第64話 ミチナガ商店開店
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街ゆく人々は今日も忙しく動き回っている。あるものは食料の買い出しへ、あるものは足りなくなった生活必需品を買いに。皆、思い思いの行動をしている。
そんな中、ひときわ人の集まる場所がある。今日から新規開店した店だ。その店はなかなか面白いものを取り扱っている。最近街で噂になっているおはぎやあんころ餅というものだ。甘味でありながら値段は手頃で、多くの人々に人気がある。
最近ではおはぎ派かあんころ餅派かで度々言い争いになることも多い。まあ大抵はどちらも美味しいで終わることが多い。
開店と同時にできたその長蛇の列はなかなか途切れることなく、いつまでも続いている。そんな長蛇の列ができる店の忙しさというものはそう簡単に計り知れるものではない……
「はい、黒糖おはぎ3個とあんころ餅1つとみたらし3本ですね。ありがとうございました。いらっしゃいませ。お待たせしました。」
「鳥の唐揚げ2ケースとうなぎの蒲焼1つですね。ありがとうございました。すみませーんうなぎ補充お願いしまーす。」
開店してからというもの、人の列が全く途切れることがない。これは初日としてはなかなかの滑り出しだ。しかし店員の立場としては、仕事に慣れる前にこれだけの人数のお客さんが来るともうてんてこ舞いだろう。
現在、店を半分に分けて商売をしている。半分はおはぎなどの甘味、もう半分は唐揚げなどの惣菜だ。人気は圧倒的におはぎの方が占めているので、おはぎの方にレジを2台、惣菜の方にレジを1台でやっている。本来はレジの1台を研究用に回すつもりだったのに…まあ、これじゃあしょうがないか。
正直なことを言うと鳥の唐揚げとか惣菜の方の人気はイマイチだ。しかしそれでもおはぎを買った後についでに昼食や夕食のおかずとして買っていこうとする人のおかげで、それなりに売り上げは伸びている。
そうそう、あれから惣菜の方にうなぎの蒲焼を追加した。それと魚の塩焼きも。そこでうなぎの蒲焼と鳥の唐揚げ、魚の塩焼きを見て思い出した。焼き鳥の存在を。
この街を見て回った結果として焼き鳥を小さくすると売れそうにないので、通常よりも大きめに鳥を切って串で焼いてタレをたっぷりと絡ませた。俺的には最高にうまそうだし、実際うまかった。
しかし知名度の問題でそこまで売れていない。子供連れの親が子供のおやつに1本買って行くくらいだ。
これからも少しずつアイデア商品を出していかないとな。とりあえずこの1週間は勝負だ。この1週間の間、下手に問題を出したりしたら店の印象が悪くなる。そしてその印象はなかなか払拭しにくい。失敗は許されない。
そういえば失敗ではないのだが、ちょっと予想外のことが…いや、ある意味では予想通りなのかな?まあそんなことが起きている。それは…
「い、いかがですかぁ〜美味しいおはぎですよ。唐揚げも美味しいですよ。」
「ほう?随分と変なことになっているな。獣人が尻尾を出して仕事をしているなんて。俺たち獣人は尻尾を隠しとくもんだぜ?」
「えっと…きょ、今日だけ特別なんです。それで…どうですか?」
「どうですかってか…本当にうまいのか?お前は食ったことあるのか?」
「き、昨日いただきました。とっても美味しかったです。おはぎなんて甘くて美味しくてほっぺたが落ちちゃいそうに…それにうなぎの蒲焼をご飯にのせて食べるととっても美味しくて…」
「ほう?そんなに尻尾を振るうほどうまいのか。じゃあ買ってみるか。」
「あ、ありがとうございます!」
そう、ティッチの尻尾を出して売り込みをすると言うのが想像以上に高評価なのだ。本当に感情を隠せないので、美味しいかどうかよく伝わる。それをよく知っている獣人達が大勢買いにきている。
本来獣人の数はそこまで多くないのだが、俺の店に限っていえば、普通の人間との割合は半々だ。今後もティッチには尻尾を出したまま売り込みをしてもらおう。うちの看板娘だからな。
さて、俺もそろそろ自分の仕事に戻るとするか。まあ俺の仕事といっても…
「何もやることないなぁ…あ、もうすぐ昼飯の時間だから用意しておくか。おーい、もう直ぐ飯だから交代で休憩入って〜。」
まじで今朝から特に何もしてないんだよなぁ。一応どんな様子か確認しておく必要はあるのだけれど、みんな優秀なんだもん。昨日一通り仕事内容を教えたら全部覚えちゃったから、今のところ特に何の問題も出ていない。
「は〜…ずっと大忙しですね。やっと休憩だ…」
「お疲れ様。何食べる?あと飲み物は?」
「私は…うな丼でもいいですか?飲み物は何でもいいです。」
「自分は唐揚げ丼をお願いします。自分も飲み物は何でも。」
「はいよ。じゃあ飲み物はお茶ね。」
