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想うだけしか出来ないこの身がもどかしく・・・

風の民たちが旅立った森の中。

地の精霊王は一度の安息を得る。

いらっしゃいませ、お父様。

お父様も、風の民たちのお見送りにいらしたの?


先ほどまで、闇の叔父様もいらっしゃったのよ。


そうですか。

お礼などよいのに・・・

皆、とても良いお顔でしたでしょ?

それだけで私は嬉しく感じているのですから・・・


それにしても、お父様。

お疲れなのですね。

顔色が優れませんわ。

今、お茶を用意しますわね。

ハーブティーで良かったでしょ?お母様直伝ですから、きっと疲れもとれますわ。


そうですわ。

久しぶりにお母様とお兄様のお墓参りをしていって下さいな。

わたくしが体調を崩していたせいで、お墓に続く道が閉じられてしまって行かれることが出来なかったでしょう?

あぁ、わたくしならもう大丈夫ですわ。

無垢な小鳥が森に悪戯をしたせいで体調を崩してしまっただけですもの。

優しい風の子供たちが原因を取り除いてくれましたわ。


それよりも、天空の島はいかがでした?

あそこには皆様が集まっておいででしょう?

世界がこのような様子では、あちらも大変な事態になっているのでしょうね。

わたくしは、この森を司ることで存在していることが出来る身。

森を出ることが出来ないわたくしでは、大変だと聞くことしか出来ませんから・・・


そうですか。

天空の島の庭園が・・・

あちらは、わたくしも幼き頃遊びに行かせて頂いた思い出の場所。

残念ですわ。

そのような状態では、例え高位精霊たちが付き添っているとはいえ風の民たちの道筋が心配でなりません。


それについては大丈夫ですわ。

わたくし、ちゃんと彼らに許していただける秘密の方法を授けてあげましたもの。

あぁ、方法は聞かないでくださいな。

秘密、ですもの。


新しい風の御方ですか?

えぇ、幼い時分ではありますがあの方とはお会いしたことがありますわ。

この森からも近い子爵家のお姫さまですもの。

この森にも何度も…


ですが、詳しくは存じませんわ。


このように言っては、火の御方や水の御方に怒られてしまいますけど・・・

何だか苦手と感じてしまって・・・

あまりお会いしないようにしていました。


森で幼きあの方に出会ったことのある風の民も、あの方がいらっしゃると少し困ったことになると言っておりましたし・・・


まさか、風の精霊王とおなりになるなんて夢にも思っておりませんでしたわ。


風に愛されていた。

そうですね。

でも、それも当たり前のことではありませんか。

どうして、高位のものまで肩入れなさらたのか


え?


もしかして、お父様

本当に気づいていらっしゃらなかったのですか?

まぁ…

お母様はそういうところがかわいらしいと

無駄に長く考えて頭もいいのに、細かいところに気づかない

そう言っていたのですよ、お母様は。

でも、本当にお気づきになってなかったなんて…


そのような愚痴は、お母様のお墓の前でお願いしますわ。

わたくしに言われても困ります。


わたくしが加護するヴァルト王国にあるエルシェード家は、あの方の直系の一族。

その家にお生まれになったアリシアが風に愛される性質を持っていてもおかしくはありませんでしょう?


それもご存知でなかったのですか?


確かに、わたくしの子が開いたヴァルト王国の貴族には等しくわたくしの血、ひいてはお父様の血が流れております。

遥か昔の僅かな血など、馴染み深いお父様の血の気配で覆い隠されてしまうでしょう。

確かに、もはや僅か一滴に等しくとも風の精霊王の血を継いだ娘ですわ。

だからこそ、あの方を知らぬ若き精霊たちは錯覚していたのでしょう。

ですが、それを王たる方々まで受け入れ力をお与えになるなんて。

信じられずおりましたら、

そうですか・・・血が残されていることすら知らなかったのですね。


あの方が封じられてすぐに、風の高位第一位サジェス様が私に預けていかれました。

火や水の御方たちに知られれば、何をされるか分からぬと。

それもそうでしょう。

あの方が愛した天空の島

あの方が慈しんだ風の民

何もかもを、あの方々は廃そうとしていましたから。

それらが今も存在しているのは、お父様や闇の叔父様、光の叔母様がお止めになったからでしょう?

風の高位精霊たちの心配も納得のいくものでした。




どちらに行かれるのです?



風の御方の下へ?

幼き風の御方の下へ?



お父様自身、迷っておられるではありませんか。

そのような御様子で行かれても、

どちらにせよ、それぞれの守り人たちに追い返されましてよ?





それに、フラフラで立つことの出来ないではありませんか。



良かったですわ。

ようやく薬が効いてきましたのね。


先程のお茶に薬を入れさせて頂きましたの。

精霊に効く、眠りの薬ですわ。


ご存知無かったでしょう?

お兄様がお造りになっていたものです。

お父様に似て無駄に頭がよくて、誰に似たのか馬鹿ばかりな事をしていたお兄様が。

これを造られた時は、確か悪戯がばれて高位精霊たちに追い掛け回されてお仕置きされた後のことでしたわ。次は、この薬で眠らせて遠くに逃げてやるって。

くすくす

そんなことをしても、帰ってきたときにより一層叱られるだけですのに。




お休みなさいませ、お父様。


ご安心なさって、ゆっくりと夢を見ていてくださいな。

お目覚めになった時には、世界は静けさを取り戻していることでしょう。








あぁ、そこの。


伝言を頼めますか?

えぇ、計画通りに と。




これで

よいのですか、       。

驚愕の事実を知り、地の精霊王強制退場。


『森の姫』

地の精霊王と人の娘の間に生まれた娘。

母と兄の墓がある森を司り、自分の子供が建てた国の民たちに信仰されることで精霊化。

ヒロインの祖国を加護してます。

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