表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1064/1566

1064 予期せぬ状況

「ッ!これは・・・デューク、まさか!?」


突然辺り一帯が闇に覆われ、スカーレット・シャリフは空を見上げた。

さっきまで青空が広がっていたのに、今は一切の陽の光が遮られて暗闇が空を埋めている。


帝国軍師団長であるスカーレットには、この現象に覚えがあった。



「な、なんだこの闇は!?」


ゴールド騎士アルベルト・ジョシュアは、突然闇に包まれるという不測の事態に足を止めた。

スカーレットとの戦いの最中だったが、この闇はとても無視できるものではなかった。


首を回して辺りを見回し、そして闇を照らす光に気が付いた。


「あれは・・・」


陽の光が遮られても、完全なる暗闇ではなかった。

少し離れた場所で、大きな輝きを放つ光りが見える。

恐ろしく邪悪な気を発しているところを見ると、おそらくあれが原因なのだろう。



「黒い光の暴走・・・まさか、あのデュークが追い詰められたのか?」


アルベルトと対峙していたスカーレットも、アルベルトに注意を払いながらも、光に意識を向けていた。

光りがスカーレットの顔を照らし、そして垣間見えた表情は、眉根を寄せた険しいものだった。

この闇は帝国の仕業かと思ったが、スカーレットにとっても予期せぬ状況らしい。




「へぇ、この状況・・・どうやらお前ら帝国の仕業のようだな?俺らをここで足止めして、戦力を分断させるのが目的だったようだが、お前の相方の方がヤバいみたいだな?」


アルベルトは振り返らなかったが、自分の後ろで膝を着き、息を切らしている三人に意識を向けた。


大蛇サローンを倒した後、レイマート達への加勢に向かおうとしたところで、突如現れ攻撃を仕掛けて来たのは、深紅のローブを纏った緋色の髪の女だった。


帝国軍黒魔法兵団団長にして、第四師団長スカーレット・シャリフ。


アルベルトに油断と言う油断があったわけではない。

だが大蛇サローンを倒し、仲間の無事を確認できた事で生じた僅かな気の緩み、そこを突かれて先制攻撃を許してしまった。


最初に狙われたのはフィル達、三人のシルバー騎士だった。

運悪く、青魔法使いのエミリーの魔力が切れていた事も重なり、結界を張る事ができなかった。

そのため三人は爆発魔法の直撃を受けてしまう。


すぐに反撃に移ったアルベルトにより、更なる追撃は許さなかったが、スカーレットの魔力はシルバー騎士三人を遥かに凌駕しており、三人が受けたダメージは大きかった。

その結果、白魔法使いロゼのヒールでも、いまだ回復に時間がかかっており、戦線離脱を余儀なくされていた。



なぜスカーレットは先手を取れたのに、最初にゴールド騎士のアルベルトを狙わなかったのか?


それは弱い者から順に倒していった方が効率がいい。そういう考え方もなかったわけではない。

だが最大の理由は、一騎当千と謳われるクインズベリーのゴールド騎士が相手でも、一対一ならば勝てるという、スカーレットの自信に他ならなかった。



「・・・貴様の相手をしている場合ではなくなった」


黒い光によって生じたこの闇の空間を見回すと、スカーレットはアルベルトに視線を向けて、

小さくそう呟いた。

そして一歩後ろへ下がると、アルベルトがニヤリと笑って口を開いた。


「おいおい、自分から仕掛けておいて、今更どこに行くんだよ?」


スカーレットが下がっても、アルベルトに逃がすつもりはさらさら無かった。


不意を突かれて、仲間を攻撃された事による怒りも大きいが、帝国の師団長と一対一という図式は、アルベルトとしても好ましかった。


大陸一の軍事国家、ブロートン帝国の師団長が単独で行動しているのだ。

今ここでスカーレットの首を取る事ができれば、これからの戦況に大きな影響を与えるだろう。


そしてあの黒い光の発生源で、何が起きているのか?それは分からない。

だがスカーレットの仲間がいる事は間違いない。合流させると面倒になるだろう。


ここまで自分とスカーレットは、ほぼ互角の戦いを繰り広げている。

だからこそ合流させてはならない!今はスカーレット撃破できる千載一遇の機会なのだ!



「お前はここで俺に斬られるんだ。逃げずにかかって来いよ、師団長さん?」


右手に握る剣先を突き付けて、アルベルトはスカーレットを睨みつけた。



「・・・フン」


だがアルベルトの挑発も意に介さず、スカーレットは風魔法を使い空中に浮かび上がる。


ギリギリまで視線を切らず、アルベルトと睨み合いながら、少しづつ後方へと下がって行った。

そして暗闇に紛れ、お互いの姿が認識できないくらいの距離を取った時、スカーレットは身を翻した。



「黙って行かせると思ったか!」


スカーレットが背を向けた瞬間、アルベルトは地面を強く蹴って飛び出した!

スカーレットが下がっても追いかけず、足に闘気を溜めておいて、この瞬間を待っていた。


なぜならば、一足で追いつけるからだ。


溜めに溜めた闘気を爆発させて地面を蹴りつける!

その推進力は、瞬き程の一瞬でアルベルトをスカーレットの元に運んだ。


スカーレットが身を翻した時、アルベルトはスカーレットの背中をとっていたのである。



「なッ!?」


「もらった!」


気配を察し、スカーレットが振り返ろうとした時には、すでにアルベルトの剣がスカーレットの背中に振り下ろされていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