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俺ゼウスの生まれ変わりなんだけど、無双してたらボッチになった件について  作者: 紅羽 慧(お神)
この歳で初体験とか……これもう分かんねえな編
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第十一話 全知全能の娘 後編

※大幅な修正の必要あり(2022年現在)

修正が完了したら前書きの文言を消します(前書きのないものは基本的に修正の必要なしです)。それまでは隙間時間でちょこちょこ修正するので、修正完了版のみ読みたい方は前書きの有無で判断してください。よろしくお願いします。



「……何やってんの?」



 アテナはまるで、ゴミを見るような冷たい目でゼウスを見下ろすと、低い声でそう言い放った。



「お、おまっもしかして、もしかすると――アテナかっ?」


「そうよ。ゼウスゼウスって、アホみたいにやかましいからもしかしてと思って来てみたら……嫌な予感ってほんとに当たるのね。ねぇ? お・と・う・さ・ん~っ!」



 彼女は顔を曇らせると前傾姿勢をとり、ゼウスに詰め寄った。



「まじかよw! ほんとにいつ以来だぁっ、久しぶりじゃねえかっ! つか、パイオツデカッ!!! お前しばらく見ないうちにえっろくなってんなぁ~まじエロスwww。あっ、もうちょいで見えそう、みえっ――」



 ゼウスは愛娘との思いがけない再開に喜びを爆発させると、彼女のスーツからチラリと見える豊満な谷間を凝視しだした。



「お父さんは、相変わらずのようね……ぷっ」


「あ、もうちょい下……ん? なんだよ??」



 ゼウスは、口に手を当ててプルプル震える彼女を見て、首をかしげた。



「アハハハッお父さんっ! なんでこんなところにいるの~ほんとありえないんだけどっ! それに、なにその体と恰好? めっちゃウケる」


(……こいつ、久しぶりの親子の再開だっていうのに笑いすぎじゃね?? ま、おっぱいでかいし可愛いから許すけどさw)



 ゼウスはアテナに派手に笑われたことが少し気なった。が、可愛い娘に会えた嬉しさからか多少の無礼は大目に見てやろうと思っていた。




「ていうかお父さん、こんなところで何してんのっ? ほんとに意味わかんないんだけどっ! ただでさえ忙しいっていうのに、仕事を増やさないでよ~もぉっ!」


「いやぁ、なんかよくわかんないけどはっちゃけてたら捕まっちゃったテヘペロ☆」



 頬を大きく膨らませ自分を責める彼女にゼウスは、返す言葉が見当たらずベロを出してごまかした。



「あのさぁお父さん。私、今仕事中で本気で忙しいの。お父さんみたいに、あちこちふらふら出来るほど暇じゃないのっ! 分かるかしら??」


「おいっ、さっきからなんだねその態度はっ!? 俺は全知全能! あらゆる神々の頂点に君臨するレジェンド中のレジェンドであるぞっ!」


(相変わらず自慢話ばっかしてるのね)



 アテナは、自画自賛を止めない父を少し可哀想な気持ちで見ていた。



挿絵(By みてみん)



「分かった分かった。お父さんは凄いね~かっこいい~。はい。そんな感じだから、早いとこオシッコ出しちゃって。じゃないと、薬物鑑定できないでしょっ!」



 彼女はゼウスの話を軽い褒め言葉で遮ると、検査用の紙コップを差し出した。



「このイケメンで全治全能の――お、おうそうか。分かれば良いんだよ分かれば! 素直な気持ちが大事って、、、えっ、ちょっと待って? 今、お前オシッコ出してって言った!??」