最初の休憩はローナさんとギールくんか。ギールくんは見た目こそいかついが、まだ10代で優しい青年だ。仕事もしっかりやってくれている。ローナさんは仕事ができると言っていただけあって、率先して働いてくれている。
それだけ働いてくれている二人なので、食事に関しては要望通りにしている。まあ食事はどれでもスマホの中ですぐ作れるので何の問題もない。
それと飲み物でお茶を見つけたのだが、緑茶ではない。飲んでみるとどことなくハーブティーっぽい香りと後味が残る。純粋な緑茶も今後探していきたいなぁ…
「それにしても惣菜の方は売れ行きまだまだだなぁ…」
「そうですね…まあ今後に期待したいですけど、何か案欲しいですよね。」
「こうして…ご飯に乗せて出したらどうですか?」
「お弁当にしようかとも思ったんだけどね〜…弁当箱を作ると値段が上がるから買う人減っちゃう。」
「ならおにぎりですかね。」
おにぎり、そうかおにぎりか。おにぎりなら容器にそこまでこだわらなくてもいいし、なんとかなりそう。なんでそんなこと気がつかなかったんだろう。
「あれ?けどこの街でおにぎり見たことないけど。」
「衛生的なものですね。誰かわからない人のおにぎりは食べたくないですから。ちゃんと手を洗ったのかも不安ですし。」
な、なるほど…つまりそれってここで売っても売れなくないか?そう言う固定観念がついているんじゃ買いたい人も出てこないだろ。そのまま悩んでいると、休憩が交代されて別の二人が来た。
「それじゃ〜私はうな丼で〜…どうかしましたか?」
「ああ、メリリドさん。いや、ちょっと考え事を……あの、この休憩の後惣菜の方に回ってもらえますか?」
「別にいいですよ〜?」
いいこと考えついたぞ。
メリリドは休憩の後に新しくおにぎりを持って惣菜の方へ回った。レジに新しくおにぎりの値段を登録している時に使い魔のピースがある小さな立て札を持ってレジの横に立った。
その立て札に書かれていたのは『おにぎり握りました。』ただこれだけ。別に変哲のないこの言葉。しかしそこにメリリドが立てばそれはある意味を持つ。
それはメリリドがおにぎりを握ったのではないかと言う疑惑。メリリドはかなりの美人だ。接客をしている際も客の男の顔はデレデレだった。なおメリリドを元冒険者と知っている人間でさえ、その見た目の美しさからつい顔がにやけてしまっている。
そんな美人のメリリドがおにぎりを握ったかもしれない。ただのそんな疑惑だが、男たちを動かすのには十分すぎる理由となった。
「い、いかがですかぁ〜おはぎ美味しいです…え?男の人たちがどんどんお惣菜の方に…」
「すごい!さっきまであんなに寂しかったのに急に列ができている!だけど…なんで並んでいる人たちは恥ずかしそうな顔してるの?」
「よっしゃちょろいぜ!馬鹿な男を引っ掛けるのは余裕だな。」
ちょっと店員が可愛いとか、買うと可愛いアニメのキャラグッズがついてくるとかそんなもんで買っちゃうから男ってちょろいもんだぜ。全くちょろいもんだ。あれ?…なんか胸が苦しく……俺も昔は無駄に散財したなぁ…同じ被害者をこの世界でも増やすのか……すまん…みんな……
「開店初日!みなさんお疲れ様でした!」
「「「お疲れ様でした」」」
店も無事何事もなく閉めて、軽く祝勝会をしている。とりあえず初日の売り上げと問題点を出して、次の日に向けて改善するつもりだ。
「ああ、ピースありがとな。えー…本日の売り上げでました。本日の売り上げは…金貨11枚と大銀貨2枚、大銅貨7枚とありますね。初日としてはなかなか好調です。何か問題はありましたか?」
「はい!売る時に商品を取り出すのに時間がかかるので、おはぎなんかをあらかじめ5個セットくらいにしておいておくと便利だと思います。」
「私は……」
その後も出るわ出るわ改善策。俺としてはかなり順調で何もないかと思っていたのだが、実際に販売している彼らにとっては思うことがいくらでもあるのだろう。一つ一つ改善しておこう。
「じゃあ今日はもう遅いのでこのくらいにしておきましょう。給料に関しては来月の初めに出す予定です。みなさんの働きぶりも良いので多少給料に色をつけておきます。」
わかりやすいぐらいみんな喜んでいる。まあこれだけ働いたのだから少しくらい給料が多くないとな。俺なんて見ているだけだったし。
「私は明日、用事があるのでいませんが、うちの使い魔がいるので今日と同じようにやって問題はありません。何かあったら使い魔に言えば良いのでお願いします。それからメリリドさんにお願いがあるんですけど…」
「あら〜なんですか〜」
「実は明日冒険者ギルドに行くので何か紹介文か何かもらえないかと…それと信用のできる冒険者を教えてもらえないかなぁと…」
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