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プロローグ 路地裏と血液《ブラッド》

この作品は、ほぼ転生物のようなものですが、作者は転生物が好きではありません。その感情をぶつけて、転生物を書いてみました。


よかったら、お読みいただけると幸いです。



  プロローグ 路地裏と血液ブラッド


 暗い夜の路地裏で、おれは余力をもって、逃げ惑う男の背中に向かって駆ける。


 左右にふさがるレンガの家の壁。複雑に入り組んで、どこまでも続いているんじゃないかというぐらいに長くて細い道からしてもそうだが、ここは、おれが住んでいる日本のような風景とはまったく別の場所だ。


 一言でいえば、そう、ファンタジー世界。


 ああ、もう、これじゃ、まるで、よくあるライトノベルのはじまりと一緒だ。


 くそっ!


 おれは、心の中で悪態をつく。


 その怒りのまま、目の前を逃げていた男の片足を全力でけりとばした。


「がっ――!?」


 男が顔面から、太った体全体をって、盛大に月夜に照らされた道にこける。


 びちゃ、とおそらく鼻血であろうものが、男から流れる音が響いた。


 おれは、顔をあげてこちらをふりむいた中年男の、涙にぬれ、ぐちゃぐちゃな表情をしたみじめな姿を無感情でみおろしたまま、まるでだれかに向けているかのような文章の思考を頭の中で続けながら、ゆっくり彼にちかづいていった。


 おれは、転生物てんせいものってのが嫌いなんだ。まるで、ご都合主義のように、物語が進んで、なりたいように体がいれかわって――現実ってのは、そうじゃねえ!おれは、そんな小説はかきたくねえ!


「や、やめてくれよ……!?お、おれがなにをしたっていうんだ、なあ……」


 ぼろぼろと赤子のように涙を流し、体全身を震わせて恐怖する中年男。


 だが、それをみても、おれの心に同情などわきおこらない。むしろ、その逆だ。


 おまえは、生かしておく価値のねえ人間なんだ!


 頭にちらつくのは、現実世界、日本で過ごしている日々の記憶。


 メガネだ、もやしだとバカにして、おれが読んでいる本をもちながら、走り去っていく男子たち。コソコソ、と声をひそめながら、ユウジくんって根暗だよねー、とチラチラとこちらをみてくる心底嫌な性格をしている女たち。


 もう、全部、そういうのが、どうしても――。


 グチャアッ。


 僕は感情のままに足を振りおろし、頭からまるごと、中年男をふみつぶした。


 瞬間、世界に時が止まった瞬間が訪れる。


 そこには、ぼくと真っ赤に染まった死体と、飛び散る赤くて美しい血液だけがあって、ほかには何にもない。


 くそみたいな男が死んで、ほかにうるせえ人間の姿なんてなくて――そう、日本で、現代の世界でこんなことは許されない。ここは、まさにおれにとっての楽園パラダイス


だから、殺人はやめられねえんだ!


「ひゃっはあああああああああ」


 ほかの人間に気づかれるのかもしれない、という危惧など捨て、最高の感情のままに異世界でおれは叫ぶ。


 この世界の名は、ストールワールド。おれが、五歳の頃のある日、夢の中で迷い込んだのがはじまりで、数え切れぬ数の異種族や国家、そして、『身内悪魔デビルインブラッド』という名の特別能力、――いうところの異能力をあやつる生き物たちがありふれているあえない世界だ。


あとがきは、書き終わったらかきます。

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