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【897 カエストゥス 対 帝国 ㉛ 突破】

誤字を見つけたので訂正しました。内容に変更はありません。

「・・・驚いた。間近で見るとこれほど速いとはな」


「・・・風か」


俺の右拳は皇帝の顔の前で、渦巻く風に止められていた。

高密度に圧縮した風は目に見える程の質量となり、鋼よりも硬い盾となり皇帝を護っていた。


想定外のスピードだったのだろう。皇帝は僅かながらに目を開いていた。

だが冷静に拳を受け止め、すぐに落ち着きを取り戻すと、俺の攻撃の分析を始めた。


「黒魔法使いの防御と言えば風だろう?さて、ウィッカーよ、師団長と対等に戦えた体術は見事だが、この拳で余の風を突破できるかな?」


不敵に笑う皇帝。

自分に拳が届くとは、万一にも考えてもいない。傲慢なまでの余裕だった。


「やってやるよ」


俺のこの一発は奇襲。俺のスピードを体感していない皇帝の、意表を突いた一発だった。

想定以上の反応に止められたが、想定していなかったわけでもない。


右の拳を引くと同時に左の中段蹴りを放つ。しかし皇帝の腹に入る寸前で、厚く硬い渦巻く風に止められる。

そのまま左足を引くと同時に、腰を回して左拳を顔面に撃ち込む。だがこれも風の盾に防がれ皇帝へは届かない。


「無駄だ。貴様に余の風は突破できん。貴様は余を一歩も動かす事ができんのだ」


余裕を見せる皇帝。


だがこれも想定内だ。もとより楽に攻撃が入るとは思っていない。

あの日見た皇帝の魔力を考えれば、この程度の事は十分に予想できた。


だがな、防がれる事を想定してたって事は、どうやってそれを突破するのかも考えてたって事だ。


「オォォォォォォーーーーーッツ!」


「フッ、打撃で突破できると思って・・・!?」


右の下段蹴り!これまで通り皇帝の風の盾で防がれるが、異変を感じた皇帝の目が開かれる。


「な、に・・・?」


「ラァァァーーーッ!」


続く左の拳が皇帝の右頬を叩く寸前で、風の盾に止められるが、手応えは十分だった。

皇帝もこれは初めて見るのだろう。さっきまでの余裕の笑みは消えて、目の前で起きている現象に驚きを隠せないでいる。


「な、なんだこれは!?ウィッカー、貴様いったい!?」


皇帝の風の盾は、まるで霧を払ったかのように、薄く散り散りとなって消えかかっている。

それだけ脆くなっていれば十分だ。


「オラァァァーーーーーーッツ!」


風を纏わせた右の拳が、皇帝の風の盾を破りその胸に突き刺さった!


よし!いける!俺の魔法は皇帝にも通用する!


魔力を俺を上回る皇帝と戦うには、黒魔法使いの防御手段、風の盾をなんとかしなければならない。


単純に魔力で上回っているならば、魔法の力押しで突破できる。

だが魔力で勝てないならば、策を練って工夫をする必要がある。


それがこの風の拳だ。


肉弾戦をできる俺だからこその技だ。

手足に風を纏わせ、皇帝の風の盾にぶつける。その時に皇帝の風を俺の風で乱して散らす。

つまり無効化させるのだ。


城の黒魔法使いを相手に練習した時はうまくできたが、皇帝を相手に通用するかは賭けだった。


だがこれで分かった。俺の技は皇帝にも通用する。



「確か、一歩も動かないんじゃなかったか?」


俺に殴り飛ばされ、仰向けに倒れている皇帝を見下ろした。


皇帝、俺はお前の下ではない。


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