プロローグ
激しい雨が降る中、山奥にあるドラゴンの住処の洞窟に向かって歩く一人の男の影があった。その男は腰に刀を差し、傘もささずに歩いている。
彼の名はアルゲイト。国から唯一認められたS級の冒険者だ。アルゲイトはギルドの依頼で、この山奥に住むドラゴンを討伐しに来た。
「・・・暗いな」
彼は一言そう呟いた。
時刻は十二時をすぎ、辺りは真っ暗だ。
「この時間、普通ならモンスターがいるはずだが・・・」
辺りを見ても、モンスターが見当たらない。
「この激しい雨だ。そんな日があってもおかしくはないか・・・」
そう呟きながら、山奥に向かって歩いてゆく。
そのまま進んで行くと、前からモンスターがアルゲイトにむかって攻撃してきた。アルゲイトは腰の刀は使わず、素手でモンスターを倒した。
「・・・襲ってきた? いや・・・それよりも、何かから逃げてきたと言った方がいいか・・・」
おそらくドラゴンの影響だろう。遠くからこの辺りにはいないはずのモンスターがこちらを見ている。
「急いで討伐した方が良さそうだ」
アルゲイトは足を速めた。
ドラゴンの住処についた。ドラゴンは体を丸めて眠っている。しかし、アルゲイトがドラゴンの縄張りに足を一歩踏み入れた瞬間、こちらに気づき、咆哮した。
「ガァァァァァァァァ!」
その巨体を持ち上げ、こちらを威嚇してくる。その体はとても大きく、二十メートルほどある。
だがアルゲイトは、そんなことは気にならないような様子で、ただ一言
「・・・黙れ雑魚が。そのうるさい口を今すぐ閉じろ」
その言葉を発した途端、その身からにじみ出る殺気を感じたドラゴンは、咆哮を止め、戦闘態勢に入った。アルゲイトは、腰に差した刀を抜き放ち、刀を構えた。ドラゴンは炎を吐こうと大きく息を吸い込んだ。
だが、次の瞬間、ドラゴンの羽が片方無くなった。
「グァァァァァァァァ!?」
アルゲイトが切り落としたのだ。人間の目では捉えることが出来ないほどの速さで。ドラゴンは近くにあった二メートルほどの大きな岩を投げてきた。
だが、それも何の役にも立たないうちに粉々になった。
「・・・はあ。 こいつもこの程度か。もう少し強いことを願っていたんだが」
そう呟き、もう片方の羽も切り落とした。
「グォォォォォォォォ!!」
「・・・もういい。弱いヤツに興味はない」
その直後、アルゲイトの手が動いたのも見えないまま、ドラゴンがバラバラになった。
「グォ・・・ガァ・・・」
声にならないような断末魔を残しドラゴン体はバラバラになって崩れ落ちた。それをながめながら、アルゲイトは刀を鞘に収めた。
「・・・ちっ 今回も雑魚か。どこかにオレとまともに戦えるやつはいないのか・・・」
そう呟き、静かにもと来た道を歩いていった。
あまりに小説を書く時間がないので続きが遅くなると思います。