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1121 ロンズデールで共に戦った仲間達

誤字を見つけたので訂正しました。内容に変更はありません。

城門前で馬車を降りたアラタ達は、荷物は従者に預けて城内へと足を踏み入れた。


そして謁見の間に向かって歩いていると、二階に続く広間の階段前で、公爵家の三男、ロンズデールで共に戦った、ディリアン・ベナビデスとばったり出くわした。


「あ!ディリアン!」


「チッ、うっせぇな、いきなりでかい声出してんじゃねぇよ」


肩より少し長いくらいの、軽く柔らかそうな白い髪。

知らなければ女性と間違えてしまいそうな、中性的で綺麗な顔立ちをしている。

ジーンの結婚式以来、約三か月ぶりの再会だが、少し大人になった印象も感じられた。


「あ、悪い悪い、久しぶりだな?元気してたか?」


アラタはつい大きな声を出してしまった事を謝ると、ディアンは肩をすくめて一つ息をつき、切れ長の目でジロリとアラタを睨んだ。


「3か月くらい前に会ったばっかじゃねぇか?そんなに変わらねぇよ」


「やぁディリアン、少し背が伸びたんじゃないか?元気そうでなによりだ」


アラタの後ろから、レイチェルが顔を出して声をかけた。


「あ、レイチェルのあねさん!そうなんだよ、先週測ったら二センチくらい伸びてたんだ。さすが、よく気付くじゃん!」


「おい!俺とレイチェルで態度違い過ぎだろ!」


アラタが抗議の声を上げるが、ディリアンは銀色のファーが付いた黒いコートのポケットに両手を突っ込んだまま、んな事ねぇよ、と面倒くさそうに短く言葉を返した。



アラタにだけ対応が雑というわけではない。

ディリアンにとって、レイチェルは特別だった。最初に顔を合わせた時は、生意気な態度をとった上に、レイジェスで暴れようとしたため、手痛いお灸をすえられてしまった。


それで恨んだ事もあったが、ロンズデールでの戦いが終わった後、レイチェルは女王アンリエールから褒美で欲しいものを聞かれた時、ディリアンのベナビデス家の恩赦を望んだのだ。

父と兄が取り返しのつかない暴挙をやらかしてしまったため、ベナビデス家は取り壊し寸前まで追い詰められていた。


だがレイチェルの嘆願によって、アンリエールは没収した領地と財産の一部を戻す事を決め、ベナビデス家は再建の足掛かりを得る事ができたのだ。

深く恩を感じているディリアンは、それ以来レイチェルに対して非常に好意的になっているのだ。




「ふははははは!ディリアン、生意気なのは相変わらずだな」


「ん?この声は・・・」


後ろから聞こえた笑い声にアラタ達が振り返ると、銀色の髪を後ろになでつけた青い瞳の男が、金髪で黒いワンピース姿の女性と並んで近づいて来た。

青い瞳の男は金の糸で刺繍を施した白いシャツに、無地の黒いスーツ姿である。



「シャクール!サリーさんも、二人も来たのか?」


「フッ、面倒だがしかたなかろう?私にも愛国心の欠片くらいはある。先週までゆっくり休ませてもらった事だし、ここで招集に応じないわけにはいくまいて」


「私も女王陛下の養子として、微力ながら戦わせていただこうと思います。それにシャクール様が戦われるのに、私が待っているだけなんてありえません」


四勇士シャクール・バルデス、そしてその婚約者となったサリーは、アラタ達の前で立ち止まると、親しみのこもった笑顔を見せた。

この二人もディリアンと同じく、ロンズデールで共に戦った仲間である。



「チッ、またお前と一緒かよ?うっとおしいぜ」


バルデスに苦手意識を持っているディリアンは、露骨に顔をしかめた。


「フッ、そう嫌う事もなかろう?サリーのおかげで貴様の想い人は助かったんだぞ?生涯かけて恩を返してもいいくらいだ」


「あ~、これだからお前は嫌なんだよ。そりゃサリーさんには感謝してっけどよ・・・」


「ディリアン様、ジェシカ様の体調はその後いかがですか?」


サリーが穏やかな声色で訊ねると、ディリアンもバルデスに向けていた表情を一変させた。


「ああ、おかげ様で元気にしているよ。むしろ前より元気になったんじゃないかってくらいだ。サリーさんには本当に感謝してる、何度お礼を言っても足りないくらいだ」


「ふふふ、お元気との事でなによりですね」


サリーは、三年も昏睡状態だったディリアンの想い人、ジェシカを眠りから覚まし回復させた事で、ディリアンから非常に大きな信頼と感謝を寄せられているのだ。

だからこそ公爵家という身分にも関わらず、偉ぶる事もせずに敬意を持って接している。



「おいディリアン、私とサリーとで、ずいぶん態度が違うのではないか?」


「あー、もー!お前もアラタも何なんだよ!?同じ事言ってんじゃねぇよ!」



面倒くさそうに後ろ手で頭を掻いて、ディリアンは苛立ちをぶちまけた。


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