 ゼウスは、アテナからオシッコという言葉を聞くや否や、目をカッと開くと彼女に確認しだした。



「う、うん。だって、そうしないと検査出来ないもん」


「あーすまん。もう一回何のためにナニをするか言ってくれ」


「え、だから、薬物鑑定のためにお父さんのオシッコが欲しいんだって」


「くぅ~~! ありがとうございます」


「んー? 何に感謝されてるのかよく分からないけど、そのコップにオシッコを出して私に頂戴」


「ややや、お前の前でオシッコとなっ!?? それ何てプレイ? 勃起不可避なんだがw?」


「わ、私の目の前で出させる訳ないでしょ~! ほんと何言ってんのっ!!!」



 アテナはゼウスの発言を聞くとみるみる顔を紅潮させ、両手を前で左右に振りながら否定する。



「なんだ違うのか。ご褒美かなと思ったのに……残念だなぁ」


「お父さんってほんと、女なら何でもアリだよね」



 彼女はお気楽な様子の父を白い目で見ると、頭を抱えた。



「はぁっ!? お前それは間違ってんぞっ。天界のクソブスビッチの前だったら勃起なんてしねぇからっ!」


「はいはい。もうなんでもいいから、早く出しちゃってよ」


「早く出しちゃってよとか、早漏かなw? ――ん? ていうか今なんでもって言ったよね?」








――――ゼウスは殴られた。







………………




「……で殴ることないだろ~死ぬかと思ったゾ!」


「お父さんが言うこと聞かないからでしょっ、もぉっ! ……でも、本当に反応が出なくて良かった。快楽思考のお父さんならもしかしてって、ちょっと焦ったんだから……」



 アテナは、そう言うとほっと胸を撫でおろした。



「安心しろ! 痔の薬しか飲んでねぇからよっ!」


「そんな自信満々に言うことじゃないでしょっ! まぁ、それならいいけどさ、絶対興味本意でヤバイ薬に手を出しちゃダメだからね? ……で、何でお父さんはここにいるのかしら?」


「了解! ……んまぁ、いろいろあってさ。おれっち天空神やめたんだよねっ! そんで、ガイコツがまじきもくて、クソデブのポセイドンニキに飛ばされたってわけ」


「天空神やめたって……ごめん。全然話が見えないんだけど?」



 アテナは父の説明に、意味が分からないといった反応を示していた。



「ん~まぁ、ざっくり言うと八割がたはポセイドンニキのせいなんだけどさ。あのクズが、俺の力をなんか意味不明な呪文で封印してきたんだよねwww。マジでキモすぎてケラウノス使いそうになったわw」


「へぇ~そうなんだ。……お父さんて、いっつも使わないくせにケラウノス見せたがるよね? そんなに自慢したいのかしらw? ダっさぁ~w。……まぁ、ポセイドンのおじさんがキモイってのは私も同意。あの人ってさ、うざいだけじゃなくてほんっとしつこくて気持ち悪いから、ダイっっ嫌いっ!!!」



 アテナはポセイドンの名前を耳にすると、顔を大きく歪ませていた。



(どんだけ嫌われてんだよあいつwww。……そういえばこいつ、ポセイドンニキとバトって負けたことないんだよなぁ……末恐ろしいやつだわほんと)



 ゼウスは兄の嫌われように少し同情しつつ、自分の娘の強さに改めて畏怖の念を抱いた。



「それに比べて、ハーデスおじさんって私好きだなぁ……。一途だし、誠実だし、お父さんと違って甲斐性があるし! 結婚するなら、ああいう人がいいなぁ」


「ちょw、うっそだろwおまwww。あのクソホモが好みとか……はぁ~っ。俺はお前の将来が心配だよ……。いっそ、俺の嫁になっか?」


「――っ! な、なに言ってんのっ!? そ、そんなのありえないんだけどきもっ! ほんと死んじゃえっ!!!」



 アテナはゼウスの軽い冗談を真に受けると顔を少し赤らめ、容赦ない罵声を父に浴びせかけた。



(流石にハイパーポジティブダンディーの俺でも、これは相当傷つくんだが)



「照れんなよw冗談だよwww……自分涙いいっすか?」


「――あっ。う、うそうそ! ……あっいやっ! 嘘じゃないけど、嘘だから!!!」



 アテナは予想以上にゼウスが傷つき落ち込んでいるのに気づくと、あたふたと慌てだした。


 そんな彼女の様子をみたゼウスは、


(こいつこういうとこが可愛いんだよなぁ~。ほんと天界のくそブスどもは見習ってほしいわw)



