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第57話 報酬と面倒な奴

「さて、それから残りの報酬です。以前渡した白金貨1枚に加え、今回もう一枚渡しておきましょう。」


「ま、まだくれるんですか?正直貰い過ぎな気が…」


「これは共同開発者に対する報酬金ですよ。流通禁止金貨はあくまで、共同開発者ということにするための金ですから。共同開発者に対してなんの報酬もないというのはおかしいでしょう?ですから以前渡した白金貨も合わせて白金貨2枚と研究の情報開示が報酬ということになります。」


 そ、そうか。色々ごちゃごちゃしちゃっていたからよくわからなかったが、俺とルシュール辺境伯はもち米及びその料理の共同開発者になっているのだから、それに対する報酬があっても確かにおかしくない。むしろ自然だ。しかしそれでも白金貨2枚というのは貰い過ぎな気が…


 まあもう1枚はとっくに使っているけど。


「それともう一つ理由があるんです。今回渡した流通禁止金貨はこの領地にいる間に全て使ってください。使い切るまで出るのは禁止です。」


「すべてって…金貨500万枚ですよ!?そんなすぐには使えませんって…」


「まあこれにも理由があるんです。その流通禁止金貨の持ち主の名義は今でも私です。つまりその金貨が私の手の届かないところで誰かに盗まれた場合、その反動で受ける呪いは私にくるんです。つまりその金貨は私の命とも言えます。私もまだ死にたくありませんから。」


 そう言えば、前の流通制限金貨の時のように所有者を変えるような手続きはしていない。あくまでルシュール辺境伯の流通禁止金貨を俺が預かっているという扱いになっているのか。だから盗まれたらその反動は俺ではなく、ルシュール辺境伯に行く。


「ですので、この報酬はそこの分も鑑みたことになっています。わかってくれましたか?」


「はい、頑張って使い切ります。」


 とりあえず手当たり次第に課金していけばすぐになくなるだろ。後、この白金貨は使い魔ガチャに回してっと…爆炎結晶で何か武器を作りたいなぁ。


「わかりました。それでは書類にサインしたら急いで金貨消費しますね。」


「ええ、お願いします。それからどうせですので、今その使い魔を増やしませんか?」


「え?まあいいですけど時間を取らせてもいけないですし、部屋に戻ったらやりますよ。」


「大丈夫ですよ。なかなか見られるものでもないですから是非見せてください。」


 ニコニコとした表情を一切変えることなく話している。逆に怖いな。まあ別にすぐ終わることだし、やって行くか。


 ルシュール辺境伯から今回の報酬の白金貨を受け取り、スマホに収納する。それから使い魔ガチャを開いてルシュール辺境伯にも見えるように移動した。


「じゃあ引きますね……あ、このエフェクトって確かピースが出た時の…」


『おめでとう!ウルトラレアの使い魔だよ。住む場所を与えると特別な能力を得ることができるから是非頑張ってね。』


「おお!ウルトラレアだ!」


「それはすごいのですか?」


「ええ、今まで1体しかいません。ルシュール辺境伯からいただいた白金貨はどちらとも大当たりですよ。」


 まあそんなに回数引いたわけじゃないからどれだけレアが出る確率が高いのかよくわからないけどね。もともと確率が高い可能性だって十分あるわけだし。


「あ、何か話しかけてきた。」


名無し『“我が主人どの!我輩はこんなアパートに住む気はないぞ!我輩用の家を今すぐに建ててくれ!さあ早く!”』


ミチナガ『“待て待て、そんなにすぐに建てられるわけじゃないし、何より材料もお金もないんだぞ。そんなすぐには無理だって。”』


名無し『“いや、我輩の見立てではなんとか足りるぞ!金も今なら山ほどある!さあ作れ!”』


「まためんどくさいのが増えたなぁ…」


 前回のやばそうなやつに続いて今回はめんどくさいやつかよ…はっきり言って相手にしていられないというか…なんというか…


「……私のせいではありませんからね?」


「わ、わかっています。もちろんですよ。」


 あ、やべ。ルシュール辺境伯の顔色がまた悪くなっている。まあレア度高いのは本当だけど、やばそうな使い魔しか当たらないっていうのも本当なんだよなぁ。白金貨の持ち主によって当たる使い魔に変化とかあるのかな?流石にないよね?…ないよな?


 そんなやりとり中もずっとあの新入りは話しかけているらしく、通知音が一向に止まらない。マナーモードとかないかなぁ…


 するとある一件の通知の後にパッタリと通知が止まった。めんどくさくて見ていなかったが、気になったので見てみる。


『名無し、いずでっど』


「え?なんで死んだの?」


ポチ『“なんかうるさいから静かにさせておいた〜。後10分は静かだよ〜。”』


「こわっ」


 さらりと仲間殺しているし。ヤベェよ。ポチさんマジヤベェよ。俺の使い魔元々やばい奴しかいねぇのかよ。まあ生き返るんだけどさ。生き返るけどそれは…ヤベェだろ。





 ルシュール辺境伯との諸々の書類にサインをして、自分の部屋に戻る頃にはあの名無しは復活したようで、再び通知の嵐が来ていた。ポチがまた黙らせようとしたのだが、さすがに復活にも金貨がかかるのでやめておいてもらった。


ミチナガ『“親方とスミス。すまないけどあの新入りうるさいから先に家作ってもいいか?お前たちにも増築するって約束していたけど。”』


親方『“いいっすよ〜。別にそこまで困るものでもないですし。”』


スミス『“俺たちもこんなにうるさくちゃ敵いませんから、いいっすよ。”』


 あ、流石にみんなもうるさかったんだ。やばいよぉ、このままじゃあの新入り干されるぞぉ、いじめられちゃうぞぉ。


ミチナガ『“お前の願い叶えてやるからもう少し静かにしろよ?みんなも迷惑しているしさ。”』


名無し『“おお!さすがは我が主人どの。では早速許可をお願いします。”』


 あ、こいつ全く聞いてねぇ。いいのかぁ?そのままの調子だと本当にいじめられちゃうぞ?ポチとかエグいぞ?もうお前一回やられているだろ?


『名無しから家の建築依頼が来ています。材料の木材、石材、鋼材は足りています。建築費用金貨は100万枚です。』


ミチナガ『“……おい、これどういうことだ?”』


名無し『“我輩にはこれくらいが必要です。さあ!許可を!”』


 絶対嫌だ。なんでこんな奴のために金貨100万枚も払わなきゃいけないんだよ。マジでふざけるなよ?


 だけどずっとギャーギャー言っている。これやらなくちゃずっとこのままだな。マジで嫌なんだけど。今までの最高記録更新しちゃうじゃん。最高課金額一気に更新だよ。


 まあルシュール辺境伯も早く金使ってくれって言っているしなぁ。もう…諦めるかぁ。このままじゃこいつからのしつこい通知のせいで色々と支障が出そうだよ。渋々許可を出すと久しぶりにスマホのアップデートが始まった。前の時はシティアプリを入れた時だけど。え?こんなに大掛かりなの?



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