表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
178/1534

【178 強がりの涙】

誤字を見つけたので訂正しました。内容に変更はありません。

「ジャニス、父さんの容態はどうだ?」


「うん。大丈夫。怪我は完全に治したから心配ないよ。でも、あれだけの攻撃魔法を浴びて意識を失ったから、無理に起こさないでこのまま寝かせておいた方がいいと思う。エディさんがいなかったら、私は殺されてたかもしれない。でも、私を護ってエディさんがこんな目に・・・ごめんなさい」



ツリーハウスに戻ったジャニス達は、まだ意識の戻らないジョルジュの父、エディを寝室のベットに寝かせ見守っていた。


ジャニスが、ジョルジュとジョルジュの母ナタリーに頭を下げると、ナタリーは軽く首を振り、ジャニスの両腕に優しく触れた。



「ジャニスさん・・・謝らないで。この人はね、昔からこうなの。自分の事より、他の誰かのために行動するの。代わりに自分が傷ついても全然気にしないの・・・そういうところがほっておけなくて、私が傍にいないと危なっかしいなって思って結婚したの。だから、この人は満足してるわ・・・ジャニスさんを護る事ができたんだもの・・・それに二人とも無事に帰って来れたわ。帰って来てくれてありがとう・・・この人を助けてくれてありがとう・・・ジャニスさん」




優しさのこもるナタリーさんの声に私は顔を上げる。


ナタリーさんの目には涙が浮かんでいて、今にも溢れそうになっていたけれど、それでもナタリーさんは微笑んでいた。



・・・・・ナタリーさんは、エディさんが大好きなんだ



当然だよね・・・だって、旦那さんなんだもん・・・・・私は今、エディさんのおかげで生きている


そっか、謝るんじゃなくて・・・・・・こういう時はお礼を言うんだ・・・・・



「ナタリーさん・・・・・ありがとうございます。私、エディさんのおかげで助かりました・・・エディさんが目を覚ましたら、きちんとお礼を言わせてください」



ナタリーさんの顔を見てお礼を言うと、なんだか私も涙が溢れてきた。



あの時、あの爆裂弾の嵐の時・・・エディさんが身をていしてかばってくれなかったら、きっと私は死んでいた。



今更だけど体が震えてきた・・・・・



私は・・・怖かったんだ・・・・・



ナタリーさんは私の体を抱きしめると、優しく背中を撫でてくれた。



「もう大丈夫よ・・・安心していいの。怖かったわね・・・本当に頑張った」



私は両親がいない




親と呼べる人は師匠だけだ




母親の温もりは知らない




だけど、きっと母親という存在は、子供が不安になった時、こうして抱きしめてくれるんだと思う




ナタリーさんの温もりは、母親を知らない私にも、母親の温もりを教えてくれた





私の目から涙が溢れて頬を濡らした




涙を流した事なんていつ以来だろう


私はお姉ちゃんだから・・・孤児院では弱音を吐かない・・・強くなければいけない・・・・・





でも・・・私も・・・・・私だって・・・・・・・泣きたくなる時はある






「お・・・おかあさん・・・・・う・・・うぅ・・・・・・・・・・」




突然お母さんと呼ばれて、ナタリーさんは少しだけ驚いたように見えた


でも、私をもっと深く抱きしめる両手はとても温かく、私はナタリーさんの胸で泣き声を上げた



「・・・・・ジャニス、泣きなさい・・・いっぱい泣いていいの。頑張った。本当に偉いわ。もう大丈夫だからね・・・」




それからナタリーさんは、私が泣き止むまでずっと頭を撫でてくれた


私が孤児という事は話してないけれど、きっと何かを感じ取ってくれたんだと思う



ナタリーさん・・・ありがとう



この時私にかけてくれた言葉は、母親としての言葉だったと私は感じている



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