表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
896/1565

【896 カエストゥス 対 帝国 ㉚ 侵略の理由】

誤字を見つけたので訂正しました。内容に変更はありません。

ウィッカーの爆裂弾は皇帝に直撃した。

ただの爆裂弾でもウィッカーの放つそれは、並の魔法使いの中級魔法さえ上回る威力である。


皇帝の玉座を吹き飛ばす。

その爆風は階段下で構えていた大臣ジャフ・アラムが、堪えきれず柱に叩きつけられる程だった。



「・・・チッ、やっぱりな」


予想通りの結果に、思わず舌を打った。悪い方の予想があたったのだ。


吹き寄せる風に、黒いローブが大きくはためかせられる。

濛々と立ち込める煙の中から、ゆっくりとその姿を現したのは、無傷の皇帝だった。



「やるではないか。爆裂弾でこの破壊力を出せる者はそういないぞ」


涼しい顔で肩の埃を払い、皇帝は段上からウィッカーを見下ろした。



「ふん、余裕をかましていられるのは、今のうちだぜ」


分かってはいた。皇帝の桁違いの魔力なら、この程度でダメージを通せるとは思っていない。

皇帝の身に纏っている深紅のローブに、埃を付ける程度がせいぜいだ。


その深紅のローブも、さすが皇帝とでも言うべきか?

師団長が着ていた物よりもより深い赤色で、火の精霊の加護も数段強く感じる。


この防御力は並みの魔法では突破できないだろう。

今の爆裂弾で無傷なら、中級魔法以上でなければ通用しないとみるべきだ。



「余の前に立った男は久しぶりだ。そしてそれが貴様とは、実に嬉しく思うぞ」


皇帝は階段の前で足を止めると、俺を見下ろしながら言葉を続けた。


「あの日、王位継承の儀で、貴様とジョルジュの戦いを見た。師団長を相手に魔法使いの貴様が、体術まで繰り広げるのだから正直感服したものだ。よくぞそこまで鍛えたものだな」


「いつまで見下ろしてんだ?かかって来いよ」


数段上に立つ皇帝に指を突きつける。

しかし皇帝は腕を組むと、首を傾げて俺を見据えてきた。


「フッ・・・クックック、おかしな事を言う男だ。この立ち位置こそが余と貴様の力の差ではないか?ウィッカー、貴様は余の下だ。かかってこいだと?余はここから一歩も動く必要がない。それが分からんのか?」


自らを大陸の支配者と称する圧倒的な自信。そしてその自信を裏付ける比類なき魔力。


それが皇帝ローランド・ライアン。


ウィッカーを見下ろす金色の目には、その目に映る男に対する嘲笑さえあった。

自分が負ける事など毛ほども考えていない。

勝つ事が当然であり、格下を相手には足を動かす事さえあり得ないのだ。



「・・・皇帝、一つ聞きたい」


ウィッカーは自分を見下ろす皇帝の目を、真正面から受け止め、そして睨み返した。


「なにかな?余の元へたどり着いた褒美だ、答えてやろう」


「なぜ侵略戦争をしかけた?この戦争でどれだけの血が流れたと思っている?そこまでしてお前は何を望むんだ?」


ウィッカーの問いに、皇帝の顔から笑みが消えた。

驚いたように眉を上げ、かけられた言葉の意味を考えるように一瞬の間を空けたあと、軽く息をついて言葉を返した。



「フゥー・・・何を聞いてくるかと思えばそんな事か。決まっているだろう?ブロートン帝国とは、大陸一の軍事国家であり、大陸を統べる国なのだ。ならば貴様らカエストゥスも、帝国の下につくべきであろう?それだけだ」



呆れたように、まるで子供に説明するように、皇帝はゆっくりと細かく説明をし終えた。

そして皇帝がウィッカーの顔に再び視線を戻したその時、皇帝は言葉を失い、目を見開いた。



「クズが、死ね」


「なっ!?」



一瞬で間合いを詰めたウィッカーが、皇帝の顔面に拳を叩きつけた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