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宰相閣下の悪巧み  作者: 和泉 撫子
番外編
13/14

王太子殿下の観察

義弟編が難産すぎて番外編に逃げてしまっています…

私はこの国の王太子であるオースティン・オーラリアだ。本名はとても長いので省略。




さて、我が国の宰相の話をしよう。



彼は23歳にしてその才を認められ我が国の宰相となった男だ。名門ロブウェル公爵家の当主でもあり、次期国王となる私の右腕である。

吸い寄せられるような美貌と、その冷酷ともいえる政治手腕から、氷の魔王だの雪の貴公子だのといわれている。


実際、彼が宰相として就任してからの数年で、国境近くを騒がせていた盗賊団の討伐や貴族の不正の告発がかなりあり、現在国内の貴族はとても大人しくなっている。



そして全く女性を近づけないことから、男色疑惑やら異常性癖などの噂が数多くあった。かくいう私もひっそり同性愛者かもしれないと疑った時期があったことは墓場まで持っていく秘密だ。




結論として、彼は伯爵令嬢と電撃結婚した。


王太子妃選出の中であっという間に奥方を絡めとってしまったのだ。


あとからロブウェルの親友であるフィル・カーライルにかなりマイルドにした事の顛末を聞かされた。


ともあれ、現在私の伴侶であるエリザベートと出会うことができたのだから、深くは詮索すまい。


私たちの婚約期間に起こった令嬢毒殺未遂事件では、当初ロブウェルの婚約者であったアレクサンドラ嬢が犯人とされたが、怒り狂ったロブウェルによりあっという間に黒幕を断罪することができた。


現在ドミニク侯爵家は存在しないとだけ言っておこう。


あの事件の時は本当に肝を冷やした。3人の令嬢は少量の毒を摂取しただけでも生死の境を彷徨い、何日も意識が戻らなかった。あんな強力な毒を精製し、紅茶葉に仕込む技術など暗殺以外に使われないため、王族への謀反の意思ありとみなされ、犯行に関わった者たちは厳刑に処され、その家も断絶か没落した。


幸い私の愛するリザに後遺症はなかったものの、あれ以来紅茶を飲むことができず、かわりにハーブティーや外国の飲み物などを飲んでいる。そのため、国内の貴婦人たちの間で現在ハーブティーが大流行している。


たった一つだけよかったのは、身辺警護のためといって、リザを王子宮に保護できたことだ。彼女を王宮に通わせるよりも、一緒にいられる時間が増えたのはとても嬉しい誤算だった。父上も今回の件で思うところがあったらしく、王宮内に王族の婚約者を保護する設備をつくることになった。

ただし、やはりかわいい婚約者がすぐ手の届くところにあるというのは、つい手が出てしまって困った。



話が逸れたが、そんな事件やロブウェルが婚約者の機嫌をそこね、一時期使い物にならなかった事件などを経て、彼らは予定通り結婚した。結婚式でのあまりにも幸せそうなロブウェルの笑顔を見たご婦人が何人か気を失ったらしいとフィル・カーライルに聞いた。



その後3年としないうちに、ロブウェル公爵家は立て続けに子宝に恵まれていった。私たち夫婦の間にも結婚式から半年ほどして後継が生まれ(計算が合わないなどという無粋なことをいう貴族はいなかった)、時を同じくして生まれたロブウェル家の長女は夫人と共によく王宮を訪れている。顔も中身もロブウェルに瓜二つな長女に対して、我が息子がなぜか及び腰なのが気になるが、子どもたち同士交流がある。いずれ本人たちがよければ婚約させてもいいかもしれない。



概ねロブウェル公爵家は幸せそうだ。ロブウェルは想像できないくらいの甘さで家族を大切にしている。だが、あそこの子どもたちは揃って美貌と才能に恵まれているようなので、いずれ社交界は大騒ぎになるだろうことは想像に難くない。


かくいう我が家にももうすぐ4人目の子どもが生まれてくる。かわいいリザに似た子であれば何人でも欲しい。さて、そろそろリザのところに戻ろうかな。


それではまたどこかで。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 長編も大変面白かったです。 宰相さまはヤンデレというか、異世界版源氏光というか…悩みますね!
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