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俺ゼウスの生まれ変わりなんだけど、無双してたらボッチになった件について  作者: 紅羽 慧(お神)
すねはかじれるだけかじるのが当たり前じゃね?編
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第四十三話 目くそ鼻くそを笑う③



「――おっ。出前届いたみたいやで?」



 玄関のチャイムが鳴ると、腹を空かせたヘパイストスは即座に反応する。



「ちっ、今いいとこなのに! よし、受け取ってこいハゲ」


「は? お前も来いや」


「えっ、寿司食べたくないの?」


「ぐぬぬぬぬ……イエスマイロード」



 ヘパイストスは不服な顔をするも、仕方なくゼウスの言うとおり玄関に向かった。




………………




「おぉ、なんと贅沢な!」



 ゼウスとヘパイストスの前には、最高級の寿司とジャンボピザがそれぞれ20人前広げられた。



「いやぁ、圧巻だな!」


「ゼウス~はよう食べようやー」


「まぁまぁ待てよ。まず、この飯は誰が用意したのか。そこをはっきり明確にするところから始めようか?」


「誰って、ハーデスさんの金やろ?」


「そうだが、そうではない!」


「どういうことや?」


「いいか! この俺様がこの企画――寿司とピザの出前――を立案しなければ、今貴様がこの豪勢な物を目にすることはないのだよヘパイストス君。勘違いして貰っては困るよ!」


「ふむ……なるほどな、確かにお前の功績はむちゃ大きいなぁ」


「分かってくれたならそれでいいハゲ太郎。だから、まずはこの俺様が味見をする。お前は文字通りそこで犬のようにお座りをして見ていろwww」


「そ、そんなー殺生な!」


「まぁまぁっそう慌てんなよwwwww慌てる乞食はもらいが少ねぇって言うだろwww乞食みたいな顔しやがって」


「お前ってほんと失礼なやっちゃなー」



 ヘパイストスは目を細めると、ハゲた頭頂部を3回ほどかいた。



「見とけよ見とけよ~」



 ゼウスは今にもヨダレを垂らしそうなヘパイストスを横目に、大トロを一貫口に運ぶ。



「あぁ~ん、ぅんむんうぅむんあぁんおいちいぃいいんっっ!!!」


「あっあっ、はぁ、はぁ、めっちゃ旨そうやんか……ジュルリ」


「ほれ、口をあけてみろ~あーん」


「あ、あ~ん」


「あぁ~~ん、っと見せかけておぅんっっむうぅんあぁ~おいちぃいん☆」


「お前、ふざけるなよっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」



 ヘパイストスは意地の悪いゼウスの態度に激怒すると、頭と鼻から猛烈な勢いで湯気を出した。



「声デカすぎわらたwwww近所迷惑だぞ! わーったよさぁ、宴の始まりだ!!!!」


「ほ――ほんまに食べてもええんか?」


「良いぞ~遠慮すんな!」


「うぉぉぉっぉぉ!!!」


「いやっほぉおおおおおお」



 ヘパイストスは奇声をあげながら出来たてのピザを勢いよく掴むと、かぶりついた。



「んんんんなんやこれ、めっちゃうまいやんけ!!!! ワイ、こんなうまいもん食べたことないかもしれん」


「そうだろ? こっちの飯どれも意味不明レベルで旨いよな~」


「ほんま天界帰りたくなくなるレベルやなこれ」


「ほんとヘラの飯と比べたら、天と地以上の差があるわw」


「ヘラさんのご飯がヤバいんはお前から何度も聞いてるが、ゆーて大げさに言うてるだけやろ? うちのアフロもそりゃあひどいもんやで?」


「いや、お前は知らないんだよ。あいつの飯の本当の恐ろしさを。この前あいつが作った晩ご飯なんか、周りの空間が歪んで時間の流れが遅くなったからなwww。もはや晩御飯(ダークマター)だわ」


