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鋼鉄教会

「教会に来るのは久々ね!散々壊したいとか言ったけれど、やっぱり壊すのはもったいないわ!ね?鋼神様?」


「オレハ・タシュウキョウヲ・コウゲキ・スル・シュミハ・ナイゾ・ミリア」


「流石は鋼神様!格の違いですね!」


この娘と話、噛み合わないなぁ。



俺たちはこの国の国教であり、他の国でもポピュラーなハンドランド最大の宗教組織『セイバーハンズ』の教会に来ていた。


ただ誤解されない様に挨拶しに来ただけなのにミリアがイケイケだから困ったものだ。


いかにも聖母という優しそうなシスターが出迎えてくれたが、なんだか冒険者の護衛があからさまに領主より多かった。


それだけ権威があるのだろうか?


「あらあら、皆さん、ここは物騒な物は必要ありませんよ?」


「へっ!俺らはシスター・メアリにただ『顔を見せに』来ただけだぜ。」

「なんかヤバいやつらが、シスター・メアリのいる教会に来てる、って聞いてな!」

「そうだなぁ!そいつが冒険者ギルドで暴れた危険人物だって聞いてよぉ!心配して見に来た訳だぜ!」


なるほど。


それほどこのシスターが慕われているという訳か。


権力とかの類では無いな。


「ミリア・・・ポッドカラ・オリテ・アイサツ・スルンダ」


「えー?鋼神様ともっと一緒にいたいー!」


「ドウクツデ・カミサマニ・イノッテ・イタノハ・ミリア・ダロウ?イジハラナイデ・キチント・オレヲ・ヒキアワセタ・カミサマニ・ホウコク・シテクレ」


ミリアは目をキラキラさせながらお祈りポーズをし始めた。


「そうですね!良く考えたら!いや、考えなくても、鋼神様は神様が呼んだ神様なんですから!ちょっとシスター・メアリのところに行ってきます!」


プシューーッ!


保護ポッドから出たミリアを見て、冒険者の男達は息を飲んだ。


あまりにもミリアが美しかったからだ。


俺の新しい機体、CPMSのポッド内にはさまざまな化粧品が補充されるが、俺が前世の地球に居た時に女性芸能人使っていた商品の成分データをダウンロードして、この世界にある材料から抽出して作った物がある。


ミリアにそれの使い方を教えたらクロガネ中で流行りだして今や集落ではカップルを増産しているらしい。


しばらくご無沙汰の夫婦も新しい命を授かったとかなんとか。


それくらいの威力を化粧品は秘めている。


女性にとっては教養や学歴と同じくらい人生を左右する物なのだ。


「う、、、美しい」

「く、、悔しいが、この中のヤバい奴がこんな可憐だなんて、、、」

「いや!シスター・メアリが1位!この娘は1位タイだ!」


ミリアは唇を尖らせたが、若干赤くなっている。


「し、、、失礼ね!あたしは鋼鉄教団の聖女、ミリアよ!それにアンタ達!どこ見てんのよ!!」


ミリアの服は俺が彼女の体型をスキャンして3Dプリンターで作った伸縮性と対刃性を持つ強靭なコンポジット繊維で出来ており、臀部と胸元に体温調節を容易にするベンチレーションをジッパー式で設けていた。


しかしながら本人曰く、暑がりなのでベンチレーションは常に解放状態だった。


それが少し露出度を高めている原因かもしれない。


「あらあら、ミリアちゃん久しぶりねぇ?」

「え?会った事ありましたか?」


ついつい敬語になってしまったミリアだ。


なんだかんだでクロガネはセイバーハンズの影響力下にある。


「私がまだ小さい頃、貴方が集落から来て教会で祝福されていたのを覚えていますわ。ミリアという名前の女の子は貴方だけですから、覚えています。ご両親ともお顔が似ていますし。それに、、、」


ニッコリと微笑んだシスター・メアリはミリアに何かを耳打ちする。


顔が真っ赤になったミリアは慌てふためいた。


「もー!シスター・メアリ!恥ずかしいですってば!2人とも今でもその話するんですから!わたし、もう大人です!!」


「あらあら?大人のレディは自分の事を『大人です』なんて言いませんわ。それに、あの摩訶不思議な乗り物はなんですか?」


ハッとしたミリアは機体を紹介するチャンスとばかりに胸を張った。


バインバイン揺れている。


「よくぞ聞いてくれました!目の前に鎮座するは鋼神様が遣わしたゴーレムであります!このゴーレムには神格が宿っていて、それは数多の鋼鉄を統べる鋼神様なのです!そしてあたしはクロガネの地で発足した鋼神様に奉ずる『鋼鉄教団』の聖女となったのです!!これからヨロシクッ!」


