表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
779/1557

779 返り血

「オォォォォォー--ー-ッツ!」


コルディナの胸を刺し貫き、そのまま体重をかけて地面に打ち付けるように突き刺す。


「グバァッッツ!」


コルディナの口から血が吐き散らかされ、フェリックスの頬に赤い色が付けられる。


「う、ぐ・・・こ、この・・・!」


致命傷だが、コルディナはまだ意識を保っていた。

歯を食いしばり、フェリックスを睨みつけて手を伸ばす。


体の表側の触手はほとんど焼き切られていたが、背中側から伸びる触手が、フェリックスに狙いを付けて突き出された。


「騎士様!」


白い髪の女が叫ぶが、フェリックスは落ち着いていた。


「ハァァァァー----ッツ!」


気合と共に、フェリックスの体から七色のオーラが発せられ、コルディナの黒い触手を消し飛ばす。


「ぐぅ・・・う・・・そ、そんな」


「もう死ねよ」


口から血を吐きこぼしながら、口惜しさを滲ませるコルディナ。

フェリックスはその胸に突き刺した幻想の剣を、そのまま上に引き上げるようにして斬り裂いた。



「・・・やっと死んだか。面倒なヤツだったぜ」


コルディナが完全に息絶えた事を確認して、フェリックスは傍らに立つ女に顔を向けた。


コルディナを斬り裂いた時に、飛び散った血の一部がかかってしまったのだろう。

女の髪や頬に赤い色が付いている。


初めて血を浴びたのであれば、悲鳴を上げて倒れてしまっても不思議ではない。

しかし女は一切取り乱す事無く、フェリックスを真っすぐに見つめている。


「・・・ふーん、血を被っても平常心を保ってるのは感心できるね。最初はあんなに必死だったのにさ。まぁうるさくないから助かるけどね」


品定めをするかのように、白い髪の女に目線を送るフェリックスだったが、そう言われて女は言葉を返した。


「騎士様、助けていただいて本当にありがとうございました。そして先ほどはお見苦しい姿を見せてしまい、申し訳ありません」


白い髪の女は腰の前で手を重ね合わせ、腰を曲げて頭を下げた。


「いや、気にしないでいい。僕も危なかったからね、あの黒い炎には驚かされたけど、おかげで助かった」


「ですが、私が騎士様に助けを求めたから、コルディナと戦闘になったのではありませんか。巻き込んでしまって本当に・・・」


「気にするなと言ってるだろ?元々この辺りの暴徒を鎮圧するために、ここに来ていたんだ。キミがいてもいなくても、帝国軍を見つけたら戦闘になっていたんだ。しかしあんな魔道具があったなんてな・・・結果的にキミがいて助かったってわけだ。だからもう謝るな」



暴徒を鎮圧するために騎士団は町に散らばっていたが、そこでフェリックスはこの白い髪の女と出会った。


息を切らしながら必死に逃げていた女は、すぐ後ろまで迫っていたコルディナに捕まる寸前で、フェリックスを見つけ縋りついたのだった。

フェリックスがゴールド騎士だったという事は、話しの流れで分かった事だった。


ゴールド騎士の噂は帝国にいても耳にした事があったが、実際に自分の目で見たわけではない。

コルディナの恐ろしさを知っているだけに、果たして勝てるかどうかは祈るしかなかった。


そして危険な場面もあったが、黒い炎の力も使いなんとかコルディナを倒す事ができた。

なんとか追い返す事ができればと考えていただけに、倒す事ができたのは女の予想を上回る結果だった。



「・・・はい、分かりました。騎士様はお優しいのですね」


白い髪の女はそこで初めて微笑んだ。

雪のように白い肌。そこに少しだけ赤みを帯びた、形の良い唇が笑みを湛える。


「そうでもないけどね。まぁ、この国を護る事が僕の役目だから・・・それだけさ」


フェリックスは女に近づくと、親指を頬に当てて赤い血を拭い取った。


「ハンカチなんてシャレた物は持ってないんだ。あとで騎士団の宿舎に連れて行ってあげるから、そこで血と汚れを落とすといい。僕はフェリックス・ダラキアンだ」


「フェリックス様ですね。私はルナ・フローレンスと申します」


白い髪の女、ルナがもう一度丁寧に頭を下げる。

そして続けて発せられた言葉に、フェリックスは眉間にシワを寄せる事になった。


「私は、闇の巫女です」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