「どんな料理だよwww」


「若い頃は毎日あいつの飯食ってたけど、毎日が最後の晩餐の気分だったわw。飯食った後、生きてたら神に祈りを捧げたもん」


「ぶふぉwww。そこまではいかんけど、ワイの嫁もひどいぞ。アフロの料理で一番美味しいの米くらいやな」


「それ、白米炊くだけじゃねえかwww」


「そうだよ? だからリアル飯炊きババア」


「おんめえっ贅沢だぞっ!!! こちとら米すらろくに炊くこともできねんだわ」


「飯炊けないババアやね」


「それただのババアじゃねえかwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」


「ブフォwwwwwwwwwwwwクソワロチwwwwwwwwwwwwwww。せ、せやかてまぁ、可愛くて、飯までうまい女の子とか、滅多におらんやろう!」


「いや、アテナは……」


「あっ、そこまでや!!!」



 ヘパイストスは咄嗟にゼウスの話を遮った。



「おっと、やばいやばい。"政治と宗教とヘラの話はしちゃいけない"って暗黙の掟があったなwww」


「ぶっふぉっwww。ささっ、食べようやw」



 二人はヘラの影に怯えると、食事を再開した。



「ん~大トロも初めて食べたけど口の中でとろけんな~ん~~……あっ、そうだ! あれを忘れとった!!! ちょっと待っててなゼウス」


「ん?」



 何かを思い出したヘパイストス。彼はおもむろに立ち上がると部屋を出て行き、ワインボトルを3本ほど抱えて戻ってきた。



「そういえばお前にお土産持ってきてたんや。後で渡すつもりやったが、部屋が隣で良かったわ」


「おいおい~~wwなんだなんだ~『俺を殺す』とか言っといて、そんなもん持ってきてたのかよこのハゲはwww」


「いっひっひ当たり前やろ~~お前と会うときはいつも酒盛りするのが常やんか! これ、ほらっ!」


「お――――おい!? これ、その辺の安酒かと思ったら『デュオニソス秘蔵の葡萄酒』じゃねえか!」



 ゼウスは予想外の品に心底驚いていた。



「あぁ、あいつに人間界に行くって行ったらこれを持って行っていいぞと言われてな」


「まじかよwww。お前よくあいつとまともに会話したな~。あいついつも酔ってて急に殴りかかってくるから全然話したことねーわ」


「だよなwww。いや、ワイも攻撃を避けながらのやりとりやったからすごい苦労してなんとか手に入れたわw」


「くっそwww攻撃されながらやりとりしなきゃいけないとかカオス過ぎんだろwww」


「ほんま意味不明よなwww。そしたらなんかグラスとかあるか?」


「んー、この酒にふさわしいもんは持ってねぇな」


「そうかー。そしたら豪勢にまずは一人一本ラッパ飲みといこか!」


「お前www急に富豪になったみてぇだなwww」


「えーやんかたまには!」


「そうだなwww。……ってか、おい。これよく見るとアルコール度数35%って書いてあるぞ!」


「35%とか雑魚やろwwwジュースや!ジュース!」


「大きく出たなwww。ま、確かにこんなん味のある水だよなwwよし! 今日は飲んで食べまくるぞ! 乾杯~!」


「乾杯~!」



 彼らは高々とボトルを掲げると、ワインを喉に流し込んだ。



「うぎぃいっ~~くぅ~~うっ!!!!」


「くぅ~~きくぅうっw!!!」



………………



「大トロってさ~。うめぇけど、油多くねw? 何個も食うもんじゃねえな」


「贅沢言うとんちゃうぞ!って思ったけど、確かに中トロくらいがええよな」


「あー、それな。てか、ピザと寿司にワインとかこれもうわかんねぇな――げぇぇっぷっ!」


「おい! ゼウス汚ねぇぞ!」


「汚ねぇのはてめぇの顔面だろ!!!」


「ぶふぉwww辛辣過ぎワロタwww」


「はぁ、はぁ。食べ疲れたわ。うぃ~ちょい休憩」



 ゼウスは後ろに手をつくと、苦悶の表情を浮かべた。



「なぁ、ゼウス。一つええか。この寿司まだ百貫以上残っとるんやが全部食えるんか?」


「おめぇが全部食うんだよ!」


「さすがにもう全部は食われへんわ~。もう一貫も食えへんて!」


「―――ふんっ!!!」



 ゼウスはヘパイストスの頭を容赦なく叩いた。



「ぶふぉっwwwおい、鼻に米粒入ったわ!」


「泣き言を言うんじゃねぇ! 全部食うんだよ全部!」


「ぐぇ、、、。あっ、ピザも半分以上あるんやが」


「ひぇ……」




………………



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