困惑するシスター・メアリは懸念を口にした。


「か、彼の者は冒険者ギルドより討伐対象になっていると聞きましたが、、、」


それを聞いたミリアは激昂した。


「フン!そんなの冒険者が悪いんじゃない!鋼神様の秘宝を狙った愚か者に天罰が当たっただけ!!何が討伐よ!逆にあたし達が手配書出した連中を討伐してやるわ!そいつは誰なの!?言いなさい!シスター・メアリ!」


あ、目が血走り始めた。


「ヨセ・ミリア」


「「「!?ゴーレムが喋った!?」」」


シスター・メアリは動揺をしながらも俺に語りかけてきた。


「貴方様は、、、鋼神様、、でよろしいのでしょうか?」


「ウム・ソウダ・ミリアガ・セワニ・ナッタヨウダナ」


俺はとりあえず冒険者達をシスター・メアリに解散させ、ミリアと2人きりで話をさせた。


ミリアがシスター・メアリに何を独白してしまったのか分からないが、教会から出た時には2人とも仲の良い友達みたいな雰囲気になっていた。


それに俺の知らないところで幾つかの案件が決まってしまったが、その一つが俺たちの布教拠点、『鋼鉄教会』の建立だ。


なんとセイバーハンズ教会の隣である。


「ホントウニ・ココデ・イイノカ?」


「ええ!ええ!構いませんわ!どうせならわたくし達が管理するのですから、行き来し易い様に教会の壁を繋げて下さいな?」


ニッコリお願いされたけど、これなんかあった時に鋼鉄教団の建物を丸々もらう気満々だろ。


「それは便利そうね!あたしもシスター・メアリーに直ぐに会えるじゃない!」


流石、アホの子のミリア。


全然分かっていない。


直ぐ会うだけなら正面扉出てすぐ隣なのに。


シスター・メアリーはミリアがアホ過ぎて困り顔だったが、まぁ、それは良しとしよう。


3Dプリントドローンで直ぐに出来上がった鋼鉄教会はあらゆる自然災害や有事に強いドーム型の建物で、時間毎に合わせて太陽光が差し込んで暗くならない様にしている。


出来上がった建物で一番喜んでいたのは教会のシスター達だ。


俺が鋼鉄教会のプレハブ宿舎に用意したエアコン、洗濯機や乾燥機、ガスコンロ、電子レンジ、シャワー室、水洗トイレなどが衝撃的なほどウケたらしく、教会の本宿舎を引き払って皆こっちに移ってきた。


一応ここ鋼鉄教団の宿舎なんだけど。


プレハブは沢山作ったからまだまだ空きがあるから良いけどさ。


鋼鉄教会の地下室を造るためにキャリーボットに掘らせたのだが神聖な土地でしか採れない希望石が、巨大な岩塊のままで採掘されるとシスター・メアリー達がそれはセイバーハンズ教会が欲しいとか言ってきたのだ。


もちろん、俺のだからあげない。


皆ブーブー言ってたが知らん顔してたけど、ミリアは嬉しそうだった。


鋼鉄教団に箔がつくとかなんとか。


地下室にはロボット製造組立ラインと、ロボット加工チャンバーを作った。


更に小物や武器を製作する3Dプリント作業スペースも設けてある。


「シスター・メアリー・ワレヲ・オソッタ・モノヤ・ジコデ・ナクナッタ・ボウケンシャ・ノ・イヒン・ヲ・ウケトッテハ・モラエナイ・ダロウカ?」


冒険者達の遺骨と遺品がまとめてあるセラミック・ボックスをシスター・メアリーに渡したらとても感謝された。


特にギルドカードについてはシスター・メアリーを慕う冒険者達にも犠牲者の知り合いが何人か居た様で、彼女は冒険者ギルドに報告すると同時に、俺に対する敵対行為を止める様伝達させた。


セラミック・ボックスが余りに膨大な為に一時的に鋼鉄教会に安置される事になった。


そのうち各地の教会にセラミック・ボックスは帰っていくだろう。


こうして俺は然程労もせずパペットグラスに拠点を手に入れた。


鋼鉄教団の教会は入信自由であり、俺を崇め、平和を願えば良いという緩めの宗教だ。


特に決まりは無いが、鋼鉄教団の信者に手を出せば俺は積極的に影響力を行使するつもりだ。


新しいロボットの実験をする為に。

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