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Earchlo 設定輯  作者: 稲土瑞穂
トクヰリニ=サ・ヺニ祖語A(PTSV-A、F-T=C)
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概要と音韻と

 地球時代に人間が初めて接触した「友好的宇宙人」であるキ・ヷ・ヺニの言語(A-T=C)のもとになった言語で、対格言語。音韻は初めて人類と敵対した異星人であるリ・ヷ・ヺニの言語の祖語「トクヰリニ=サ・ヺニ祖語B(PTSV-B、I-T=C)」と同じ(但し体系は全く異なる)。名詞、動詞、形容詞からなり、格とは無関係に形容詞-名詞-動詞の順である(「ANV語順」と呼ばれる)。

・歴史的経緯

 キ・ヷ・ヺニは自分らの母星を発つ迄はトクヰリニ=サ・ヺニ祖語Aを話しており、非常に保守的な状態であった。併し何らかの理由で母星を出て大規模な移民船団として宇宙を彷徨う内に、遠隔通信や短時間での明確な意思疎通を必要とした為に変化していき、地球に到達する頃には数などを失っていた。

 地球への来訪(キ・ヷ・ヺニの真赤な外見から「赤来」又は「赤訪」と呼ばれる)から、暫くは地球の軌道の幾つかに停留していたキ・ヷ・ヺニだったが国際的な呼びかけにより地球上の多数の国家・地域及び火星に移住する事となった。其の後キ・ヷ・ヺニは、現地の住民との交流によって自身や現地の言語を変化させていく事となる。借用語の受け入れに留まった地域もあれば、クレオール言語化した地域、混成言語化した地域もあった。これらの言語を「トロ=クリティカ」(T=C)又は「トロ=クリティカ諸語」と総称する。第二次世界大戦後、トロ=クリティカの言語学的調査からトクヰリニ=サ・ヺニ祖語Aが復元され、其れを元にして簡素な共通語「現代アストロトロ=クリティカ」(MA-T=C)が制定されたが、国際交流が活発になると両惑星でコイネー言語「地球共通トロ=クリティカ」(EC-T=C)と「火星共通トロ=クリティカ」(MC-T=C)の二種が成立した。

 リ・ヷ・ヺニとの戦争が終結すると、地球も大きな被害を受けた事からかトロ=クリティカ諸語を母語話者とする地球人も現れた。

 経緯は不明だが、『Earchlo』に於てもトロ=クリティカ諸語を祖とする言語の母語話者集団が存在するようである。


・文法関連諸事項

 名詞の文法範疇は、格(主格、対格、属格、与格、奪格、所格、崇拝呼格、卑下呼格、単純呼格、共格、分格、変格、様格、因格、内格、具格、欠格、向格、時格、出格、接格、入格)、数(単数、双数、複数)と、大きさ(巨大、中規模、極小)がある。形容詞的な意味を持つ格であっても、押並べて名詞として扱われる。名詞では最初の音節の母音(V₁、①)と最後の音節の母音(V₂、②)とが格変化によって変化する。

 動詞の文法範疇は数と大きさ(どちらも名詞と同じ)、態(能動、受動、使役、使役受動、自発的)、証拠性(有り、無し、曖昧)、法(不定、意志、疑問、勧誘、否定命令、仮定、否定、命令、希求)、動作主と被動作主、などが存在する。又、動名詞、動形容詞も存在する。

 形容詞の文法範疇は数、大きさ、時制(現在、近過去、遠過去)、相(完結相、進行相、完了相、結果相、起動相、終結相、習慣相)、修飾先の品詞による変化(動詞、形容詞、名詞)が存在する。

 初心者向けに、語根を示す場合は[xxx]と角括弧で囲まれる。

・数

 双数は、例えば「人」であれば「二人の人」を意味することも、「人が代表する二つのものからなる集団(人一人と何かとが二つ)」を意味することもある。複数も同じ。後に単数が「通数」となった。

 特定の子音が数を表す事があり、此れは数が変わると変化する。

・語彙

 A-T=Cが日常的に用いられる状態になっても文語として用いられ、人間の時代でも国際言語の一つとして「崩壊」迄用いられ続けた為、口語から借用されるなどして同義語が大量にある。尚時代によってその語を借用語として扱うか固有語として扱うかが異なるが、初期からある語の多くでは意味の変化が少ない。

・音韻

 十三の母音と、六十二の子音とからなる。元々キ・ヷ・ヺニは言語の表記に表語文字(起源不明)のみを用いていたが、人間と接触した頃は表意文字と音節文字とを使う表記法を用いていた。併し、Earchloの「現代」では主に各地域の文字に転写される事が殆どである(作中では以下の通り拉字転写される)。キ・ヷ・ヺニが人間と異なる生物であり、以下に書かれているスラッシュに囲まれた発音も飽く迄人間が読む際の指標でしかない事に留意されたし(国際音声記号を基にした発音記号である。地球時代には人類がキ・ヷ・ヺニに対して話す時の発音(キ・ヷ・ヺニの聞き取りの為の発音)の他様々な発音が存在した為非常に難解であった)。

母音 a i ī ï u₁(u) u₂(ü) e₁(e) e₂(ë) e₃(ę) e₄(ė) e₅(ê) e₆(è) e₇(é) o ö

子音(肺臓気流) m Ñ/n̼/ n/n/ g/ŋ/ N/ɴ/ p/p/ b/b/ D/d̼/ t/t/ d/d/ c/c/ ġ/ɟ/ k q/q/ G/ɢ/ '/ʔ/ ɸ/p͡ɸ/ w/b͡β/ C/t͡s/ ty/t͡ʃ/ J/ɟ͡ʝ/ K/k͡x/ Q/q͡χ/ H/ʔ͡h/ f/ɸ/ s/s/ z/z/ S/ɕ/ Z/ʑ/ j/ʝ/ x/x/ g/ɣ/ X/χ/ h/h/ r/ɾ/ B/ʙ/ R/r/ l/ʀ/

(非肺臓気流)

  両唇  歯      歯茎     硬口蓋歯茎

1 kP/kʘ/  kT/kǀ/    kL/kǃ/   kʞ/kǂ/

2 kPh/kʘʰ/ kTh/kǀʰ/   kLh/kǃʰ/   kʞh/kǂʰ/

3 qP/qʘ/  qT/qǀ/    qL/qǃ/   qʞ/qǂ/

4 GP/ɢʘ/  GT/ɢǀ/    GL/ɢǃ/   Gʞ/ɢǂ/

5 gP/ŋʘ/  gT/ŋǀ/    gL/ŋǃ/   gʞ/ŋǂ/

6 ‘gP/ʔŋʘ/  ‘gT/ʔŋǀ/   ‘gL/ʔŋǃ/   ‘gʞ/ʔŋǂ/


 註1:母音の区別には小書きの数字が用いられる事も、括弧内の記号付きのものが用いられる事もあるが、地球時代からの慣用として、一般的にeには数字で、其れ以外には記号で区別する。

 註2:母音に就て発音記号は存在しない。此れはキ・ヷ・ヺニが何の様に母音を発音したのか現在では不明瞭である為めと、他言語を母語とする地球人による記述でもこれらが何の様に聞こえたのか曖昧である為めである。

 尚、借用語に就て、e1~e7の何れかを選択する事が難しい場合、Eで代用できる。但し母音の変化が起こらない場合に限る。

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