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第71話 旅の始まりの出会い


 随分と久しぶりの投稿となってしまいました。

 今回からちょっと長編にチャレンジしてみました。なので今日から再び毎日投稿になります。20話ほど毎日投稿を続ける予定です。投稿を忘れなければですが(笑)


 英雄の国に向けて旅を始めてからかれこれ数日が経過した。この数日間というものはモンスターに襲われ、度重なる危険に…ということにはなっていない。


 むしろ何とも安全で安心な充実した数日間だった。ルシュール領を出立した後は毎日どこかの村に立ち寄り、食事を取り、宿に泊まった。


 ルシュール領の周辺はルシュール辺境伯の恩恵にあずかれるので、作物はよく育ち食糧に事欠くことはない。そのおかげで冒険者も多く集まり、モンスターの討伐も定期的に行われているため、とても安全なのだ。


 だからこの数日間は正直俺1人でも全く問題はなかった。毎日馬車の中でスマホをいじり、昼寝をして飯を食うというなんとも幸せな数日間だ。


 考えてみればこんなにのんびりと過ごしたのは久しぶりな気がする。それこそ、この世界では初めてではないだろうか?こっちに来てからというもの、毎日のように金を稼ぐ事ばかり考え、それを実践して来た。こんな風に何も考えず毎日を過ごす。最高だ…


「そろそろ飯にするか。あそこの木陰で昼食にしよう。ミチナガ、今日も頼んだ。」


「はいはい、今日は何にしましょうかね。」


 この旅の間、食事は俺が用意することになっている。まぁ食事を任せても良いのだが、そうなるとその食費は経費として俺が払うことになる。


 そんな事になったら無駄に金がかかる。そんな余裕は俺にはないのだ。だから食事は俺が用意して少しでも安く済ませる。6人分の食事の代金が減るというのはかなり大きいからな。


 いつものように昼食をとっていると地図を見ていたウィッシが話し出した。


「この先はルシュール領からだいぶ離れたせいで村の数が減る。これからはモンスターの数も増えるぞ。より一層注意しよう。」


「了解っす!モンスターのランク帯はどうっすか?」


「明日までは低ランク帯のはずだ。しかしその後は少しランク帯が上がるな。それに道が塞がれているらしい。危険だが森の中を進むしかないな。」


「俺の戦斧にかかりゃどんなモンスターだろうと一発よ。大船に乗ったつもりでいな!」


「泥舟じゃなけりゃいいけどな。」


 笑いが起き、ナラームにガーグが掴みかかろうとする。まぁこれだけ余裕があるのならば心配はいらないだろう。俺は今まで通りまったりさせてもらおう。




 あれから2日後、ウィッシが言っていた通り、道が塞がれていたため森を抜けることとなった。こんな森の中だと道路の整備や復興もなかなかされないんだな。


 まぁ森の中に入ったのはまだ昼前だった。森の中に入るのも塞がれた道を迂回するだけなので、日が落ちるまでに元の街道に戻ることが出来るはずだ。


 森の中は全く整備されていないので木の根や岩に乗り上げ、馬車が大きく揺れる。尻は痛いし、ちょっと酔ってきた。こんな時はスマホをいじって酔い覚ま……


 オロロロロロ……


「お、おいミチナガ大丈夫か?とりあえず遠くを見ていろ。そんなもん見ている場合じゃねぇ。」


「あ、あい……あ…あオロロロロ……」


 うん、車酔いの時はスマホ見るべきじゃなかったか。なんでもスマホ頼りはダメだな。完全に車酔いでグロッキーな俺はそのまま眠ってしまった。


 ようやく再び目を覚ました頃には辺りは薄暗くなっていた。すでに馬車は停車している。おそらく今日の野営地に着いたのだろう。馬車から顔を覗かせる。


「あれ?まだ森のな……」


「だぁぁぁ!このクソM魔法使い!地図見ているくせに道に迷うとはどういう了見だ!!」


「うるせぇぞ!このクソ脳筋!テメェは斧振り回すしか脳がねぇだろ!そのくせ道順にケチつけやがって!お前のいう通り右に曲がったのが間違いだったんだ!」


「ふ、2人ともやめるっすよ…」


「っすっすうるせぇぞ!」


「そうだケック!お前何自分は関係ないふりしてやがんだ!お前だってなぁ!」


「ちょっと待って!どうしたんですか!迷ったんですか!?」


 起きたと思ったら一触即発状態ってどういうことだよ。俺が止めなかったら確実に殴り合いになっていた。とりあえず俺が第3者として事情を聞いてみることにした。しかし話はごくごく簡単なものだった


