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第116話 新たな仲間と問題発生


 本日はバレンタインです。知ってますか?本来の外国のバレンタインは男性が女性に対して何かする日なんです。チョコなんて渡しません。


 私はすでにバレンタインは外国式です。ですからチョコがもらえなくても問題ないんです。

 ほ、本当ですよ…強がりなんかじゃ……


 数日後、子供達の朝食が済み、残りのことをハジロに任せて俺は商業ギルドへ来ていた。そこで再び土地購入の話をしていた。しかし今度は前とはちょっと違う話し合いだ。


「大通りから孤児院までの間の土地を買いたい…ですか。」


「ええ、あそこは交通の便が悪すぎる。いっその事そこまでの土地を買って道にしようと思いまして。」


 交通の便が悪いのなら道路を作ってしまえば良いのだ。だからあのあたりの住人から土地を購入しようと言う算段だ。あの辺りは金持ちが住むような土地はない。むしろ貧困層が多い。そんな人々ならば金さえ積めばなんとでもなるだろう。


「そうですね…あの辺りは土地の所有権も曖昧で…大部分は直接交渉が必要ですね。」


「ここでわかるだけで良いので所有者を出してください。」


 時間がかかると言うことなのでしばらく待たせてもらう。なんせここのお茶は美味しい。そういえば買うのを忘れていたからあとで買っておこう。それからお茶を3杯ほど飲んだ頃に職員が戻って来た。


「こちらでわかったのは3名です。この辺りと…こことここですね。一人は倉庫を所有しているようなのでかなり大きく場所を取っています。」


「そうですか…それではその3名に土地を買いたいと連絡を取ってください。後日また伺います。それからこのお茶の葉ってどこで買えます?」


 お茶を買える場所を聞き、土地購入の雑事をギルドに任せる。手数料はかかるがこれが一番早いだろう。あとの所有者のわからない土地はこちらで聞き込みをして住んでいる人間から買うしかない。まあその辺りはマック達にも頼もう。別の依頼として金を払えばやってくれるだろう。


 俺はその後街を散策し、お茶を買って帰った。ずいぶんゆっくりしたため、孤児院に戻ったのは夕方ごろだ。その後孤児院で夕食を食べている時にマック達に色々依頼をしておくことにした。まずは土地購入のための話し合いが必要なのだが、考えてみればマックたちだけでは人手が足りない。


 そこでマックたちに冒険者ギルドで裏組織に関わりのない、身辺に怪しい所のない冒険者たちを見つけてもらうように頼んでおいた。いざという時のことも考え、それなりに腕利きを集めておいてもらう。ある程度集まってから土地購入の交渉を任せよう。


 そのための手間賃を弾んでやると言うとマックたちは喜んでいた。すでに冒険者ギルドで何人か親しい人間ができたのでそこから人を集めていくと言う。冒険者は他国に行っても結構横のつながりがあるんだな。


 それからハジロはこの数日間でずいぶんと子供達と慣れ親しんでいた。子供達の歯の手入れをして久しぶりに歯医者としてずいぶん働いたとも喜んでいた。それから今日も孤児が増えている。もう軽く100人はいるな。


 子供達が寝るための部屋もずいぶん手狭になって来た。明日辺り業者に依頼して増築するなりなんなりしてもらおう。そういえばこの孤児院の料金を俺が一時立て替えておいたからずいぶん金がないんだった。そろそろ冒険者ギルドにも行ってモンスター素材の料金を貰ってこよう。


 はぁ…またずいぶんと忙しい毎日だ。そんなことをぼやきながら教会の庭先に簡易風呂を作り風呂に入る。相変わらずサラマンは温泉に浸かっているらしく俺もこうして温泉につかることができる。はぁ…アラマード村でまたゆっくりしたいな。


 そんなことを思いながらついうとうととしてしまい、しばらく眠ってしまった。起きた頃には日をまたいでおり、急いで風呂を出た。着替えてスマホを見ると通知が来ていた。どうやらようやくハジロの遺品の解析が終わり力を入手できたらしい。


 いつものように今日の分の女神ちゃんガチャを回すとさらにもう一度、ガチャを回すことが可能になった。ハジロの能力はどんな使い魔を生み出すのだろう。ワクワクしながらガチャを回すと現れたのは帽子をかぶった使い魔だ。手には何か持っている。


『おめでとう!新しい使い魔を手に入れたよ!』


「それって…よく昔のドラマとかの撮影でよーいアクションみたいな時に使うあの木のやつ?名前はわからん。」


カントク『“あ〜…ゴホン。初めましてカントクです。自分の能力は…まあ見てもらった方が早いですね。”』


 そう言うとカントクはスマホから現れ俺のことをじっと眺めた。なんだよと声をかけても反応はない。しばらく俺のことを眺めた後に辺りをキョロキョロし出した。何をしたいのかわからないでいると突如光を発した。


 そこには俺の顔が写っていた。じっとこちらを眺めている。しばらくするとなんだよと喋り、その後周囲を映し出した。


カントク『“自分の能力はこのように撮影と投影です。まあこの能力はもう全ての使い魔にそなわっています。自分だけの能力は動画の編集ですね。まあそれも新しいアプリとして作られています。だから固有能力らしい固有能力はこれといってないですね。”』


