終わりと始まり
うっすらと見える景色と何となく聞こえる声を聞きながら零は思う。
何が仲間だ!っと。
仲間だというなら、殺すのではなく、助けるべきだ。殺すことは救済ではない。
だが、もう手遅れである。
両手剣使いの颯の号令で、皆は一斉に攻撃を放つ。そう、僕に向かって。
もう、目の前にいるのが仲間だとは思えなかった。
イジメを見てみぬふりをするのはまだいいが、殺されるのだ。そうなってまで仲間だと思うのはよほどのお人好しだろう。
あぁ。これで僕の人生も終わりか…。
薄れゆく意識の中、今までの記憶が蘇る。
これが走馬灯ってやつか…。
そうだ。すべてはあの時始まったんだ。
異世界に転移したあの日に…。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
その日は唐突に訪れた。
いつも通りに始まり、終わる。
そう思っていた。
僕は今、絶賛パシり中である。
同じクラスの斎藤、野中、山田の三人はいつも通りに僕を自販機まで走らせる。まだましなのは金を自分達で出していることだろう。こんなことは日常茶飯事である。パシり、当番の交代(というなのお前が代わりにやれ!ってやつ。)に、給食で個数のある物は全部没収(没収して自分達で食べる)など、数えたらきりがない。クラスメイトも先生達も知っている筈だが、見てみぬふりである。まぁ、これがこの世界での普通だと割り切っている。
どうしてイジメられるのか?特に、何かしたわけでもないのだが。といっても心当たりはある。
それは、2-3二大オタクと呼ばれる、超情報通な僕の数少ない小学生の頃からの友達?知り合い?の星野に言われたことなのだが…。
「零!」
「なに?流星」
「お前ってやっぱ男の娘だよなぁ」
「またそれ?どうしてその男の娘ってやつだと思うの?っていうかそれなに?」
また、よくわからないことを言う星野に問いかける。
「はぁ。男の娘を知らないって、時代遅れだぞ!まぁ、いい。俺が男の娘について教えてやる!」
星野いわく、男の娘とは男でありながら、女のような見た目の人を言うのだという。男の娘は、よくアニメやらゲームやらにいるらしいのだが、現実で会えるとは思ってなかったぜ!っとのことだ。
「それを聞いたら余計にわからないよ。僕に当てはまってないじゃん。」
そう言った瞬間。クラスの一部の男子や女子から、冷たい視線を感じた気がする。
「ったく。本当に自己評価の低いやろうだ。いいか?お前の見た目はそこら辺の女子をゆうに超える可愛さだ。見た目はもちろん。声も変声期を迎えた男子とは思えない高さ。家の事情で、切ることのできていない長く美しい色艶を放つ髪。そして掃除洗濯などを含めたその女子力!そしてなんか助けてあげたいと庇護欲を誘うその動き。まさしく、パーフェクト男の娘そのものだ!」
そこら辺の女子をゆうに超える可愛さのところで、少し冷たい目が星野に刺さったが、そのまま凄い勢いで語る。
僕って、そんな風に見えるの?っと、思っていると、
「それ故に、お前は一部の女子から大人気だ!しかも、学校1の美人と呼ばれし、鈴木もその中に入っているのだ!男子からの嫉妬に気をつけろよ!ああ、もちろん、お前の可愛さに嫉妬する女子にも気をつけろよ。」
ということが前にあった。
たぶんそれが原因なのだろう。
そんな事を考えてジュースを三本もって、教室に入った瞬間。
ドスッ!
「がはぁっ。」
腹に衝撃がはしった。
他の人のなろう作品を読んでいたら、書きたくなって書いた趣味の、作品です。誤字脱字とか気になる事があったら、コメントしてください。あと、あらすじに書いちゃったけど、設定も募集しています。気にいったらどんどん採用します。初心者の作品ですが、これからよろしくお願いします。