4わたし、転生(?)してました
は―。やっぱり…。
本当にこれ現実なのよね…?頬をつねってみると、やっぱり痛い。夢だったらよかったと何度も考えるが、どうやっても周りの様子は変化しない。
多分、今の話を聞いた限りでもほとんど間違いないだろうけど、この世界は私がプレイしていた乙女ゲームの『聖なる乙女と王子達』通称「セイオト」の世界だと思われる。そしてよりによって、このゲームの悪役令嬢のサフィシル・トワイライトになってしまっているようだが、なぜだろうか?
……思い出してきたぞ…。たしか、仕事を終えて帰っていたはず…ただ、家に帰った記憶がない…。ということは、まさか…。
わたしは家に帰る途中で何らかの原因で死んでこの世界に転生してきたと考えるのが妥当だろう。
(はー。マジか…。)
「サ、サフィ…どうかしたのかい?急に黙ってしまって、まさか…まだどこか悪いところでもあるのかい⁉ど、どうしよう⁉」
「父上、落ち着いてください。サフィは丸一日眠っていた上に何も覚えていなかったんですよ。きっと混乱しているんですよ。サフィ、ゆっくりでいいから話したいことがあるなら聞くし、力になってほしいのならばできる限り協力したいと思っている。だから、一人で抱え込まずに私たち家族を頼ってほしいな。」
そうルド兄様が優しく声をかけてくれる。
「そうよ、ルドの言う通りサフィちゃんは混乱しているのかもしれないけど、すぐじゃなくていいから、気軽にわたしたちを頼ってくれて構わないのよ。」
「…皆さん…。ありがとうございます。どうも少し混乱しているようでして…。少し自分で考える時間が欲しいのです。何かあればすぐに伝えるようにします。ですので、少し一人にしていただけますか?」
これは本心であり、今の私の状況を把握しきるには色々と記憶の整理が必要なのだ。
「…わかった。サフィがそうして欲しいのならそうしよう。ただし、何か体に不調を感じたりしたらすぐにベッドの横にあるベルを鳴らしなさい、そうすればメイドがすぐに来るからね。」
「お父様、ありがとうございます。何かありましたらベルを鳴らして、メイドに来てもらいます。」
その後、家族とともにメイドたちも部屋から出て行った。
さあ、今までに分かったことをまとめるとしますか!
今までに分かったことと言えば…
1 私はほぼ確実に乙女ゲーの『セイオト』の世界の悪役令嬢のサフィシル・トワイライトに転生したと思われる
2 私はすでに婚約者であり、オニキス国の第一王子のフーゼルス・オニキスとは婚約を破棄された後だということ
3 私が転生したのはこの乙女ゲーのエンディング後であるということ
まあ、こんなところだろう。
な・ん・で‼
いやいやいや、普通こういう時は幼少期に思い出してバッドエンドを回避するように奮闘するとかじゃないの⁉
というよりか、これからどうするのが正解なのよー。
ん?ちょっと待てよ…確か私の覚えている『セイオト』の世界だとサフィシルは家族とすごく仲が悪かったような?
………うん、間違いなく家族仲自体が悪かったな。だから、サフィシルは幼少期にやさしくしてくれていたフーゼルスのことを好きになって聖女が現れた時にフーゼルスがとられると思って聖女に嫌がらせをしていたのだし。
けど、どうやら先ほどの様子を見るに家族仲は悪いどころか、とっても仲がよさそうに見えるよなぁ?
つまり、この世界は『セイオト』のキャラクターは登場しているのかもしれないけど、物語通りではなくなおかつ強制力も存在しないか、あったとしてもごくわずかしか影響は出ないという可能性が高いのかも?まあ、強制力云々は追々わかってくるだろう。
「痛っ、何この痛み。」
急に頭が痛くなったかと思ったら次の瞬間にはわたしは意識が途切れてしまった…。