路地裏の異変
名前は加茂修一。
自分で言うのもなんだが、至って普通の高校生だ。
……多分。
特別頭が良いわけでもないし、容姿がいいわけでもない。
テストの順位は真ん中の誤差3位程を行ったり来たりしているし、放課後体育館裏に呼び出されて告白…なんて青春も味わったことはない。
友達もこれといって特徴のない細身のメガネと大食漢の黄金トリオだ。
中学からバレーをやっていたが、高校2年の夏に大きな怪我をしてから部には顔を出していない。
しかし元々バレーにはそこまで関心がなかったので、この怪我を機にやめれて良かったと思っている。
そんな俺だが、今非常に困っていることがあった。
道に迷ったのだ。
自分はさっきまで友人二人と昨夜のアニメについて激しい議論を交わしていたはずだが、コンビニの角を曲がって路地裏に入ったところで友人とはぐれてしまい、探している内にここがどこだか分からなくなってしまったのだ。
最初は隠れて俺をからかっているのだろうと思った。
しかし、この路地に隠れる所なんてないし、仮に隠れていたとしても探して見つからないのはおかしい。
何より、二人はついさっきまで俺ととても近い距離で話していたのだ。
声が聞こえなくなってから居ないと気づくまで3秒もなかったと思う。
その3秒で俺の視界から音を立てずに路地裏から消えることが可能だろうか?
無理だ。
疑問も残るが、今はとにかくこの路地を出ることが先決だ。
そう思い駆け足で引き返すが、30秒ほど走っても大通りに出ない。
……この路地、こんな長かったか?
いつまで経っても場面が変わらないので、俺はもうこの路地から出られないのでは、と焦り初めてきた。
それに、なんだかおかしい。
先程より路地裏が片付いていないか?
個人的なイメージだが、路地裏ってのは普通ゴミ袋とかダンボールとかで汚いイメージがある。
実際この道は、月末になると不法投棄のゴミが増えた。
だが、今俺がいる場所には何も無い。
誰かが定期的、それも頻繁に掃除をしているようだった。
さっき俺が通った時にはこんなに綺麗なはずではなかったと思うが。
そう思いながら歩いていると、遠くから微かに人の声が聞こえてきた。
やった、やっとこの変な場所から出られる。
俺は大喜びでかけ出す。
あいつら、次会ったら覚えておけよ。
俺の事置いていきやがって。
路地を出ると太陽の光が眩しく、思わず目を閉じてかがみ込む。
あれ…今は夕方のはずだが……。
少しして目が慣れてきたので、ゆっくりと頭を上げる……。
そうそう、まず路地を出てすぐ右にコンビニがあるんだよな。
……そこにあったのは見慣れない、パステルカラーに彩られたファミレスだった。
どこだよここ。
記念すべき第一話(プロローグを覗く)。
変更点としましては、ちょっと文をまとめたくらいですかね。 そんなに変えてはないです。