ミチナガ『“なるほど…あっ!それうまく応用してさ、吹き出しみたいなの作れない?”』


カントク『“あ、それいいです!すぐ作って他の使い魔でも使えるようにしておきますね。”』


 カントクはじっと何かを考えている。するとそこに吹き出しが現れた。


『こんな感じでどうですか?』


「いいけど他の人にもわかるように名前入りの方がいいかもしれない。俺以外には見分けつかないだろうし。」


『カントク・こんな感じでいいですか?』


「お、いいねぇ。意思疎通がやりやすくなるよ。」


『カントク・じゃあ他の使い魔でも使えるようにしておきますね。』


 この能力すっごく些細なものだけどかなり便利だわ。いちいちスマホ見なくても使い魔との意思疎通が可能になるのはすごく楽だ。それにカントクには固有能力はないって言っていたけど、編集能力は高い。この能力結構使い所多いかも。


 面白いので他にも色々とアイデアを出して色々とできるようにする。中でもムーンとリアルタイムで映像通信ができるようになったのは嬉しい。久しぶりにナイトと話すとだいぶ気さくになっていた。まああまり長電話になると困るな。今は時間も時間なので今度ゆっくり話そう。


 その後、カントクの言っていたアプリを探してみるとドットムービーというアプリが増えていた。まあ増えているって言っても課金して下さいなんだけどね。金貨5万枚で良いので課金して使えるようにしておく。中身を見てみると簡単な動画編集アプリだ。細かいレイアウトは課金して増やせるそうだがここはやめておこう。


 それからスマホの残量を見ると68%まで増えていた。これだけ増えればもう残量不足を気にする必要はない。ガンガンやれることをやっていこう。




 それから数日間、さらに忙しい毎日であった。業者に頼んで孤児院の修繕、および増築。それから孤児院の子供達に勉強まで教えだした。これは使い魔の発案なのだが、勉強ができるようになれば将来の可能性が増える。孤児でも真っ当な良い職業に就くことも可能だ。


 それから孤児院の前に道を作るために土地の買収だ。商業ギルドで土地の持ち主がわかったところはすぐに買い取ることができた。しかしそれ以外の土地の所有権がはっきりしない人々たちとのやりとりは実に難航した。


 土地の値段を釣り上げようとするもの、お互いに土地の所有権を言い争うもの、ただ喚き立てるもの、そんな人々からなんとか土地を買い上げた。結構な大金を使ったぞ。まあその金はナイトのモンスター素材の売買の時にもらった俺の取り分なんだけどね。


 まあ色々あったがなんとか欲しかった土地は全て買えた。しかしここからがまた忙しい。人を雇って建物を解体し、土地を慣らして石畳を敷く。さらに同時進行で元々倉庫だったという場所を全て更地にしてから建物を建てる。これマジで忙しい。


 まあ今では使い魔たちが吹き出しという最強の力を手に入れたおかげで指示がスムーズに出せる。俺が声を張り上げなくても割とことが済むのだ。マジで便利、マジで最高この力。カントク様様だよ。かなり順調な毎日だ。このままこんな日が続いたら最高だ。


 しかし物事というのはそんなに順調に進まない。今までの分のツケがここで一気にきた。今まさにそのツケが歩いてやってきてしまった。関係者以外立ち入り禁止という立て看板を蹴飛ばして数人の柄の悪い男たちがやってきた。


「おいおいおいおい…なにしちゃってくれてんの?ここ、俺の家があったんだけど。」


「勝手に入るな。ここは私有地だぞ。それにこの土地の所有権は全てうちが買い取った。お前なんぞ知らん、とっとと失せろ。」


 いつ来るかとは思っていたがとうとうやってきてしまった。どこぞの裏組織の人間だろう。予見していたがここは自分の土地だと言って金をせびるセコイやつらだ。この手の輩には絶対に金を払ってはダメだ。一度弱腰で行くと一生金を搾り取られる。


 それに今はマックたちがいる。護衛としては完璧だ。しかし暴力沙汰には持ち込まない。下手なことをするとこれからずっと粘着される。隙を見せた時に一気にやられる。だから脅しだけで済ませたい。そんな時に数人の見回りの衛兵が側を通った。すぐに声をかけて呼び止めるとこちらにやってきた。


「おい、何をしている。」


「おいおい衛兵さんよぉ。聞いてくれよ、こいつら俺のいない間に俺の家を潰して道を作ってんだぜ。なぁ、こいつらどうにかしてくれよ。」


 そういいながらガラの悪い男は衛兵に何かをこっそり渡す。明らかに賄賂だ。しかし本来俺の前で賄賂は意味がない。なんせ俺の方が賄賂を渡そうと思えばいくらでも渡せる。だからこいつらはグルだ。ここで俺が賄賂を渡してことを収めるならここは一旦帰っていくだろう。


 しかし賄賂も一度渡せばまたこの衛兵に何かの時に渡さないといけない。そうやってこまめに金を取っていくのだ。そうすれば良い金づるになるだろう。正直ここはある程度なら金で解決できないことはないが、本当に解決するには金ではできないというなんとも難しい事態だ。


「まあ彼らもそう言っていることだからちょっとご同行願おうかな?」


「やめろ、俺に近づくな。それ以上近づいたらタダじゃおかないぞ。」


「貴様!我らに向かってなんたる口の聞き方だ!おい!こいつらを捕えるぞ!」


 実に厄介で実に面倒な一騒動が起こりそうだ。俺はマックたちに俺を守るように指示を出す。冒険者対衛兵の戦いが始まった。



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