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第216話 新造、魔道装甲車

 少し前回の後書きに関係します。


 京アニへの募金も始まったようですが、中には詐欺募金のような行為もあるようで……これは悲しいですね。皆さんも変なのに騙されないようにしてください。

 一番確実なのは京アニの公式ショップでグッズを買うかアニメイトさんで募金することですかね。


 それから誕生日についてはありがとうございます(^^)

「つまり…ミラルたちと合流するために今いる大陸を横断して反対側に行くってことだな?」


『ポチ・そういうこと。ここから氷国の間には龍の国があるし、9大ダンジョン深海のアトランティスもあるから海から行くのは不可能。龍の国も閉鎖的だから入国するだけでとんでもない労力かかるし、入れない可能性の方が高い。だから一度ミラルたちは英雄の国に戻ってそこからあっちの大陸を横断。お互いに大陸を横断して合流する感じだね。』


 なんとも面倒なことだが、ミチナガたちとミラルたちはお互いに別々の大陸を横断して合流するのが一番安全に合流できる手段だということがわかった。すでにミラルたちは英雄の国まで戻っているらしい。しかしそこからでもどんなに早くても半年はかかるであろう道のりだ。


 まあ、そこまで焦る必要もないので1年後に会えればいいね、くらいでミチナガは考えている。それまでの間は冒険者などを雇い、ゆったりと旅を続けるつもりだ。


「それにしてもイッシンの当てが外れたのが痛いよな。」


『ポチ・まあ規則じゃしょうがないよ。あの空間を切り裂いて進む力は万能すぎるからね。国際法でむやみな移動は禁止されているのは当たり前っちゃ当たり前だよ。』


 本当はイッシンの神剣の力を借りようと考えていたミチナガであったが、今いる国内のみでしか使用は許されていない。国家の安全の問題もあるが、空間が切り裂かれることによって空気中の魔力停滞や龍脈を破損させ、モンスターの大量発生の可能性をあげてしまうとのことだ。


『ポチ・それに良いこともあるよ。道は違うけど少し寄り道すれば…ほら、ここ。マクベスの故郷。ここに行けばマクベスにも会えるし、マックたちにも会える。』


「うっわ、ほんとだ。こんなところから来てたのか……ってマクベスたちはどうやってこっちの国に来たんだよ。あいつらはそこまで労力かかってないだろ。マクベスたちと同じルート使えばいいじゃん。」


『ポチ・そのルートは…他の大陸を経由しながら移動するんだけど、法国も通らなくちゃ行けないんだ。…白獣は未だに法国では処刑の対象なんだよ。白獣であるだけで聖典に基づき死刑を求刑される。だからミラルたちは通れない。それにボスだって白獣を保護している。法国は情報収集能力が高い。ボスも処刑の対象になるかも。』


「あ〜〜……全部理解した。それはダメだわ。それに考えてみれば法国は英雄の国と仲悪いしな。いろんな意味でアウトだわ。なるほどね、俺たちが安全に移動できるルートはこのルート一択しかないのか。」


 かつて白獣を守護していた神獣は深山との一件で法国と争った。その余波がいまも続いているということだ。行けば間違いなく何か問題が起きるというのならば、わざわざそんな危険を冒す必要はない。


 それからミチナガたちは大まかなルートを考え、旅程を立てる。今まで旅をしていて旧友に会いに行くことなんて一度もなかった。まあ知り合いの誰もいない異世界ならば当たり前のことだ。しかし今回の旅ではそれができる。ミチナガは旅の楽しみができたと喜んでいる。


「しかし…マクベスたちがいるのは同じ大陸っていうだけでかなり離れているぞ。それに…領地が変わるみたいだな。火の国?どの魔神が納めているんだ?」


『ポチ・魔神はいないよ。アマラード村覚えている?あそこはかつての魔神、火神の継承で誕生した土地だけど、その火神が治めていたのが火の国。まあ随分前から火神はいないらしい。だけど元魔神の納めていた場所ってことで国として安定しているっていうこと。』


 この世界は大抵魔神が納める土地だが、そうではない土地もいくつかある。魔神が死んで、受け継ぐ魔神がいなければその土地は魔神がいなくなる。そういったケース以外にも普通に統治力のある人間が納めた国などだ。英雄の国周辺にもそういった国はいくつもある。ルシュール領やアンドリュー子爵の国などが良い例だ。


 しかし火の国はなかなか特別な土地らしい。かつては10代以上続いた火神の魔神による安定した統治があったため、かなりの国土を所有した。まあそれも近年では争いが絶えず、徐々に国土を減らしているらしい。そのうち何かの魔神が現れて再び統治するだろうというのが周辺国の見解だ。


「移動方法はどうすんだ?魔道装甲車は直ったのか?」


『ポチ・直ったというかもう新造だけどね。とりあえず試作機が完成して試運転中。機能的なものは以前の倍以上になっていると思うけど、不具合が出ないか不安なんだよね。』


「まああるならそれに乗って移動しよう。いつまでもこの国に滞在するわけにはいかないからな。寄り道をすることを考えて、なるべくゆったりしすぎないようにした方がミラルたちにも良いだろ?」


 そうと決まればそこからの行動は早い。イッシンたちやロッテンマイム子爵への別れの挨拶。ミチナガ商会への最後の視察を行った。それから一番大事な護衛なのだが…


「うちの道場の門下生が隣国の道場に行きます。その子達に護衛を頼んでおきましょう。それなりの腕利きですので、実力と信頼は私が保証します。護衛料は少し負けておきますが、ちゃんと払ってあげてください。彼らも新しい土地で色々と物入りになるでしょうから。」


