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1035 レイマートの策

レイマートが闇と対峙するのはこれで三度目だった。


過去二回は、どちらもクインズベリーでの戦いの最中である。

闇に飲まれたかつての上官トレバー・ベナビデス。

そして変身魔法で国王に成り代わっていた、帝国の青魔法使いマウリシオ。


闇との戦いが初めてだったトレバーとの戦いでは、動きを封じられて護るべき女王陛下に助けられるという不覚をとった。


しかし三度目ともなれば、闇の瘴気の性質というものも分かって来る。



「ぶっ殺してやらァァァァァァーーーーーーーーッツ!」


削ぎ落された右肩の傷口から溢れ出る闇の瘴気が、失った右腕の代わりを形作る。


「ふん、人間だったら今ので終わってたんだがな。さすが化け物だ、腕くらいなら補えるか。やはり頭を潰さなければ駄目らしいな」


「サローーーーーンッ!こいつを食い殺せ!」


「できるかな?」


洞窟に頭を突っ込んでいる大蛇サローンに声を飛ばすと、レイマートがニヤリと口角を持ち上げた。


「なんだと?どういう・・・っ!?」


バドゥ・バックはサローンに顔を向けて異常に気付いた。



なんだ・・・?

サローンの体が震えて・・・これは?


洞窟に突っ込んだまま体が震えて出し、しっぽが大きく波打ちだした。


「サ、サローーーン!ど、どうしたというのだ!?ぐっ!」


大蛇サローンの背に乗っていたバドゥ・バックだったが、立っている事ができないくらい強く体が跳ねると、バドゥ・バックは払い落されてしまった。


「な、どうしたと言うんだサローン!?いったいなにが・・・っ!?」


尻もちを着きながらサローンに向かって声を張り上げたその時、真っ赤に燃え盛る炎の竜に顔を焼かれながら、黒い大蛇が外へと押し出されてきた。


「なにィッ!?あ、あれは!?」


「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーッツ!」


大蛇を追うように、洞窟から黒いローブ姿の魔法騎士が、全身に炎を纏い飛び出してきた!


「焼き殺してやるぜーーーーーッッツ!」


火の上級魔法灼炎竜!

フィルの放った灼炎竜は、10メートル級の大蛇に見劣りしない程大きく、そして激しく燃え盛っていた。大蛇の首に巻き付いてギリギリと強く締め付けながら、その巨大な上顎と下顎で頭に噛みついている!


「ば、ばかな!こ、これではまるで・・・」


自分を待ち伏せして樹の上から奇襲をかけられた事、そしてサローンが洞窟に頭を突っ込むと、すかさず灼炎竜で反撃をしてきた事、これではまるで準備をしていたようではないか?


「レイマート様!私達も無事です!」


フィルが飛び出して来た後から、エミリーとロゼもその姿を見せた。

事前に打ち合わせていた策が見事にハマリ、レイマートは勝ち誇ったように笑って見せた。


「へっ、隠れ場所がバレりゃあ、テメェが蛇でブチ破ってくるなんざ十分予想できるよな?破壊に伴う落石や飛び石はエミリーの結界で防げる。無防備に頭から突っ込んで来た蛇は、フィルの灼炎竜で餌食ってわけよ」


「ぐぬぉぉぉぉぉぉーーーーーーッツ!こ、こけにしおってぇぇぇぇぇーーーーーーッツ!」


「さぁ、これでテメェは蛇と分断されたぜ。どうする?可愛い息子無しで俺と勝負できんのか?怖いんなら逃げてもいいんだぜ?」


「ふ、ふざけるなぁぁぁぁぁーーーーーーーーーッツ!」


指を突きつけて嘲笑うような言葉をぶつけると、バドゥ・バックの怒りが頂点に達した。

闇の瘴気で形作った右腕を、頭上高くに振り被る。


「お、やる気か?」


「ウラァッッッツ!」


絶叫を上げて、レイマートに向かって右腕を振り下ろす!


勢い強く加速の付いた右腕は、そのまま一気に一瞬にして伸びて、闇の拳がレイマートの頭に叩き込まれた!


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