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【385 血狂刃の本性】

誤字を見つけたので訂正しました。内容に変更はありません。

弥生・・・あなたにばかり頼ってごめんね

私には戦う力はないから、いつもあなたに負担ばかりかけて・・・



なに言ってんの?アタシもあんたも同じ弥生ヤヨイでしょ?

自分が自分に遠慮してどうするの?アタシは戦う事しかできない。だから戦いは任せなよ



でも・・・危険な事ばかりお願いしてて、私・・・


ねぇ、ヤヨイ・・・


うん・・・


アタシ、この世界好きだよ・・・あんたのおかげで毎日が楽しい。まさかこの世界で結婚できるなんて思わなかったし、子供まで・・・ヤヨイ、ありがとう・・・


弥生・・・


あんたはみんなの生活を支える。アタシはみんなの平和を護る。アタシ達は二人で一人・・・

だからここはアタシの出番だよ!



・・・うん!弥生、お願い!みんなを護って!





「ヤァァァァァーーーッツ!」


上段からの振り下ろしはセシリアの左肩へ、これをセシリアは片手剣で受け太刀する。

刃を止められたヤヨイは、左手を振り上げ薙刀の石突でセシリアの右脇腹を狙う。


「ハァッツ!」


血狂刃の柄を叩きつけるように石突に当てる。

左手に受ける強い衝撃で弥生の体勢が崩されたところに、セシリアの弥生の右の頬に向けて左の拳を撃ち込む。


避けられるタイミングではなかったが、ヤヨイはセシリアに崩された体勢を立て直そうとせず、そのまま足の力を抜き重力にまかせセシリアの腰より低く体を沈ませ、本来躱せるはずのない拳を躱して見せた。


やるじゃない!ヤヨイ!


ニヤリと口の端を上げてセシリアは笑う。

予想以上だった。あの日、カエストゥスの城で初めて出会い、王位継承の儀で初めて剣をぶつけた、そして今、血狂刃の力を開放した自分と互角に渡り合っている。


「ハァァッツ!」


自分の腰より低い体勢から振るわれた弥生の薙刀が、セシリアの脛を狙う。


足への攻撃を読んでいたセシリアは飛んで躱す。

弥生の頭の上の高さのセシリアに、弥生は薙刀を構え直し突きを放つ。


「そうくるわよね!」


剣の腹で突きを受けると、そのまま衝撃に流されるように後ろに着地する。



「・・・やっぱりいいわね。とっても鋭いし重い・・・弥生、嬉しいわ。血狂刃の力を開放した私とここまで斬り合えるなんて嬉しいわ」


「あんた、本当に戦闘狂ね・・・でも・・・気持ちは分かるわ」



刃を下し弥生はセシリアの目を見つめた。


目を合わせれば熱を送られ体内に大きなダメージを受ける。

だが弥生はこの時、不思議とセシリアが攻撃をしないと感じていた。



一種の信頼があった。

それは弥生自身、叶わないと知りながら待ち望んでいた事だったからだ。


日本にいた時、薙刀の全国大会でさえ全力で戦える相手がいなかった。


この世界に来て、剣士隊のドミニクやペトラと戦った時も全力を出す程ではなかった。


ジョルジュやリンダと手合わせをした事はあるが、あくまで練習であり、命を懸けたやりとりはこれが初めてだった。



「セシリア・・・」

全力をぶつけられる相手に出会えた。


「ヤヨイ・・・」

視線を合わせている今、弥生に熱をぶつける事はできる。

だが、セシリアはそうしなかった。望んだものは自分の全力について来れる強者との命のやり取り。



セシリアは血狂刃を自分の左手首に当てると、ゆっくりと肌を斬り裂いた。



「え!?」

突然の自傷行為に弥生は眉を寄せ、セシリアを見張った。



「うふふ・・・頭がおかしくなったと思った?大丈夫。自殺じゃないわよ・・・このままあなたと楽しい時間を過ごしてもいいんだけね。そんな素敵な目を向けられたら、ちょっと我慢できなくなったわ。私の本当の本気・・・血狂刃の本性を見せてあげる・・・」



どくどくと手首から流れ落ちる真っ赤な血が、血狂刃に伝い流れ落ちる。

それはまるでその血を飲み込んでいるかのようだった。



・・・なんだこのプレッシャーは!?


弥生の頬を冷たい汗が伝い落ちる。


・・・セシリアの血狂刃に第二段階がある事は聞いていた。おそらくこれがそうなのだろう。

体中に剣から流れ落ちる血を浴びた事で、セシリアの力がグンと上がった事。

ウィッカーから聞いていたがあれが第一段階だ。



そして今度は逆に自分の血を剣に飲ませている・・・・・


これがセシリアの真の力・・・血狂刃の本性・・・・・



セシリアの赤い目に火が灯る。血狂刃が血を飲む旅たびに、セシリアの全身から溢れる血煙の如き赤いオーラが激しく燃え上がる。


腰まで伸びた血のように赤く長い髪は、そのオーラにあてられ天を突くように逆立っている。



「さぁ、ヤヨイ・・・始めましょうか。アタシの全て、ちゃんと受け止めてね?」




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