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【167 顔合わせ】

誤字を見つけたので修正しました。内容に変更はありません。

ヨハンに取り次いでもらい、俺達は宿舎内の会議室に通された。


室内は40~50人くらいは入れそうな広さがあり、長テーブルがいくつも置いてあった。

壁際にいくつかプランターが置かれ、植物の緑が簡素な部屋にも温かみをもたらしていた。


清掃が行き届いている事はよく分かり、清潔感のある部屋だった。


「これは、ブレンダン様、みんなもよく来てくれた。さぁ、こちらにどう・・・え?・・・お、王子?」


手前のテーブルで、座って待っていたロビンさんが、俺達の入室に気付くと立ちあがり近づいて来た。


だが、室内に入った王子の姿を目にしたロビンさんは、さすがに大きな声を上げる事はしなかったが、驚きのあまりどう話せばいいのか言葉を失っていた。


「これ、ロビン、そこまで驚かんでもよかろう?ワシが王子の解放を求めている事は知っておったろうに」


「あ、は、はい。では・・・ここに王子がいらっしゃるという事は、無事に国王の許可が下りたのですな?」


師匠が声をかけると、ロビンさんも多少気持ちを落ち着けたのか、言葉を返してきた。

だが、ロビンさんの問いは答えづらいものだった。


許可が下りた事は間違いない。だが、あれは軟禁を解いたというより、絶縁と言う方が正しいだろう。王子の前でそれを口にする事は、はばかられる。


師匠はロビンさんの質問に答えるため、静かに目を閉じ、ひと呼吸置いて口を開こうとした。


だが、それより早く、王子が返事を口にしていた。



「ロビン、俺は国王と縁を切られたらしい。だから、これからは孤児院に住む、ただのタジームだ。王子とは呼ぶ必要はない」



「な!?なんですと!?王子、そんな・・・それは・・・・・」



ロビンさんは、それは本当ですか?と、聞きたかったんだと思う。

でも、その言葉は飲み込んだ。


王子がそんな嘘をつく理由がない。


したがって本当なのだ。ロビンさんは、王子の短い言葉で全てを悟ったのだろう。

そうですか。と、一言だけ答えると、ブレンダン師匠に顔を向けた。


師匠はロビンさんの向ける、悲しみを称えながらも、なにかを託す意思を込めた強い眼差しを受け取り、黙って頷いた。



ロビンさんも、王子を気にかけている。数少ない王子の味方なのだ。

孤児院に来ると、必ず王子に声をかける。



お元気ですか? ちゃんと食べてますか? 今日は良い天気ですな!



他愛の無い言葉だけど、ロビンさんは孤児院に来ると、王子を探し、必ず一度は声をかけていた。


国王陛下と親子の縁を切れたならば、もう王子が城へ来ることはないだろう。


ロビンさんは、師匠に王子を頼んだんだ。

そして、師匠もその気持ちをしっかりと受け止めた。



ロビンさんと師匠、二人の意思のやりとりを、王子が気付いていたかは分からない。


王子は自分の話しが終わったと察したのか、黙ってテーブルまで歩くと、イスを引いて腰をかけ、それきり目を閉じて何も話さなくなった。



「・・・ロビンさん、実は新顔がもう一人いるんです。紹介しますね、ジョルジュ、ほら前に出なさいよ」


ジャニスに言われ、会議室の外で、ドアの影に立っていたジョルジュが室内に足を入れると、ロビンさんは少し驚いたようだ。


なにせ、あの史上最強と言われるジョルジュが、俺達と一緒に行動しているのだ。

どういう組み合わせだと思ったのだろう。



「・・・いやぁ、驚きましたな。そちらの方は、ジョルジュ・ワーリントン殿ですな?先日の弓は実に見事なものでしたぞ。私はロビン・ファーマー、魔法兵団の団長です」



身長は185cm程あり、魔法使いとは思えないくらい体格が良く、鼻の下から口の回りを覆うように髭が生えているので、一見すると強面にみえるのだが、ロビンさんは人懐っこそうに大きな笑みを浮かべ、ジュルジュに手を差し出した。


「ジョルジュ・ワーリントンだ。ジュルジュと呼び捨ててくれて構わない。俺もロビンと呼ばせてもらう」


「ほぅ・・・分かった。それでは遠慮なく、ジョルジュと呼ばせてもらうぞ」


ロビンさんの返事にジョルジュが頷き、二人が握手を交わしたところで、俺達は席に着いた。





「ヤヨイさんなら、今日はいませんよ」


ロビンさんが不自然にキョロキョロ首を回し、誰かを探しているような素振りをしていたので、ジャニスはイスを引いて腰をかけながら、ロビンさんに告げた。



な、なにを言うのだね!と、うろたえながら声を上げるロビンさんは、本当にヤヨイさんが好きなんだと思った。



最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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