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496 2ラウンド

初めて会ったが、一目で分かった。

彼の纏う光のオーラを見て、それがヤヨイさんと同じ力だと。


さっきレイチェルを介抱した時に聞いていなければ、もっと驚いていたと思う。


偽国王が闇の力を持っている事は、俺も感じていた。

そして現状、あの闇に太刀打ちできるのは俺しかいない。


だから偽国王と戦う時には、俺が相手をするしかない。そう思っていた。


【偽国王はアラタが討ちます】


その名を聞いた時、俺は心の底から驚いた。

心臓が跳ね上がるというのは、あぁいう感覚を言うのだろう。


ヤヨイさんがずっと探していた二人の男の一人。

ニホンという元いた世界の同郷人。


俺もジャニスもずっと探していた。

特にジャニスはヤヨイさんの最後を見届けて、遺言まで預かったから尚更だった。

俺もヤヨイさんの遺言を教えてもらい、いつか会った時には伝えようと、忘れずに今日まで心に刻んでいた。


最初、俺はこの大陸のどこかにはいるだろうと思った。

そもそもこの世界に来ているかも不確かだが、ヤヨイさんは来ていると信じていた。


だから俺も大陸中を捜し歩いた。結局見つけられなかったが・・・・・

時を得て俺は、ヤヨイさんとは違う時間の流れに飛ばされたという可能性を考えた。


考えてみれば、いくら同じ場所で殺されたと言っても、三人揃って同じ世界、同じ時間軸に飛ばされたというのは思い込みに過ぎない。

ニホンという俺達の知らない世界があるように、また別の世界もあるかもしれない。

そして、ヤヨイさんはこの世界に来たが、他の二人は死んでそのままという可能性だってあるのだ。



まさか・・・200年も経ってから会えるとはな



偽国王からマルス様を助けた俺は、そのまま戦おうと思った。

だが、光を纏った彼は俺を見て、俺が誰だか分かったようだった。

レイチェルは店で雇ったと言っていた。俺の特徴なんかも聞いていたのだろう。


彼と目で会話をしたのはほんの一瞬だったが、俺は自分の光魔法より、彼の光の力にこの場を託そうと思った。

ヤヨイさんと同じ力を見ておきたい。そういう思いもあったが、この男、サカキ・アラタの目だ。


ニホンは平和なところだと聞いていた。

この世界とは違い、魔法は無く殺人なんてそう起こる事もない。

だから大抵の人は争いとは無縁の人生を送るそうだ。


俺はヤヨイさんから聞いていたサカキ・アラタの印象から、多少我は強いだろうが、命を懸けたやりとりができるとは思わなかった。


だが、今俺の目に映るこの男は戦う者の目をしている。


彼がこの世界に来てまだ数か月・・・・・

たった数ヶ月で、いくつかの死線を越えてきたようだ。


通路で感じた闇の残り香・・・あれは死の匂いだった。

おそらくトレバーが闇に呑まれたのだろう。前々から危ういところはあった。


そして、闇の化身なったトレバーを倒した者・・・それがこのサカキ・アラタなのだろう。



この先、ブロートン帝国とは戦争になる。

トレバーが闇に呑まれた事もあるが、見た限りこの偽国王は闇を完全に操っている。

今、帝国にはこの偽国王のように、闇を操る者が何人いる?

帝国との戦争では、闇に対抗する力がカギになるだろう。


そしてその時、中心にいるのはこのサカキ・アラタかもしれない。



ヤヨイさん・・・・・


200年かかりましたが、俺はサカキ・アラタに会えました。

ヤヨイさんは彼に戦いは望んでいないと思います。


でも、彼は戦う事を選んだようです。


ならば、俺が護り鍛えましょう。

彼がこの世界で生き抜くために・・・・・



目の前で戦うサカキ・アラタを見つめ、俺は懐かしい過去、仲間達を思い出していた。






「・調子に・・・調子にのるなぁぁぁぁーーーッツ!」


突然叫び声をあげた偽国王に、俺は攻撃の手を止めて大きく飛び退いた。


直感としか言えないが、それはボクシングの試合でも感じた事のある感覚だった。

ロープ際まで追い詰め、レフェリーストップ目前だと確信した時、敵は研ぎ澄まされた一撃を放ってくる。


今、偽国王から感じたそれは、まさにあの感覚だった。



「ハァッ・・・ハァッ・・・」


「よくも・・・よくも・・・この俺を・・・やってくれたなぁぁぁーーーッツ!貴様は絶対に許さん!八つ裂きにしてくれるわぁぁぁぁーーーッツ!」


偽国王の体が闇を吸収するように黒く色を変えていく、赤く充血したその目さえも深く暗い闇に染まっていく。


数十発は光の拳を食らわせた。

偽国王の体中から、消滅した闇が蒸気となり濛々と立ち昇っている。

闇の瘴気によって護られていたため決定打は浴びせられなかったが、それでもかなりのダメージはあたえていたはずだ。


だがこの闇は・・・どんどん力を増していく・・・体から溢れだしていた闇が色濃くなり、抵抗力の無い人間が触れれば、それだけで命を奪われかねない程に禍々しい・・・・・


これからが本番・・・らしいな・・・

額から流れる汗を拭い、目の前の闇を纏う男を睨み付けるが、体から力が抜けていく感覚に襲われる。


息が上がる・・・3分、一ラウンド・・・

どうやらもう、時間切れのようだ・・・・・



「・・・でもよ、まだ力は残ってる・・・それに・・・」


俺は少し離れた位置で、この戦いを見ている金色の髪の男性に目を向けた。


言葉を交わしたわけではないが、一目で分かった。

あの人がレイジェスの店長だ。


俺にこの場を任せてくれたあの人の目は、まだ俺が戦えると信じているようだ。


「まだ、タオルは投げられてねぇ・・・だったら!」


俺は体に残っている光の力をかき集めた。

力が抜けて、気だるくなっていた体に、もう一度力がみなぎってきた。


レイチェル、ごめん・・・俺は噓つきだ。また約束を破ってしまった。

だけど、絶対に勝ってみんなを護ってみせる!


2ラウンド目、開始だ!



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