「…つまり馬車が通れる道を使って迂回していたらいつの間にか迷っていたと。地図は見ていたんですよね?」


「もちろんだ。だが予想以上にこの森の中は茂っていてな、なかなか通れる道がなくて迂回していたらこんなことに…コンパスもさっきから使い物にならん。」


 普段この辺りの森に入る人間は少ないため森の情報はほとんどないらしい。しかしそこまで迷うような森だとは思ってもいなかったのでそこまで準備をしていなかったようだ。


「魔法でどうにかならないんですか?こう…パパッと。」


「それも試した。だがこの辺りはその手の魔法がうまく作用しない。おそらくどこかから魔力が噴き出しているのだと思うが…それにしてはモンスターが少ない。誰かが意図的にという点も考えたがそれにしては人の気配というものがなさすぎる。」


 そんな便利な魔法もあるんかい。試しに言ってみただけなのに、まずそっちに驚きだわ。だけどそこまで魔法も万能じゃないのね。よくわからないけどジャミング的な奴なのかな?


「そうですか。とりあえず俺の方でなんとかできないかやってみますね。」


「お前が?魔法も使えないのにどうするというんだ?」


「魔法が使えないけどやれることはありますよ。」


 俺はスマホから眷属たちを全員出した。そしてとにかく周辺に散らばるように命令した。それからしばらくして、スマホのマップアプリを起動した。このマップは俺と俺の使い魔、および眷属たちの歩いたところもマップに記録される。


 だからこうして眷属たちを散開させればこの辺りのマップを埋めることが可能なのだ。こうしてマップを確認するとうまい具合に元の街道に戻る道が出てくる。


「戻る道はわかったけど……あれ?なんかこの部分だけ行けてないな。眷属たちが行かなかった?それにしては不自然すぎるな。しかも眷属たちの半径10mはマップとして記録されるはずなのにうまく記録されてないような…」


 これは明らかにおかしい。この一点だけなぜか眷属たちが辿り着くどころか近寄ることすらできていない。スマホから眷属たちにその地点に向かうように指示したがなぜか近寄ることができない。


「う〜ん…これは…お宝の予感。」


 こういったのはゲームでは確実にお宝があるパターンのやつだ。だったら行くしかないっしょ。危険そうなら逃げればいいし。今の俺にはちゃんと護衛もいる。心強いかどうかは別にして。


「帰り道はわかりましたが、興味深い場所があるのでそこに行ってみましょう。おそらくそこが迷った原因の場所だと思います。」


「いいだろう。この責任をとらせてやる。」


 責任追及する相手がいるかは知らんけど。まあいいや、とりあえずとっとと行こう。すでに辺りは暗くなっている。今夜はその原因の場所で野宿かな。


 スマホを見ながら目的の場所に近づいて行くのだが何かおかしい。まっすぐ進んでいるはずなのにスマホだとあらぬ方向へ進んでしまっている。10分ほど進んだところでさすがにおかしいと思い、スマホの進行方向に従って進むことにした。


「えっと…ここで右ですね。……次に左で…あ、また左です。」


「おい、それだと来た側に戻って行くことになるぞ。」


「まあとりあえずついて来てください。無理なら諦めて元の街道に戻りますから。」


 このスマホのマップがあてになるのかどうかわからないけど、今はこれに従うしか方法はない。無理ならキッパリと諦めてその辺で野宿すればいいだけだ。


 それからしばらくスマホのマップの侵攻方向に合わせてぐるぐると進行方向を変えて行く。もうかれこれ1時間は進んだだろうか。すでに周囲は暗闇と化しており、マックたちはモンスターに備えて警戒を強めている。


 そんな中俺は夢中になって進んでいる。なんかこう…冒険しているなって感じになって来てテンションがだだあがりだ。楽しいな!こういうのって!


「ん?なんだあれ」


 少し先の方に何かぼんやりと光るものがある。しかも大きい。全く見当がつかないのでそのまま進んで行くとぼんやりと光っているものは何か半透明の膜のようなものだった。


「これは光の結界陣だな。相当古いものだ。時折浮かび上がってくる文字が見えるが……見たこともないな。」


「触っても問題ないんですかね?」


「おそらく…大丈夫だろう。人払いと迷わせる効果だろう。触るどころかすり抜けられるぞ。」


 そう言ってすり抜けたウィッシは急に姿が見えなくなった。不安になりつつも全員で後に続いてみる。


 恐る恐る結界をすり抜けたその先は星々の見える広い高原だった。その中央には一軒の家が建っており、その隣には大木がそびえ建っている。さらにそこから視線を横にずらす、そこには


「あれって……ゼロ戦?」


 教科書や動画でしか見たことのない日本の戦闘機、通称ゼロ戦が存在していた。





また明日も同じ時間に投稿する予定です。よかったら見ていってください。

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