スパイスマン田中
起き抜けのテンションでやった。後悔はしていない。
佐藤「あ、田中さんこんにちは、って何ですかその格好!?」
??「私は田中さんなどではない!よく私を見ろ!」
佐藤「黄色い全身タイツ……」
??「うむ」
佐藤「胸にSPICEの文字……」
??「良い着眼点だ」
佐藤「漂うスパイシーな香り……」
??「よく気が付いたな」
佐藤「もしかして田中さんでは?」
田中「そうだ、私がスパイスマンこと、田中だ」
佐藤「あ、認めるんだ」
田中「だが私の正体を知られたからには、タダでは帰さん」
佐藤「うわ、何をするんですか!?変なところから変なもの出すないでください!
やめて!気持ち悪い!うあああ変なもの入れないでぇぇぇ……」
・・・・
・・・
・・
・
佐藤「なんなんですか、この粉、気持ち悪い……」
田中「ターメリックだ!」
佐藤「なんでそんな強気なんですか!?
それに、なんか顔がヒリヒリするんですけど」
田中「レッドチリだ!」
佐藤「だからなんでそんな強気なんですか」
田中「そんなことよりお前、胸にローリエが貼りついてるぞ!煽情的だな」
佐藤「あんたが貼りつけたんでしょうが。煽情的ってなんですか」
田中「ゆっくりと剥がすんだ。そうだ、ゆっくりだ。いいぞぉ、いいぞぉ」
佐藤「ちょっと!なんでスマホ構えてるんですか!?」
田中「記念撮影だ!
生まれたままの姿にローリエを貼り付けるなんて、とんだスケベ野郎だぜ!」
佐藤「いやらしい目で見るのはやめてください!
なんなんですかスケベ野郎って!?」
田中「そのままの意味だが?
まぁ、と言う訳で、佐藤くん。
君は今日からカレーマンだ。早速、任務を与える」
佐藤「なにが、と言う訳なんですか!?
あとカレーマンってネーミングセンス無さ過ぎるでしょ
コンビニのレジ前で蒸されてるやつを同じじゃないですか!」
田中「なんだ、不服なのか?」
佐藤「不服に決まってますよ」
田中「あーやだやだ、最近の若い者は義務を果たさずに権利だけを主張する」
佐藤「えぇっ、そんな話してなかったですよね」
田中「うるさい!口答えは許さんぞ!」
佐藤「理不尽!」
田中「それになんだ。
耳にシナモンを挿したまま人と話すのは失礼だって、学校で習わなかったのか!?」
佐藤「そんなこと習った覚えないですよ!それに挿したのあんたでしょ」
田中「そうか、どうやら深い事情があるようだな。
デリケートな部分に踏み込んでしまってすまなかった……」
佐藤「急にしおらしくなってどうしたんですか?」
田中「だって、学校に行ったことないんだろ?複雑な環境で育ったようだな……」
佐藤「学校行ってました!普通はそんなこと習わないですよ!」
田中「さてはお前ゆとりか?」
佐藤「ゆとり世代の方に失礼ですよ!」
田中「私が子供の頃は、先生に怒られるたびにシナモンを耳に挿してたぞ。
ポケットに忍ばせたシナモンをそっと挿すんだ。
耳がゴロゴロ鳴って、先生の声も気にならなくなるぞ」
佐藤「先生の話聞けよ!」
田中「毎回、シナモン挿すなって言われるものだから、若干鬱陶しかったな。
まぁ、先生の私物を毎日スパイスまみれにしてやったら、
そのうち学校に来なくなったがな」
佐藤「悪質!」
田中「HAHAHA、とんだお笑い草だぜ」
佐藤「どこが笑いどころなのかさっぱりわかりませんよ!?
あーこれからバイトなのに、どうしてくれるんですか!」
田中「これからバイトなのか、それなら一つだけ言わせてくれ」
佐藤「なんですか!?手短にお願いしますよ!」
田中「バイト行く前にシャワー浴びた方が良いぞ」
佐藤「うるせぇよ!」
お笑いとはいったいなんなのか?難しい。