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3.まずは状況の把握から

「サフィ。まさか……何も覚えていない…のかい?」

呆然としたように二十代後半ぐらいの男性がつぶやいた。


「本当にすみませんが、皆さんのことも全くわからないんです。」そう申し訳なさそうに告げると、


「そうかい…。本当にわたしたちのことがわからないのかい?」


「本当に申し訳ないんですが、皆さんと私の関係すらも全くわからないのです。ですので、改めて皆さんのことをわたしに教えていただけますか?」そう尋ねてみる。


「そうかい、本当に覚えていないんだね。」

「はい、全く覚えていることがないんです。もしかしたら話を聞いているうちに何かを思い出すかもしれないので、教えていただけますでしょうか。」改めてそう問いかけてみる。


「それならば、仕方がないね…。聞きたいことがあれば途中でも聞いてくれて構わないからね。じゃあ、最初はわたしからだね。わたしの名前はラピアン・トワイライトこの国、オニキス国の公爵で君の父だよ。以前は『お父様』と呼んでくれていたから、これからもそう呼んでくれると嬉しいな。」

そう言ってくれたのは二十代後半ぐらいの男性改め、わたしの父親らしい。


「次はわたくしね。わたくしはあなたの母親のリートベルサ・トワイライトよ。以前は、『お母様』と呼んでくれていたわ。戸惑うことも多いかもしれないけれど、気軽にわたくしたちを頼ってくれて構わないわよ。」

と言ってくれたのは、美人な女性改めわたしの母親らしい。


「最後は僕だね。僕は君の兄で、ルーベルト・トワイライトだよ。以前の君は『ルド兄さま』と呼んでくれていたよ。記憶がないのはショックだけど、これからも仲良くしてくれると嬉しいな。」

最後に自己紹介してくれたのは少し若いイケメン改め、わたしの兄らしい。


「ありがとうございます。皆さんの名前はわかったのですが、わたしの名前も思い出せないのです。申し訳ないのですが、わたしのことも教えていただけないでしょうか?」

実際私の名前も知らないから私のことを読んでいるのかがわからないのよね…。


「自分のことも覚えていないのかい…。そうか…。」

「本当にご迷惑ばかりかけてしまいすみません。」

「いや、迷惑とは思っていないからそんなに気に病まなくてもいいよ。じゃあ、君のことを話すとしようか。君の名前はサフィシル・トワイライトで、この国オニキス国の公爵家であるトワイライト家の長女だよ。」


お父様が説明してくれたのをもう一度整理してみよう。えっと…わたしの名前はサフィシル・トワイライトで、……ん?待てよ…。『サフィシル・トワイライト』って言ったよね…。ま、まさか…。


「お、お父様、申し訳ありませんが、もう一度私の名前を教えていただけますか?」

「えっ?いいけど、『サフィシル・トワイライト』だけどどうかしたのかい?」


マジで⁉ う―そ―で―しょ―。

「あ、あの聞きたいのですが、今の私は何歳で、婚約者などはいるのでしょうか?」

お願いだから、何でもいいから私の覚えている情報と違うことを言って‼


「え、ああ、君は今現在十八歳で婚約者は…その…、なんだ…。」

ああ、これは答えたくなかった質問なのだろう。ただ、わたしは知らなければならない、ここがわたしの知っている世界なのかどうかを…。そしてきっとこの質問が答えを導くであろうことも理解している。

「お父様、この質問はどんな事情があろうとも答えてください。わたしの婚約者もしくは()婚約者はオニキス国の第一王子のフーゼルス・オニキスという名前ではありませんか?」

これが肯定されるのならば…きっと…。


・・・・・・・・・・・・。


痛いほどの沈黙がこの場に流れる。


「サフィ!まさか…思い出したのかい⁉」

お父様が驚いた様子でと言いかけてくるが、わたしはその問いには首を横に振ることで答えた。


「お父様、わたしの質問に答えてください。皆さんのききたいことにはあとでわたしのできる限りで答えます。お願いですから質問に答えてください。」

「そうだ。お前の言ったとおりフーゼルス殿下はお前の()婚約者だ…。」

お父様は、ついにあきらめたように弱々しい声で答えた。



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