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【199 積み重ねていく絆】

夏が終わり、季節は秋になった。


毎日忙しいけれど、時間はとても穏やかに過ぎていく。


パトリックさんから、私との交際を聞いたロビンさんが訪ねて来た時は、それはもの凄い喜びようだった。


もう私は娘あつかいで、パトリックさんから気が早すぎると呆れられたりもしたけど、大げさなくらいのロビンさんの喜びようをみると、私は心が温かくなった。


いつかロビンさんをお義父さんと呼ぶ日が来たら、きっととても喜んでくれるんだろうな。




初めてのデートは約束通りの街案内だった。

パトリックさんは、ブルーのシャツに、黒のパンツ、ダークブラウンの革のショルダーバックをかけていて、ラフな服装だった。


母親ゆずりというシルバーグレーの髪は、肩の下まであり、後ろで一本に結んでいる。


初めてのデートという事で、緊張しているのがすごく伝わってきたけど、待ち合わせには私より早く着て待っててくれたり、歩く時も足元に気を使ってくれたり、とにかく気を配ってくれているのが良く分かった。


そんなに気を遣わないでください。私がそう声をかけると、パトリックさんは恥ずかしそうに額を少しかきながら、もしつまずいたらと思って、と口にした。



「すみません。逆に気を遣わせてしまって」

パトリックさんは、そう言って、次はどこに行きましょうか?と前を向く。



私はパトリックさんの手を握った。


「・・・こうすれば、つまずきませんよ」


パトリックさんは顔が真っ赤になったけど、私の手を握り返してくれた。

私も少し恥ずかしかったから、頬が熱くなった。


それから手をつないだまま街を歩き、メアリーちゃんから聞いたお店で、ハーブティーを買って帰った。




ウィッカーさんとメアリーちゃんにも進展があった。

二人とも孤児院の仕事を優先しているから、あまり長い時間揃って外出はできないけれど、限られた時間をやりくりして、よく街に出かけるようになったのだ。


メアリーちゃんが買い出しに行く時も、ウィッカーさんが付いて行って、帰りに二人でちょっとだけ寄り道をする事もあるみたいで、メアリーちゃんは本当に毎日幸せそうにしている。



ジャニスさんから聞いた話しだと、最初ウィッカーさんは、メアリーちゃんの気持ちに戸惑っていたそうだ。


ジャニスさんにも、グイグイ来るメアリーちゃんの事をなんとかならないか?と相談したというので、今の仲睦まじい二人を見ると、メアリーちゃんはよくウィッカーさんに告白させたな、と尊敬すらしてしまっているそうだ。


お互いが思いやりをもって接しているのがよく分かるし、二人はとても良いカップルだと思う。




スージーちゃんとチコリちゃんは、初めて歩いた翌月には言葉を話した。


スージーちゃんの方が数日早く、第一声はなんと「ししょー」だった。

これにはみんな大笑いだった。


ブレンダン様はとても喜んでいた。ジャニスさんは笑っていたけど、なんでししょ~?と複雑な表情で溜息をもらした。


抱っこしているのは、私達女性が圧倒的に多いので、やっぱり私達の誰かの名前だと期待していたけど、多分、ウィッカーさんとジャニスさんが、ブレンダン様を師匠と呼ぶ事が、スージーちゃんには印象深かったのかもしれない。



そしてチコリちゃん。

スージーちゃんより3日遅く口にした最初の言葉は「キャロル」だった。


キャロルとハッキリ発音できたわけではなく、キャ~ル、キャオル、こんな風にも聞こえたけど、やっぱりキャロルの事だよとみんなが言うと、キャロルちゃんは満面の笑みでチコリちゃんを抱きしめた。


今は私とメアリーちゃんも見ているけど、ジャニスさんはお城へ行く事もあり、留守にする事も多々あるので、多分一番長く一緒にいたのはキャロルちゃんだ。


チコリちゃんは、キャロルちゃんをお母さんと思っているのかもしれない。

歩き出して、言葉も話すと、ここかの成長はとても早いと思う。



また忙しくなりそうだな・・・

笑い声に包まれた空間で、私はその忙しさを嬉しく感じていた。




少し気になるのは、ブレンダン様がお城へ行く回数が増えている事だ。

以前は、魔法兵団の指導がある時にだけだったけど、最近はそれ以外の用事で行く事が多くなっているように見える。


あの殺し屋の襲撃の事は、国へ報告すると大きな問題になったとは聞いている。


元大臣のベン・フィングが関わっているようと見られていただけに、国も力を入れて調べた結果、ベン・フィングはディーロ兄弟と繋がりがあると断定した。


そしてそれは、ブロートン帝国とのつながりがあるという事になる。


ベン・フィング本人は知らぬ存ぜぬの一点張りらしいけど、言い逃れはできないだろう。

ただ、ベン・フィングを現状より強く尋問できない理由に、国王陛下の存在がある。


さすがにかばいきれず、ベン・フィングは大臣としての役職を失い、投獄までされているが、そうなってもまだ国王がかばっているので、現状の聞き取り以上の強い行動に出る事ができないらしい。


ベン・フィングがブロートン帝国と通じているとしたら、それは本当に大変な事態だ。


国王陛下すら意のままに動かしていた男だ。この国の内部事情など、全て筒抜けだろう。

そして、ブロートンの雇った殺し屋が、何人も簡単に侵入してしまっている事を考えると、事態は非常に危ない状態なのだと思う。


以前、ブロートン帝国は、このカエストゥス国とは緊張した状態にあると聞いたことが、頭によぎる。


嫌な感じだ・・・このまま何もなければいいのだけれど・・・・・



ウィッカーさんと、ジャニスさんも同行する事が多いので、二人はもっと深い事情を知っていると思うけど、お城へ行く日は二人とも難しい顔になるので、なんだか聞き辛い。


メアリーちゃんは、話せる時が来たら話してくれますよ。と言って、いつも通りの仕事を行う。

きっとウィッカーさんを信頼しているからなんだ。


ウィッカーさんがする事を全面的に信頼しているから、不安にならずに待つ事ができる。


すごいな。と率直に思う。


メアリーちゃんのこういうところは、本当にすごい。


メアリーちゃん程には無理かもしれないけれど、私もパトリックさんと、こういう信頼関係を築けていけたらいいな。




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