「ありがとうございますサエ様。かの剣聖の道場の門下生ならこれ以上のものはありません。」


 なんと護衛はイッシンたちへ挨拶に行った時に紹介してもらえた。魔王クラスなどではないが、それでもかなりの腕利きだ。万が一ということも滅多にないだろう。それに何かあったら門下生の救出という名目で剣聖も神剣も動く。間違いなく完璧な護衛だ。


 それから乗って行く新車の魔導装甲車なのだが、乗る前に一度見せてもらった。だがなんだか随分と大きさも見た目も変わっていた。それに使用している金属が今までとは桁違いな気がする。これにはミチナガも嫌な予感がする。


「せ、説明よろしく…」


『社畜・装甲はミスリル合金、オリハルコン合金、ヒヒイロカネ合金を用いているのである。オリハルコン合金で単純な強度アップ。ミスリル合金は魔力を流して結界を作動、および装甲につながる各種魔道具への魔力供給も行なっているのである。ヒヒイロカネ合金は熱に強いので冷暖房に使用する魔力の節約、および車両内部への熱系魔力攻撃への防衛機構である。』


『アルケ・だけど色々詰め込みすぎたよ。重さも大きさも倍だよ。魔力消費は5倍だよ。』


『社畜・アルケ殿、それはとりあえず放っておくという話である。説明を続けるのである。最大防御移動は1時間程度は持つようになっているのである。一般走行なら10時間は持つのである。さらに最高速は300キロである。武装も従来の数倍である。ただし、街乗りには不向きであるので国家間の移動にのみ用いるのが適切である。』


「なんか色々凄いのはわかった。…だけどこれってお高いよな?」


『アルケ・名付けて移動する国家予算だよ。』


「おい!!待て待て待て!それはやばいって!!」


『社畜・安心するのである。今回はほぼ完全な自社生産であるから材料、人件費は金貨1万もかかってないのである。もしも値段をつけるなら国家予算クラスであるというだけである。』


 この魔道装甲車に使われている金属はほぼ全てトウが作ったものだ。トウが作る合金は質が高く、一般的な合金の相場の倍、もしくは数十倍の値がつく可能性がある。そんなものを惜しみなく数トン単位で使っているこの魔道装甲車はまさに移動する国家予算と言える。


 売れば一生安泰と言えるこの魔道装甲車だが、ただ無駄に金がかかっているわけではない。使い魔たちがこれまでに培ってきた技術を存分に詰め込んでいる。さらにこの魔道装甲車の完成に伴って大きな変化が起きていた。


 それはスマホのアプリ、ファームファクトリーと釣り馬鹿野郎に関することだ。今回の魔道装甲車作成の課程で新型エンジンの開発に成功した。そして魔力を動力にして動くこのエンジンによっていくつかのものが完成した。


 まずは大規模農業に欠かせないトラクターだ。実はトラクターと戦車は割と密接な関係にある。そもそもトラクターの技術を流用して完成させたのが戦車だ。世界初のトラクターと言われている蒸気式トラクターは砲台をつければ、そのまま戦車になりそうな見た目をしている。


 ちなみに日本では第二次世界大戦後に戦車を製造していた技術者たちがトラクターを製造していた。大規模農家の多い海外でも農業が衰退しつつある日本がそれなりのトラクターのシェアを確保できているのは当時の優秀な技術者のおかげかもしれない。つまり魔道装甲車だってエンジンをトラクターに流用することは簡単なことだ。


 多少の改良で魔道装甲車のエンジンから農作業のトラクターを開発することができた。今はまだ実験段階で詳しい情報は出ていないが、作業効率は数百倍まで上がっている。トラクターさえあればほとんどの作物で植え付けから収穫までできてしまうからだ。


 さらにエンジンの改良型を試作し、漁船が完成した。元々、ユグドラシル国で漁船を作ってもらったので、ある程度の作り方を使い魔たちは覚えている。そこから試行錯誤を繰り返し、数船の漁船が完成した。


 今ではスマホの中で定置網漁や遠洋漁業、さらに養殖業まで始めているという。もう使い魔たちの発展はとどまることを知らない。人手ならぬ使い魔手も以前の200人の使い魔増産によって、なんとか足りている。正直、今なら大国の食料をまかない続けることも可能だ。


 ただ、これだけの食糧生産力があってもミチナガ商会の流通に全て乗せられないのが残念でならない。なんせこれだけの食糧生産力を使って食料を販売すれば、間違いなく数百人、いや数万人規模で農家が仕事をやっていけなくなる。


 未だに食糧生産力の低いこの世界では一国の人口の農家割合は非常に高い。モンスター被害にあいながらも懸命に農家を続ける人々を苦しませるような真似はできない。ファームファクトリーなどで生産した食料は食糧危機が起きた時にでも売ろう。


「しっかし…お前らよくそんな技術つけられたよな。エンジンの作り方とか勇者神のところの技術者に教わったのか?それともユグドラシル国の方?」


『社畜・ま…まあ色々である。色々あるのであるよ。ねぇアルケ殿?』


『アルケ・色々あるよ。』


「ふ〜〜ん。まあ順調なようで何よりだ。今後も頑張ってくれよ。金もしっかり稼げているから予算は好きに使ってくれ。…まあ程々にな?気がついたら一文無しとかはやめてくれよ?」


 すでにミチナガは使い魔たちの勝手に金を大量に使うことを止めることを諦めている。それにどれだけ使っても使い魔たちがミチナガ商会で稼げているのでまあ問題ない。金を使わずに溜め込んでいる方が問題なので好きにやってもらった方がミチナガとしても最近は気が楽なのだ。


「さて、それじゃあ色々準備したら早速次の旅に出発するか。」





 装甲車もいいけどやっぱり戦車がいいですよね。

 劇場版第2話良かったなぁ……

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