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28 査定

すみません。いつもより投稿が遅くなってしまいました。

サブタイトルの話数の数字が間違ってたので、修正しました。内容に変更はありません。

「おう、アラやんお帰り・・・ん?なんか変わったか?」

店に戻ると、ジャレットさんが俺の顔を見て、訝しげに目を細めた。


「いや・・・なにも変わってないですよ」

そう言って後ろを向くと、カチュアが小さく手を振って、白魔法コーナーに戻って行った。

午後1時、昼食を終えた人がそのまま店に寄る事が多く、忙しくなる時間帯だった。

今日も所狭しと人が入っており、店内は活気で溢れていた。


俺が出ている間に、防具の査定も入ったようで、

カウンターには鉄の兜と、指ぬきの革の手袋が置いてある。


「それより、買い取り入ったんですね?査定もう終わったんですか?」


「ん、あぁこれか、鉄兜は今終わったとこだ。左右の角が真ん中辺りで折れてるけど、それ以外は目立った傷は無い。でも、角が折れたままかぶるのは、カッコわりぃだろ?

だからそこは根元から加工して、違和感無いデザインに仕上げる必要がある。その辺の手間暇を考えて、3,000イエンだな。元は20,000イエンはするだろうけど、これ以上は出せないな。まぁ売ってくれるだろ。この角が原因で売りに来たんだろうからな」


ジャレットさんは兜を見せながら、どこを見なければならないかを細かく話してくれた。

やはり仕事は丁寧だ。これで変なあだ名を付ける癖と、自分の趣味を押し付ける事さえなければ、

理想の上司NO.1だろう。


「アラやん、革の手袋はアラやんが査定してみ?そろそろセカンドステージ行こうぜ」

そう言って、ジャレットさんはイスから立ち場所を開けると、今まで自分が座っていたイスに、

座るよう促した。


「え?いいんですか?」

「あぁ、このニか月でアラやんも、防具の基礎は分かってきたんじゃね?この兜と小手、同じ人なんだけど、4時頃来るって言ってたから時間あんだよ。

俺もメシ食ってくるから、それまで値段出しといてな。理由も聞くからちゃんと見んだぞ」

そう言って、ジャレットさんはコーナーを出て行った。


一人で査定か・・・イスに座り、手袋を手に取る。この店で、自分一人で査定するのは初めてだった。なんだか感慨深くなり、ウイニングで働いていた時の事を思い出す。


土日祝日は特に忙しかった。

家族連れで、玩具、ゲーム、古着を売りに来る事が多く、査定場所はいつも山のように積まれていた。


【坂木!なんとかしろよ!なんで皆古着ばっか持ってくんだよ~、もう私疲れたから、代わりにやっといて!】


「・・・弥生さん、土日はいっつも文句言って、俺に押し付けてたっけな」

「ヤヨイって、誰かな?」

つい一人言を漏らすと、目の前にベージュのランチバスケットが置かれた。

顔を上げると、シルヴィアさんが立っていた。

肩の下まであるウェーブがかった髪を耳にかけ、小首をかしげている。


「あぁ、俺の故郷の人です。仕事の先輩で、ちょっと思い出して」

「そうなんだ・・・アラタ君、やっぱり元の世界に帰りたいの?」

「ん~、そうですね・・・やっぱり帰りたい気持ちはありますよ。でも、ここでの生活も気に入ってるんです。だから、今はこの店で頑張ろうって決めてます」

「アラタ君・・・なんだか変わったわね?なにかあったの?」

シルヴィアさんが、俺の顔をじっと見てくる。


「な、なんもないっスよ」

ジャレットさんと言い、シルヴィアさんと言い、なんでこう鋭い人が多いんだ?

確かに心境の変化はあった。


だが、カチュアの前で故郷を思い出して泣いて、溜め込んでた事全部聞いてもらって、慰められて吹っ切れた。なんて言える訳が無い。


「そう?じゃあ、カチュアに聞いてみるわね。あの子なら何か知ってそうだし」

「えぇぇッツ!?な、なんでそうなんですか!?シルヴィアさん勘弁してくださいよ!」

踵を返し、白魔法コーナーに歩いて行くシルヴィアさんを必死に引き留める。


「フフ、冗談よ冗談、誰にでも秘密はあるわ。無理には聞かないわよ。これ、お腹空いたら食べてね。明日の朝食でも大丈夫だから」

そう言って、俺にランチバスケットを手渡すと、シルヴィアさんは自分の黒魔法コーナ-へ戻って行った。


フタを開けてみると、チョコクロワッサンと、チーズを練りこんだパンが入っていた。


「・・・相変わらずうまそうだな。しかし、なんであの人はあんな鋭いんだ・・・」

俺はどっと疲れを感じ、体を投げ出すようにイスに腰を下ろした。


手袋は使われた形跡が無いように見える。

新品同様と言っていいだろう。という事は、売りに来た理由も経験上、だいたい想像がつく。

サイズが合わなくて返品も出来なかったから。

なんとなく買って、使わずにしまっておいた物。

多分、この辺の理由だろう。


ゲームソフトやフィギュアだと、新品未使用だと価値が高いから、開封せず取っておく人もいるが、

この世界でもそういう物はあったりするのだろうか?


「ジャレットさんの話だと、この世界には合皮は無いみたいだからな。皮は全て本革だろ。

そんで、防具には求められるのは、見た目より、耐久性と使いやすさ。その辺りを見て査定しなきゃならないわけだ」


指ぬき手袋は、指の第二関節から出るようになっている。

長さは手首が隠れる程度で、甲に鉄の補強も入っていた。これなら剣は無理でも、棒での打撃くらいなら防げるかもしれない。いくら位の物だろう?

店で売っている手袋と比較したり、もし自分がこれを使うとしたらを考えて、値段を出してみた。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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