは聖女になったんだから!!!!」


ヤバい、ちょっと泣いちゃった。


シーンと静まり返った冒険者ギルドで冒険者達はさっきのような目であたしを見る者はいなかった。


「へぇ?なかなかガッツがあるじゃない?まぁいいわ。ギルドをメチャメチャにした罰はコレで終わりにしといてあげる。」


「ほえ?」


「ウィービーよ、よろしく、ミリア。」


「あ、あの、、はい、よろしくお願いします、ウィービーさん。」


ため息をついた受付嬢ウィービーがミリアに書類を渡した。


「アンタはすっごくバカだし、これからもなんかバカなことするでしょ?でもクズじゃないわね。言っとくけど、まだまだアンタに本物の冒険はさせられない。何故ならバカだから!」


「そんなにバカバカ言わなくったって、、、」


あたしはすっかりしょげてしまった。


「だって事実だし。鋼神様ももうちょっと穏便に、とか言ってたんじゃないの?どうせアンタが1人で暴走して迷惑かけてたんじゃない?」


「!!!???どうして鋼神様と同じ事を貴方が!!??」


冒険者達が皆苦笑いしているのはなんでだろう?


「いえ、なんでもないわ、大体わかったから。ねぇ、早く書類書いてくんないかしら?ギルドカード渡せないんだけど?」


「え!?あ、あの!あたし文字書けません!」


言うの忘れてた。


「早く言いなさいよ!代筆してあげるから!」


こうしてあたしは晴れて冒険者ミリアに成れた訳だけど、最初の仕事は超格安依頼、冒険者ギルドの清掃と修理だった。


「ど、どうしてあたしがこれの修理を????」


頭に三角巾を巻いてトンカチと板を両手にうろちょろしているあたし。


なんだかとっても冒険者らしくない!


「アンタふざけてんの??お金もらってるんだからテキパキやりなさい!」


「ひ、ひどいですよウィービーさぁん!!!」


しばらくミリアはウィービーにこき使われる忙しい毎日を送るハメになったとさ。

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