再会
あの女の人に会ってから数週間後、僕はいつも通り家のお店である飲食店の手伝いをしていた。
カラーンカラーンと戸にかけてある鈴が鳴る。
「いっらしゃい...ませっ!!?」
新しいお客さんの方を見ると、そこにはあの女の人がいた。
「...お前...この前の...。」
彼女は僕に気づき、少し目を見開く。
「あっ、えっと...どうぞっ。」
たどたどしくはあるが、1番端のカウンターに案内する。
「ありがとう。おすすめは何かあるか?」
彼女は刀を壁に立てかけ座ると、僕の目を見つめてそういう。
「えっと...これ、かな。ハンバーグ with チーズ&パイナップル。」
僕がメニューを指してそう言うと、彼女はクスッと笑い、口を開いた。
「じゃあ、それをくれ。」
彼女はそういうと、僕に微笑んだ。
「まいどっ!」
母さんがたまたま聞いていたのか、そう言うとキッチンへ走っていた。
「...えっと、名前っ...名前、伺ってもよろしいですか!?」
緊張したのか声が裏返る。恥ずかしい...。
「...リサージュだ。リサージュ・ジュルナンデ=メリカンネ。お前は?」
彼女は頬杖をつきながら僕を横目で見ながらそう言う。
「あっ...僕はアンドリュー・ヴィンセント=カンツゥン。アンドリューって呼んでください!」
上半身を90度に折り曲げる。
「アンドリューか。いい名前だな。...アンドリュー、もうああいう悪い奴らに絡まれたりしないのか?」
彼女は心配そうな目で僕を見る。
「あっ、はい!!えっと...リサージュさんのおかげで...。」
心配、してくれてたんだ...。
「リサージュでいいし、敬語じゃなくていい。それと、アンドリュー、お前前に会った時僕だって強いって言ってたよな。なんかしてるのか?」
覚えててくれたんだ...。
「うん、一応...。」
「何をやってるんだ?」
「えっと、剣術とか弓術、槍術とか...。」
「そうか。」
会話が...終わっちゃう。
「あ、あのさ...リサージュは何してるの?」
「剣術・体術・銃術とかいろいろだな。」
「つ、強そうだね。」
「ははっ、またいつか剣の手合わせしないか?」
えー、負けそうなんだけどなぁ。
「...いいよ。」
「楽しみにしてる。」
...どうしよう。会話がまた終わっちゃう。
「ごめんね、話を遮っちゃうかもだけど。ハンバーグ with チーズ&パイナップルだよ!ごゆっくりね!」
母さんがハンバーグ with チーズ&パイナップルのお皿を持って来た。
「ありがとう。」
リサージュは母さんに微笑み、手を合わせる。
「いただきます。」
そういって、ナイフとフォークを持ち、1口食べる。
「...美味しい。」
リサージュはポツリと、どこか懐かしそうな悲しそうな顔をしながらそう言った。
「美味しいか!よかったよかった!!」
母さんは満足したのかニカニカしながらキッチンに戻っていった。
「美味しいな、本当に...。家族を思い出す。」
彼女の目から一筋の涙がこぼれでた。
「リサージュ...。い、いつでもっ、いつでも食べに来ていいからっ!!」
そんなリサージュを見ていられなくてそういった。
「ありがとう。ありがとう、アンドリュー」
リサージュは涙を拭き取り、僕に向かって笑った。
綺麗だ...。