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483 立ち向かう者

闘気を高め、技の準備に入るレイマート。

自分の目の前では、必死に闇の波動を防ぐローザの姿がある。


ローザはレイマートの準備ができるまで、自分がトレバーの攻撃を防ぐと言ったが、トレバーの闇の波動はあまい攻撃ではない。

防ぎ続けるローザの負担は非常に重いものだろう。



ローザ・・・

お前が稼いでくれた時間、決して無駄にしない。

レイマートははやる気持ちを押さえ、精神を集中する。





「レイマート、ローザ・・・」


二人から距離をとり、レミューを介抱しているアンリエールは、トレバーの変貌にただただ驚かされていた。

外見こそまだ人間の形を保っているが、その両腕は血肉の通った人のものではなく、闇の瘴気に形を変えている。


ローザの結界に向けている闇の瘴気の両腕は、まるで関節などないかのような、不安定なものに見えた。


アンリエールの脳裏に、以前バリオスから聞いた闇の話しが浮かんだ。



かつてこのプライズリング大陸にあった魔法大国カエストゥス。

ブロートン帝国との戦争に敗れ滅びたが、その原因となったものが闇魔法黒渦。


カエストゥスの王子、タジーム・ハメイドが作り出した唯一無二の魔法であるらしいが、それによってカエストゥス国は闇に呑まれ滅びたという。


【アンリエール様、闇はどんな人間にも存在します。しかし、ほとんどの人間はその闇と上手に付き合うものなのです。支えとなる家族、おいしい食事をとる事、心にゆとりを持てば、闇を押さえる方法はいくらでもあるのです。ですが極稀に、その闇に感情をゆだね爆発させる人間がいます。黒渦はその闇につけ込み、人を闇に変えるのです】



「・・・バリオス様・・・これがその闇なのですね。トレバーを追い詰めた結果、彼は闇に呑まれた。しかし・・・・・」


なぜこのクインズベリー国で闇に呑まれたのか?

この国はカエストゥスと違い、闇に呑まれていない。

単純に心の闇が爆発すれば、黒渦につけ込まれるのだろうか?


いいや違う・・・


アンリエールはここで一つの仮説を立てる。


闇を持ち込んだ者がいるのではないか?

そう、全ての原因につながる者がいるではないか。

ブロートン帝国からの侵略者・・・偽国王が!


アンリエールは天井を見上げた。

三階、国王の寝室にいる偽国王を睨み付けるように。


今朝、待ち伏せがばれて追い立てられたが、対峙したあの時、偽国王から感じたものは、今のトレバーと同じ闇の瘴気だった。


あの偽国王が、トレバーを変貌させた原因の闇を持ち込んだのではないか?


「・・・なんて卑劣な真似を・・・」


アンリエールはトレバーに対し、決して良い印象は持っていなかった。

自尊心が高く、周囲を常に見下しているトレバーと結婚しても、娘は幸せになれない。

そう判断し、エリザベートには婚約を断る事も容認した。


しかし・・・それでも、人間である事を止めさせられる程ではない。


これはトレバーが本当に望んだ姿なのか?

確かに嬉々として戦っているが、果たしてあれはトレバーなのだろうか?

心と体が闇に吞み込まれたのならば、もはやトレバーであってトレバーではない。

そんな別の存在になってしまっているのではないだろか・・・・・



「・・・うっ・・お、王妃、さま・・・」


変貌したトレバーに様々な感情を含んだ目を向けていると、アンリエールがその膝に寝かせていたレミューが目を覚ました。


「レミュー、気が付きましたか?」


「・・・は、はい・・・あ!?も、申し訳ありません!ひ、膝を・・・」


アンリエールが自分を見る顔の位置と、頭の後ろの感触から自分が今どういう状態なのかを察し、レミューが慌てて上半身を起こす。


「床に寝させておくわけにはいかないでしょう?ヒールで怪我も治しておきました」


「・・・申し訳ありません。結局レイマートには及びませんでした」


頭を下げるレミューに、アンリエール優しい表情で、小さく顔を横に振った。


「何を言いますか。あなたがレイマートの心を開いたのです。あなたにしかできなかった事です。レミュー、私はあなたが傍にいてくれて、心から良かったと感謝しております」


「・・・もったいないお言葉です」


アンリエールの言葉に、レミューの体が少しだけ震える。


「・・・レミュー、本当なら、もう少し寝かせてあげたいのですが・・・」


すまなそうに眉を下げるアンリエールに、レミューは首を振った。


「分かっております。アレですね」


アンリールの言葉を汲み取り、レミューは背後に顔を向けた。


結界でトレバーの波動を防ぐローザ。

そして、今まさに勝負をかけようと、全闘気を集中させているレイマート。


二人の姿を目にし、レミューは剣を握った。



「・・・行ってまいります」


「レミュー・・・ご武運を」


立ち上がったレミューは、アンリエールに一礼をすると、レイマートの元へと駆けて行った。



闇に呑まれたトレバー


騎士の誇りをかけるレイマートとレミュー


命を懸けて結界を張り続けるローザ


決着の時がきた




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