と、娘の可愛さに心が和んだのであった。



「冗談だよwww。そんなことで偉大なお父様が取り乱すわけないだろ?」


「――だ、だよねっ! もう、驚かせないでよw。……それで、お父さんはなんでに来たのっ? ――あっ、それにさっ! 何で地球が大丈夫なのっ!?」



 アテナはゼウスの自慢気な顔を見てホッと安心したものの、本来いるはずのない彼がいることにハッと驚くと、身構えた。



「あー? んと、長いとダリ~から、三行で説明するな。ハーデスホモ! クソデブきもい! 俺、全知全能のイケメン! わかった?」


「真面目に話してるのに……お父さんのそういう寒いノリ、ほんといらないんだけど?」


「えっ? そんな、アテナちゃん。……パパ、そんな子に育てた覚えないよ??」


「……ぶっ飛ばすわよ?」


「……はい」



 拳をちらつかせる娘を見たゼウスは、仕方なく正直に事の次第を全て話した。




………………




「……ふふっ。お父さんてほんと昔から変わらないわねw。――もうっ! ほんとダメダメなパパなんだからっ!!!」



 アテナは彼の話を聞くとやれやれと言いつつも、笑顔になっていた。



「わかってくれたか我が娘! ……パパにはお前しかいないんだょぉおおっ! お前だけだ俺の味方はっ!!!」




 ゼウスは愛娘と心が通じたと思い、彼女に抱擁しようとしたが――、


「あ、でも冗談抜きで気安くくるのはやめてねっ! お願いだからっ! ほんと『邪魔以外の何者でもない』からよろしくっお父様!!!」



と、本気の拒絶をされた。



(容赦なさすぎわろた、それでこそ俺の娘だwww! ……悲しいなぁ)



 ゼウスは娘の強めの拒絶に内心、かなり傷付いていた。



「――あ! それからお父さん、これ『貸し』だからねっ?」



 アテナは今思いついたかのようにそういうと、ニヤリと笑った。



(……え~。とんでもないこと押し付けられそうでこわいんですけど。まじめんどくさそう……)



 ゼウスは、彼女があとでとんでもないことを言ってくるんじゃないかと感じ、明らかに嫌そうな顔をした。



(……あっ、そういえば! こういうときは『無言が一番』ってウラノスのクソジジイが言ってたな! 無言無言~)



 ゼウスは祖父の教えを思い返すと、無言を貫くことを決めた。



「…………」


「ん~? あれだけ威勢が良かったのにどうしたのかなぁ~w? お父さんわぁ、ねぇ? へ・ん・じ・は?」



 ゼウスの意図が分かったのか、アテナは彼がダンマリと喋らなくなると顔を近づけ、威圧してみせた。



(おいおい、目が笑ってないよ。――この本気だ! ……もっと気楽にいこうぜまじで)



「……わかったンゴ」




 断ったらどんなことをされるか分からない――と思ったゼウスは、仕方なさそうに返事をした。



「ふふふ~よろしい! ――はいっ、じゃあこの話は終わりっ! 書類は何とかしておくからさっさと出てって! ほんと忙しいんだからっ!! ――あっ、あとさ。次また同じことしてここ来たら『オチンチン切り取る』からね? ……わかった??」




(おいおいおい、うっそだろおまw!! オティンティン刈り取るとか、怖すぎワロチwww。んんwそんなのありえないwwwww)



 ゼウスはアテナの衝撃的な発言を、彼女なりのきつめのジョークと捉えると――


「あ~うんうん。オッケーオッケーもうしないしない」


と、耳の穴を小指でほじりながら返事をしていた。



 そんないい加減な父の態度を見たアテナは、


「……本気なんだけど?」


と、彼を鋭くにらみつける。



(――ひぇっ。……こいつもポセイドンニキと同じで、冗談通じないとこあるからなぁ~。マジでやりかねん……おっかね~。早くずらかんねぇとっ!)



 アテナの気迫をこれでもかと感じたゼウスは、


「……うぃ~っす。了解ッス!! ――じゃあ、俺っち急用思い出したから、またなっ!」


という言葉を残して、そそくさと足早に警察署を出て行った。


 アテナは、そんな小走りしながら逃げていく父の後ろ姿が見えなくなるまで、その場に立って見送っていた。



 そしてちょっと嬉しそうに


「……バカッ!」


とつぶやくと、仕事に戻っていった。




………………




「久々に会ったけどあいつ――クソ可愛かったなぁ……元気そうでよかった!」




 ま、まぁ俺の娘だし~当然だよね?w。まじあいつパイオツでかすぎて笑ったわぁ~www。ほんと揉みしだきたい良い体してんよぉ~あいつw。――お小遣いやるから、触らせてくんねぇかなぁ?



「……はぁ」



(これからまじどうしよ……)



 ゼウスは途方に暮れていた。すっかりと日は暮れ、辺りは夕闇に包まれていた。



………………

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