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平成奇怪譚録 〜通学路〜

作者: 遠智 赤子

小学生のときのことです。


私の家から学校まではだいたい20分ぐらいあって登校は近くの家の子たちと一緒にしていました。


いわゆる集団登校ってやつです。

黄色い帽子被って行かなきゃならなくて結構目立ってたと思います。



それで毎日通る道も横に田んぼがあって反対側には家が並んでるような田舎の道でした。


それでいっつも朝ワイワイ騒ぎながら登校してたんで結構うるさかったと思うんですよね。


きっとまだ寝てる人からすれば大迷惑してたと思います。


でも一度も怒られたことはなかったなー。


ああ、話が逸れましたね。


それで周りの家の人もみんないい人でボランティアの人とかも居て通学路に立ってくれてたんですよ。


交差点で旗持ったりして。


それから毎日二階の窓を開けて私たちを見てくれてるおじちゃんもいたんです。


その家はちょうど通学路に面してて木造の平屋みたいな家にあとから二階を増築したような家でした。


そのおじちゃんも本当はうるさかったんでしょうけど別に何か言うわけじゃなくていっつもニコニコして。


たまに目が合うと手を振ってくれたりもしました。


でも雨の日も雪の日でもいつも窓開けて手を振ってて変だなーとは子供心に思ってたりもしました。



それである時学校からの帰り道、いつも一緒に帰る子がその日風邪でお休みだったんで私一人で帰ってたんです。


で、見るといつものおじちゃんがニコニコしてこっちを見てました。



だから私初めておじちゃんに話しかけてみたんです。


「おじちゃんはそこの家の人ですかー?」って。


笑っちゃいますよね?

そこに住んでるのは当たり前なのに子供だから変なこと聞いちゃいました。



そしたら、おじちゃんも変なこと言うんです。


「ちがうよー」って。



今はちがうって言うんです。


変ですよね?だっていつもそこから見てるのに。


「じゃあなんでそこにいるのー?」って聞いたら




「おじちゃんは死んじゃったからここから動けないんだよー」って言うんです、ずっとニコニコしながら。




それでおじちゃんは続けました。




だから一緒について来てくれる子を探してるんだよー



って。



私は言ってる意味はあまりわからなかったんですけど何だか笑ってるおじちゃんが怖くなって無視して走って帰っちゃいました。




それからも、おじちゃんは毎日窓を開けて私たちの登校を見てたんですけどあるとき気が付いたらいなくなってました。



それからはもうおじちゃんをずっと見てません。




でも後から知ったんですけど私の下の学年で台風の日に行方不明になった子がいたって聞いたので、もしかしたらおじちゃんについて行ってしまったのかもしれませんね。

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― 新着の感想 ―
[一言] ホンワカした情景が描写されているのに、お話はひんやりしていて、面白かったです。ありえそう。
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